第13話 訓練と初めての成長
第13話 訓練と初めての成長
街への帰還は予想よりも早かった。
ダンジョン探索はわずか1時間、帰り道も30分ほどだった。
昼頃、アンドレイはアレクサンダーの姿で街の門に戻った。
通行証を提示すると、衛兵に別室へ通されるよう求められた。
そこには、今朝新人を怪訝そうに見ていた大柄な男がいた。
男はレオと名乗った。
ただの衛兵に見えるが、どこか普通ではない雰囲気があった。
アンドレイは気づく――今朝この男は門にいなかった。今日になって現れたのだ。
「本当にレベル1なのか?」
レオが問いかける。
「今まで訓練を受けたことは?」
「いいえ」
アンドレイは正直に答えた。
「普通の仕事をしていただけです」
レオは驚いた顔をした。
「レベル1のまま……どこへ行った?」
予想外の質問にアンドレイは少し間を置いて答える。
「初心者用のダンジョンです」
「そのレベルで行けば死ぬぞ!」
レオは声を上げた。
「どうやって生き残った?」
アンドレイはスケルトンとの戦いだけを話し、エルフへの変身は伏せた。
ギリギリで生き延びたことだけを説明する。
「モンスターと戦うのは危険すぎる」
レオは真剣な声で言った。
「だが提案がある。俺がお前を鍛える」
「今日の18時、西の壁に来い。衛兵の訓練場がある。通れるようにしておく」
アンドレイは嬉しさを隠せなかった。
本物の戦闘技術を学ぶチャンスだった。
彼は礼を言い、承諾した。
ギルドへ向かう途中、人気のない路地でカイラの姿に変身する。
ギルドに戻ったアンドレイは受付へ向かった。
そこでリッチ59レベルと、多くの冒険者の死について報告した。
その話はギルド内に衝撃を与えた。
受付嬢はすぐに6ランクの依頼を発行し、熟練パーティに調査を命じた。
「このダンジョンにボスがいるだと?」
冒険者たちがざわめく。
「二層構造のダンジョンにそんな存在はありえないはずだ!」
その情報は明らかに異常だった。
昼食後、アンドレイは西の城壁へ向かった。
衛兵は問題なく彼を訓練場へ通した。
しばらくしてレオが現れる。
「早めに来たな。やる気は十分だ」
訓練が始まった。
木剣を手にしたスパーリングでは、アンドレイの動きは遅く弱かった。
「やはりレベル1か、それとも演技か?」
レオは観察する。
数分後、レオは手を止めた。
「ここまでだ。力はあるが、技術は最悪だ」
そこから2時間、基礎訓練が続いた。
レオは動きを示し、アンドレイは必死に真似た。
日が沈む頃、レオは満足そうに頷く。
「今日はここまでだ。明日も同じ時間だ」
アンドレイは疲れながらも了承した。
そして訓練の結果、彼は“第二レベル”へと上がっていた。
カイラの姿に戻り、宿へ向かう。
その日は非常に過酷だったが、確かな成長を感じていた。
初めてこの世界で、システムではなく“努力による成長”を実感したのだ。
宿の部屋で、アンドレイは静かに考える。
レオとの訓練は、今後の成長の鍵になるかもしれない。
そして本当の強さへ近づく道が、ようやく始まったのだった。




