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第10章 エレノールの崩壊

第10章 エレノールの崩壊


アンドレイは「リラ」という姿をとっていた。

自然を司る緑髪のドリアードの少女。


南のウラルの町の近く――かつてエントを召喚した大地では、500年の歳月の中で巨大な森が育っていた。

それは彼の管理下で増え続けた“森林軍”だった。


彼はそこで、希少な薬草を静かに採取していた。


しかし戦況はすでに悪化していた。


影の軍勢がエレノール王国へ進軍している。

北では巨人ゴーレムがアイサドを破壊し、世界そのものが侵食されつつあった。


アンドレイは危機を感じ、即座に森の力を解放する。


エントをさらに増殖させ、フェアリーを召喚する。


目的はただ一つ――時間を稼ぎ、人々を南へ避難させること。


空では戦いが起きていた。


ペガサス騎士団と黒いペガサスに乗った影の軍が激突し、空中は混沌の戦場と化している。


アンドレイは次の姿へと変わる。


「ミラナ」


獣王を従える者。


彼が手を掲げると、森そのものが目を覚ました。


茂み、谷、森の奥から――

500体を超える魔獣が現れる。


魔鉄のライオン、岩を切り裂く爪を持つ熊、巨狼、ドラゴン型の獣、そして神話級の存在。


それらは森の前に防衛線を形成した。


エントたちは壁となり、根と枝を絡めて防御陣を作る。

魔獣たちは静かに戦闘態勢へ入る。


影の軍勢は押し寄せる。

ゴーレムは大地を踏み砕き、黒いペガサスが空を覆う。


しかし森の軍は耐えていた。


エントは木を引き抜き投げつけ、魔獣は脚を裂き、空の存在は魔法で迎撃する。


戦況は拮抗していた。


だが空の支援が足りない。


アンドレイは再び姿を変える。


「ヴィカ」


鋭い眼を持つ鳥人戦士。


彼は上空へと舞い上がり、戦場全体を見下ろす。


空から新たな軍を召喚する。


巨大な鷲、グリフォン、ハーピー、風の精霊――空を埋め尽くす戦力。


さらに森と山から中級ドラゴンが呼び出され、炎と氷のブレスを放つ。


空は完全に制圧された。


アンドレイの軍が主導権を握る。


爆裂魔法と物理強化された魔法弾が戦場を焼き尽くす。


影の軍は次第に崩壊していった。


そのとき――


皇帝が現れる。


空間を裂くように戦場へ降臨し、圧倒的な魔力を解き放つ。


一撃でアンドレイの空軍の大半が消し飛んだ。


空は静まり返る。


残ったのは、彼と皇帝だけ。


空中戦の決闘が始まる。


皇帝の力は圧倒的だったが、空戦機動ではアンドレイが上回っていた。


ヴィカの姿のまま、アンドレイは高速で回避し、攻撃を当てていく。


皇帝の攻撃をすり抜けながら、戦況は一時的に均衡する。


だが――


皇帝は冷たく呟いた。


「最上位魔法」


光の奔流が放たれる。


それは回避不能、命中率100%。


アンドレイは直撃を受け、空から墜落する。


一瞬、世界が止まった。


皇帝は勝利を確信する。


しかしその瞬間――


森の中から無数の攻撃が飛び出した。


それは矢ではない。

投げ槍だった。


アンドレイはすでに「ミラナ」の姿へ戻っていた。


森の魔獣軍が再び動き出す。


槍と魔法の嵐が皇帝を襲う。


彼の防御は軋み、少しずつ崩れていく。


皇帝は反撃を試みるが、ミラナの機動力はそれを許さない。


森全体が武器となっていた。


だが皇帝は限界を超えた力を解放する。


「範囲殲滅魔法」


炎の竜巻が森全体を包み込む。


逃げ場はない。


エントも魔獣も、何世紀も生きた森の守護者も――すべてが燃え尽きていく。


森は地獄へと変わった。


アンドレイの軍は崩壊した。


彼自身も逃れる術はなかった。


そして森は沈黙する。


皇帝は勝利を確信する。


しかしその瞬間、彼の表情が変わる。


――通信。


工場が攻撃を受けている。


彼はゆっくりと空を見上げる。


「何だと……?」


冷たい声が戦場に響いた。


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