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第8章 ヴァロールの殲滅

第8章 ヴァロールの殲滅


青いポータルから影たちが現れた。


彼らはもう“群れ”ではなかった。

整列し、隊列を組んだ――本物の軍隊だった。


以前のような無秩序な存在ではない。

指揮官が生まれたことで、すべての動きに戦術と意味が宿っていた。


影たちは四方へ散る。


西へ向かった部隊はヴァロール王国を占領し、炎と廃墟を残しながら破壊を進める。

東へ進んだ者たちはエレノールへ向かい、すべてを飲み込んでいく。


南へ向かった軍は、より強い抵抗に遭遇した。

そこにはシルデン帝国があり、十分な防衛体制が整っていた。


だが影の軍勢は分散しており、ポータルの構造上、南北に引き伸ばされる形で出現していた。


――アンドレイはヴァロールへ転移した。


そこは北西の最前線国家。


山と森、そして平原はすでに煙に包まれ、空気は魔力と闇の気配で震えている。


さらに北の国境付近にはエルフの村があった。

多くのエルフはすでに避難し、ヴァロール軍と合流している。


彼らは魔法に長け、遠距離戦を得意とする種族だった。


しかしアンドレイは理解していた。


(ゴーレムはもう使えない……再充填には時間がかかる)


今は別の手段が必要だ。


ヴァロール軍は持ちこたえていた。

影の数は多いが、防衛線は機能している。


人間とエルフは肩を並べて戦っていた。


アンドレイはそれを見下ろしながら動く。


彼は「カイリン」の姿へと変身した。


魔力破壊特化の魔導戦士。


飛行アーティファクトで空へ上がると、爆裂魔法を戦場全体に散布する。


爆発が連鎖し、影の軍を焼き払う。


兵士たちの叫びが響く。


「進め!神が我々に味方している!」


空中戦は激化していた。


黒騎士たちはペガサスに乗り、味方はグリフォンで応戦する。

空はまさに死の舞踏だった。


アンドレイはその間を縫うように飛び、攻撃と回避を繰り返す。


しかし――


影の包囲が始まった。


数が増え、逃げ道が消えていく。


(この形態では持たない)


彼は即座に判断し、姿を変える。


次の瞬間、戦場に現れたのはイリアナ。


重装突撃戦車のような戦士。


巨大な戦馬に乗り、要塞そのもののように突撃する。


長槍が振るわれるたびに敵が吹き飛び、

馬の突進は戦場そのものを押し潰していく。


その一撃は戦列を破壊する“災害”だった。


後方ではヴァロール軍が鼓舞され、

エルフたちは森から精密射撃を放つ。


戦場は一時、押し返され始めていた。


だが――


北の空が暗くなる。


巨大な石のガーゴイルが出現した。


翼の音が空気を裂き、影の軍すら押し流すほどの圧力を放つ。


空の制圧が始まった。


続いて現れたのは鉄のゴーレム部隊。


鋼の脚が大地を踏み砕き、城壁すら粉砕して進む。


抵抗は次第に消えていった。


ヴァロール軍は崩壊寸前となり、エルフも人間も逃げ惑う。


戦場は完全な蹂躙へと変わる。


そして――


アンドレイは一人になった。


空はガーゴイルに塞がれ、地上はゴーレムに封鎖される。


彼は全力で抗った。


魔法、戦術、経験――すべてを使っても状況は覆らない。


圧倒的な戦力差。


最後の瞬間、巨大なガーゴイルが加速し、致命の一撃を放つ。


アンドレイは崩れ落ちた。


戦場は混沌のまま沈黙し、

ヴァロール王国は完全に崩壊した。


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