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第3章 新しい人生

第3章 新しい人生


若い男が長い眠りから目を覚まし、ゆっくりと身体を伸ばした。

欠伸をし、周囲を見回す。まるで何時間ぶりかに世界を見ているようだった。


そして彼は、冷たく無感情な声で言った。


「誰だ、俺を起こしたのは? もう少し寝られたのに……まあいい。処置はあとでやるか」


部屋には誰かがいた。


だが次の瞬間、その人物は殺されていた。


迷いも感情もない。

ただ自然に行われた一瞬の行動だった。


男は倒れた死体に興味も示さず、そのまま先へ進む。


5階……4階……3階……2階……1階……


どの部屋も綺麗なままだった。

まるで誰も住んでいなかったかのように。


彼は周囲を見ながら、かつてここにいた者たちの痕跡を見つめる。


「エルフだったのだけは惜しいな……いい素材だったのに」


彼はぼそりと呟く。


「まあ、役目は果たしたか」


彼は立ち止まることなく東へ向かった。


まるで世界そのものが自分に従うと知っている者のように。

どんな障害も自分を止められないと確信しているように。


やがて彼はエルフの都市へ到着した。


ファミリアが広場へ静かに降り立つ。

ダークはゆっくりと地面へ降りた。


一歩一歩が計算されているようだった。


彼は街を歩く。


緑に包まれた建物。

魔法灯の光。

調和に満ちたエルフの都市は美しかった。


城へ近づくと、一人のエルフの女性が駆け寄ってきた。


その顔は喜びに満ちている。


「皇帝様!」


彼女は笑顔で叫んだ。


「ついに目覚めたのですね!」


彼女は迷わず彼を抱きしめ、そのまま口づけした。


ダークはいつも通り冷静なまま、静かに尋ねる。


「元気だったか、ミラナ」


エルフの女性――ミラナは小さく息を吐き、長い年月を思い出すように手を見下ろした。


「ええ……この6500年、本当に色々あったわ」


彼女は顔を上げる。


そこには純粋な喜びがあった。

愛する存在が戻ってきたのだから。


「でも、7000年は必要だって言ってたじゃない。どうしてこんなに早く戻ったの?」


驚いたように微笑みながら彼女は聞く。


ダークは落ち着いたまま答えた。


「問題が起きた。誰かが俺のところまで入り込んできた」


「それは災難だったわね」


ミラナは呆れたように首を振る。


「侵入者も、きっと後悔したでしょうね」


彼女は再び彼を見る。


その表情には幸せが溢れていた。


「本当に綺麗ね、ダーク……昔と変わらない。私の素敵な人」


「ありがとう」


ダークは短く答える。


「お前も変わらず綺麗だ。……エルフは老いないからな」


ミラナは少し頬を赤くした。


彼の言葉に心臓が速くなる。


ダークは彼女を引き寄せ、抱きしめ、そのまま口づけする。


懐かしい温もり。

信頼。

彼はいつも通り落ち着いていた。


焦りも不安もない。


しばらくして、ダークは少しだけ離れ、静かに聞いた。


「それで……この間に何があった?」


「国々がまた生まれたわ」


ミラナが話し始める。


「あなたは全員を殺したわけじゃなかった。地下に隠れていた人もいたのかもしれないし、他にも生き残りがいたのかもしれない。

でも私は滅ぼさなかったわ。新しい世界の方が、あなたも楽しめると思ったから」


ダークは笑った。


「賢い判断だ。これでまた楽しめそうだな」


ミラナは小さく頷く。


彼女は理解していた。

皇帝にとってこれはただの遊びではない。


世界の残された場所すべてが、彼の力を示す舞台になるのだ。


「他には?」


ダークは冷静に聞く。


「国々は発展しなかったわ」


ミラナは誇らしげに報告する。


「魔法の影響で技術が制限されているみたい。

人工の職人も、高度なゴーレムも作れなかった。

まるで古代人みたいな生活をしているわ」


ダークは黙って聞いていた。


表情は変わらない。


「なら簡単だな」


彼は静かに言う。


「それと……」


ミラナは少し言いづらそうに続けた。


「あなたの拠点の一つで異常が起きたわ。2700年前くらいに」


ダークは視線を向ける。


「ポータルが制御不能になったの。

あなたの兵士たちが外へ出てしまった。……私には止められなかった」


一瞬、沈黙が流れる。


「そうか」


ダークは平然と答えた。


「あとで確認する」


彼にとっては問題ですらない。

ただ修正すべき事柄の一つだった。


「他は?」


「あと……エルフの村が二つ残ってるわ。今も連絡を取ってる。数も増えたわ」


ダークは彼女を見る。


「あなたの今後の処置にも使えると思って」


その瞬間、ダークの口元に冷たい笑みが浮かんだ。


「それはいい知らせだ」


彼は静かに言う。


「あとで行ってみるか」


「それと……」


ミラナは少し眉をひそめた。


「400年前に魔族の国が現れたの」


ダークの動きが止まる。


「噂では、強い魔族の女が支配しているらしいわ。

それに……すごく美人だって」


沈黙。


ダークはゆっくりと顔を向けた。


その視線はさらに冷たくなる。


「ほう……」


彼の口元には、わずかな笑みが浮かんでいた。


優しさではない。


興味の笑みだった。


「強くて……美しい、か」


ダークは少し考え込む。


魔族。

彼らもまた長寿だ。


だが国を作ることなどなかった。

混沌と破壊だけを求める存在だったはずだ。


彼は目を細める。


面白い。


その瞳には冷たい興味が宿っていた。


「用事が済んだら……行ってみるか」


ミラナは彼を見たが、何も言わなかった。


皇帝が興味を持った時点で、それはもう時間の問題だからだ。


夜がエルフの城を包み込む。


魔法灯の柔らかな光が、黄金色に広間を照らしていた。

窓の外では森が静かに揺れている。


皇帝は城に残った。


隣にはミラナ。

数千年を共にした皇后。


周囲には、昔と変わらぬ美しさを持つエルフたち。

彼のハーレムだった。


ダークはその中心で落ち着いて座っていた。


まるで数千年の時など存在しなかったかのように。


エルフたちは彼に寄り添う。


その瞳には喜び、忠誠、そして憧れがあった。


彼はただの支配者ではない。

彼女たちにとって、神に近い存在だった。


ミラナは一歩も彼の側を離れない。


その夜、城には笑い声と会話が戻った。


長い間失われていた賑わいだった。


そして――激しい夜になった。


7000年前、彼が若かった頃のように。


朝になると、すべては静かになっていた。


皇帝は窓辺に立ち、目覚めていく世界を見下ろしている。


その目は再び冷たく静かだった。


休息は終わりだ。


次は仕事の時間だった。


まず最初に、彼は自分の問題を片付けることにした。


朝、皇帝は余計な言葉を残さず城を出る。


向かう先は「闇の裂け目」。


かつて自分の軍勢の一部を封じた場所だった。


そこは重い空気に満ちていた。


古代魔法の気配。

空間そのものが歪んでいる。


まるで世界から切り離されているようだった。


彼が姿を現すと、兵士たちはすでに待っていた。


誰も喋らない。


皇帝を見た瞬間、全員が一斉に整列する。


まるで一つの生き物のようだった。


音もない。

無駄な動きもない。


そこにあるのは絶対的な規律と服従だけ。


皇帝は手を上げ、短く呪文を唱える。


その瞬間――闇の裂け目が赤く輝いた。


黒い闇が深紅に染まり、大地そのものが燃え上がったようだった。


兵士たちは迷いなく中へ進む。


赤い光に飲み込まれ、影のように消えていった。


皇帝はゆっくり裂け目へ近づく。


そして一歩踏み出し、自らも中へ入った。


次の瞬間、赤い閃光がすべてを包み込む。


そして――


闇の裂け目は消滅した。


まるで世界そのものから切り取られたかのように。


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