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第2章 魔族帝国

第2章 魔族帝国


「アストリッド!」

セレスティナが叫んだ。瞳には不安と強い決意が宿っている。

「あるもの全部準備しなさい! 大砲、軍隊、全部隊を戦闘態勢へ!」


「何があったのですか、陛下?」

アストリッドは不安を隠せない声で尋ねた。


「邪悪が目覚めた……」


セレスティナの表情は重く、険しくなる。


「世界は滅びの寸前よ」


指揮官たちは一直線に並び、厳しい顔で立っていた。

軍勢は命令を待ち、空には不穏な雲が広がっている。


「まもなく戦争が始まる!」

セレスティナの声が、魔導砲に刻まれた警戒ルーンの唸りをかき消した。


「すべての魔法、すべての矢、すべての魔導砲は、一つの目的のために使われる! この世界を守るためよ!」


すべての準備は、たった一日で整った。


魔王セレスティナ――魔族の姿を持つ神は、帝国の全戦力を動員した。


魔導砲はルーンの光を放ち、軍勢は完璧な隊列を組んで戦いに備える。


悪魔族、ドワーフ、そして支配下にある他種族たちも戦闘準備を終えていた。


「もうすぐ出陣する!」

セレスティナの声は雷鳴のように響く。


「かつてない規模の軍勢が相手になる!」


彼女は配下たちを見渡した。

悪魔族、ドワーフ、そして他の種族たち。


「戦えない民間人は、すぐ南へ逃げなさい!」


その声は鋭く、絶対的だった。


「持っていくのは食料と最低限の物資だけ!

金も宝石も不要よ! 余計な荷物は全部捨てなさい!

使えるファミリアをすべて使って、できるだけ遠くへ逃げるの!」


セレスティナは自ら軍全体を監視していた。


神の力を宿した瞳が、すべてを見ている。

兵士一人、砲台一基に至るまで、完璧に機能するよう確認していた。


避難できる民間人たちが、食料を積み、ファミリアで南へ飛び去ったあと――


首都前の大地には、重い静寂だけが残った。


そこにいるのは魔族帝国軍だけ。

そして全員が、セレスティナの命令を待っていた。


二日間。

それは終わりのない待機時間のようだった。


悪魔族は整然と行軍し、その瞳には魔力と覚悟が宿る。

ドワーフたちは魔導砲を強化し、戦闘兵器を点検していた。


魔導士や呪術師たちは防御結界を展開し、来たる戦いのために魔法を強化していく。


すべてのゴーレムとファミリアも配置についた。


空気はルーンと魔力で満ちていた。

まるで大地そのものが破滅の準備をしているかのようだった。


セレスティナは高台に立ち、地平線を見つめる。


焦げた匂いと魔力を運ぶ風が周囲を吹き抜け、緊張感をさらに強めていた。


「好機が来るまで待つわ」


セレスティナはアストリッドにそう告げる。

その声は低い雷鳴のようだった。


民間人たちが南へ逃げていく中――


魔族帝国は静かに待ち続けていた。


世界を揺るがす破滅の戦いに備えながら。


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