第23章 ― 砲と力の試練
第23章 ― 砲と力の試練
セレスティナの訓練場。
「全員、注目して」
彼女ははっきりとした声で言った。
「新しい武器を見せるわ」
ドワーフ、悪魔、そしてアストリッドが、黒い金属で作られ、ミスリルの輪が組み込まれた大砲の周りに集まった。
「私にすら通用する武器が必要なの」
セレスティナは落ち着いた口調で告げる。
アストリッドはその隣で静かに観察していた。悪魔たちは主の一挙手一投足を見逃すまいと、固唾をのんで見守っている。
「火薬の代わりに、マナ石を装填する」
彼女は砲身に収められた大きく輝く結晶を指し示した。
そして振り返る。
「誰か、私に向けて撃てる?」
沈黙が落ちる。
誰も動かない。恐れている。
セレスティナは小さく鼻で笑った。
「いいわ。どうなるか見てみましょう」
警告もなく、彼女は自ら砲弾を放った。
轟音とともに、弾丸は空気を切り裂いて飛び出す。
セレスティナはその後を追った。
「気をつけて!」
アストリッドが叫ぶ。しかしそれは恐怖ではなく、純粋な興味からだった。
弾丸は凄まじい速度で飛ぶ。
だがセレスティナはそれに追いつき、全身でぶつかった。
鈍い衝撃。
「ふむ……」
彼女はまるでそよ風でも受けたかのように言う。
「私には大したことないわね」
彼女は戻り、砲弾を取り出すと、それをより強固なミスリル製に交換した。
悪魔たちは息を呑む。
その瞬間――
アストリッドが躊躇なく砲を構え、セレスティナへ向けて発射した。
砲弾は一直線に飛ぶ。
しかしセレスティナは静かに一歩横へ動き、弾を弾き飛ばした。
作業を手伝っていたドワーフたちが顔を見合わせる。
「今の……全部受けたのか……?」
ひとりが呟く。
「ほとんど効いてないぞ……」
「ああ……」
別の者が低く答えた。
セレスティナは砲に歩み寄り、その構造を見渡す。
「悪くないわ」
静かだが、確かな評価だった。
ドワーフと悪魔たちは息を止める。
彼女は続けて、用意された壁や構造物に向けて数発撃ち込んだ。
轟音。
巨大な砲弾が石と金属を粉砕し、五メートルはある壁さえも打ち砕く。
破片が降り注ぐ中、ドワーフと悪魔たちは呆然と立ち尽くした。
「この威力……見事ね」
アストリッドが言う。
「試験は完璧です」
セレスティナは彼女に視線を向けた。
「アストリッド、ここはあなたに任せるわ。すべて管理して」
アストリッドは迷いなく頷いた。
「お任せください、我が主」
セレスティナはもう一度大砲を見た。
「改良を続けて。もっと強く、もっと正確に」
「承知しました。すべて把握しています」
次の瞬間、セレスティナは北へと飛び去った。
氷の風と雪に覆われた山々を突き抜け、北東の最果てへと到達する。
「この山の限界を試す時ね……」
彼女は小さく呟いた。
強力な爆撃が山肌に叩き込まれる。
巨大な岩塊が砕け、四方へ飛び散り、海へと落ちていく。
水面には巨大な水柱が立ち上がる。
それに反応して、海の怪物たちが姿を現した。
不満げに唸り、ヒレや爪を広げ、縄張りを守ろうとする。
セレスティナは動きを止め、彼らを観察した。
「面白いわね……」
彼女の瞳がわずかに輝く。
「危険で、巨大で……しかも統率されている」
彼女は数を減らすことにした。
闇の魔法と鋭い魔力の槍が水中へと放たれる。
直撃を受けた怪物は次々と沈み、あるいは波間に消えた。
やがて、水面に残るものはいなくなる。
「これで片付いたわね」
セレスティナは空へと浮かび上がる。
「次へ行きましょう」
彼女はそのままダンジョンへ向かった。
行く手を阻むものすべてを打ち砕き、出会う存在を容赦なく葬りながら進む。
「私だけのダンジョン……」
第九十階層に到達した彼女は言った。
「なんて静かで素晴らしいのかしら。誰にも邪魔されない」
そこは彼女の私的な王国となった。
制限も干渉も存在しない場所。
彼女の魔力の光が石壁に反射し、冷たい美しさと――
完全な無法の気配で、空間を満たしていた。




