第二話 微かな希望
生まれた時点で罪。なるほど。全く理解も共感もできないが、少なくとも
この男の言い分は理解した。信じがたいことではあるが、
状況から見るに確かにこの男は神なのだろう。眷属になるのを拒否することも、帰る事も(少なくとも今は)出来ないのだろう。
…いや、だとしても、いくら何でも無理だ。
「先程…人を減らせと言いましたよね?貴方が神なのは理解しましたが、それでも、私には無理です。
現代社会で、殺人をする事も、秘匿する事も、非常に困難です。
私はただの新卒の社会人。到底貴方の要望に応えられるとは…」
私の至極全うな意見に、神は薄ら笑いを浮かべた。
「案ずるでない。我は寛大故な。貴様が上手く出来るように取り計らっておこう。」
寛大。何かの冗談だろうか。いや、恐らくは本気なのだろう。どちらにせよ、ある程度の措置はしてくれるようだが…。
私が考えていると、神は納得のいかなそうな顔をした。
「どうした?もっと喜んだらどうだ?」
神は暫く無言だったが、合点がいったとばかりに、再び薄ら笑いをしながら声を上げた。
「…ああそうか、褒美が気になるのだな?我を見くびるでないぞ。
我は吝嗇ではない。見事成し遂げた暁には、大いに振舞おうとも。」
「…………褒美?報酬が出るの…出るんですか?」
「なんだ?やっとやる気を出したか。」
無論出る。いや、殺人なんて一ミリもしたくなどないが、それでも報酬。それも神からの報酬というのは、魅力的な物だ。半ば…いや完全に強制された命令とはいえ、報酬がでるのなら…
「報酬というのは…なんなんですか?」
「何がいい?」
「何がいい…??それは…好きに選んで良いと?」
「人間の望みなど、我は知らん故な。我にできる範囲なら…まぁ良いだろう。」
…何でも。実際に何でもと言われると非常に悩むのだが…
とにかく、この理不尽な命令にも、微かな希望と、やる気が湧いてきた。
そもそもやる以外の選択肢は無いのだ。ならば、手早く終わらして、
報酬を貰うのが一番良いのだろう。
「分かりました。引き受けます。」
そこまで言って、やっと神は満足そうな表情を浮かべた。
「そうかそうか!神に忠実なのは素晴らしいことだぞ。
では、さっそく向かうがいい!何、心配は無用だ。諦めさえしなければ、いずれ果たせるであろう!」
「…え?ちょっとまっ――」
言い切る前に、急激に意識が遠のいてくる。謎の浮遊感を感じながら、私の意識は途切れた。
かくして。俺の長きに渡る眷属生活が、殆ど説明も無しにだったが、始まった…?
回生懺悔を読んでいただきありがとうございました!第一話作成後から、第二話投稿までかなりの時間が経ってしまいました。誠に申し訳ございません。引き続き、回生懺悔をよろしくお願いいたします!




