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神の揉め事に巻き込まれた男と被害者女神の世直し旅  作者: 焼納豆
植神エリアス

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(14)新しい朝

 子供達が寝ている部屋の扉をそっと開けて全員が未だに寝ている事を確認すると、起こさないように再びそっと扉を閉じて一階に向かう。


「おはようございます!すっかり疲れもとれたみたいですね?体にもハリがあるように見えますよ?」


「ハハハ、おはようございます。昨日言われた通り早く寝たのが良かったみたいだ。おかげさまで体調は今迄にない程に良い……と言うよりも、良すぎるな。でもレーニャさんも俺に合わせずともゆっくりしてくれてかまわないんだが?」


「いえいえ、私がしたい事ですから。さっ!今日は何を作りますか?」


 レーニャの一言で料理人の顔になるアドビ。


 昨晩初めて振舞った肉野菜炒めは大好評だった。


 どちらかと言うと野菜の在庫の方が多かった事もあって野菜を多めに使う料理を選択したのだが、朝食に肉野菜炒めは重いかもしれないと思っているし、同じメニューでは創意工夫ができるチャンスをみすみす失うので、当然別のメニューになる。


「レーニャさん。ここでは普段、朝食には何を食べているんだ?」


「そうですね……野菜、お肉を入れたスープが基本だと思いますよ」


「……もう一つ聞きたい。ここは年中この位の気温なのか?」


 実は植神エリアスが庇護している集落に入ったとたん体感温度に変化があり、暑くもなく寒くもなくなったのだ。


「そうですね。エリアス様のお力で調整して頂いているようです。時折木漏れ日を浴びてお昼寝する人もいますよ」


 暫く考えこむアドビ。


「そう言えば!!」


 何かを思い出したアドビはもう料理の事しか頭にないので、レーニャを置き去りにしている。


「本当に一途な方ですね」


 レーニャは微笑みながらアドビの後をそっと追い、辿り着いたのは保冷庫。


「レーニャさん、この卵は使えるのか?」


「もちろんですよ。毎日……そう言えばこの集落を案内できていませんでしたね。これは鳥の魔獣の卵です。毎日産んでくれるので重宝していますよ。今迄はスープに混ぜていました」


「焼いた事は?」


「……ないですね。私は…ですが」


 これで今日の朝食のメニューは決まった。


 籠に卵を入れて持ち帰ると、自らの店から持ってきたフライパンのようなもので、日本で言う所のスクランブルエッグを作り始める。


「私は何をしましょうか?」


「サラダを作ってくれ。材料はあれと…ピュアリーフを細切れにしてまぶしてくれ。盛り付けた後にこいつをすり潰した粉を軽く振ってくれれば完成だ」


 昨日、この家の周辺を軽く案内された際にとっておいた、とある実。


 細かくすり潰せば少しピリッとした味を出してくれるので、調味料として使えると判断していた。

 

「次はこいつだな」


 同時に保冷庫から持ってきた肉を一口サイズにして軽くあぶり、同じように肉に合いそうな調味料で味付けをする。


「最後はこいつか」


 当然水分も必要だろうと思い、少し前に使った肉がついていた骨を出汁にしたスープに野菜を入れて行くと同時に、少々こってりした口直しの意味もあって果物の皮を鮮やかに向いていく。


 子供五人にも食事を楽しんでもらいたいと言う思いから、遊び心で定番のウサギ耳に見えるように果実の皮を切る。


 この世界にもウサギに似た魔獣がいるので、間違いなく子供達は楽しんでくれるだろう。


 この頃になると子供達も起きて下に来ており、更には昨晩と同じように良い匂いをまき散らしているので、住民が集まる。


「おはようございます。もう直ぐできるので入ってください!」


 アドビの一声でぞろぞろと住民達が入ってくる。


「おはようございます、アドビさん!僕達も手伝います!」


「そうか。疲れては……いないようだな。じゃあ頼んだぞ!」


 子供達もピュアリーフや良質な睡眠のおかげか疲労が見えないようなので、申し出通りに手伝ってもらう。


 それぞれの場所に配膳する事で、この集落の人々といち早く顔見知りになる事もできるだろうと言うアドビの思いもある。


「おっと、一番大切な事を忘れていた」


 祭壇に一食分置くと、待っていました!とばかりに蔦が上空へ食事を運んで行った。


「では、皆さん冷めない内にどうぞ!」


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