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神の揉め事に巻き込まれた男と被害者女神の世直し旅  作者: 焼納豆
植神エリアス

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(5)ピュアリーフ

 満腹亭の店主であるポフルは、ピュアリーフなる葉を独占したいと企んでいる。


 とある行商人が時折フラっと現れて販売しに来るのだがその量は非常に少なく、ポフルの店、アドビの店、宿泊所に併設されている食堂の料理人達、更には錬金術師や薬師までが必死で購入しようとしている。


 初めてこの行商人がこの葉を売りに来た際、その効能が高いと自信満々に伝えてきた事を訝しんだ人々が呼んだ鑑定士によってピュアリーフが鑑定された。


 貴重な素材であるピュアリーフは状態によって葉の大きさや形、色もまちまちであり、行商人が持ち込んだ物は今迄誰も見た事のない高品質状態であり、当然初めて見た葉であった事から誰しもが説明を疑ってしまい鑑定士が急遽呼ばれる事になったのだ。


 その結果、行商人の言葉に嘘はなかった事が証明された。


 そのまま食べても非常に美味しく、体内の毒素を無効化・排出する上、損傷も修復する。

 外傷部分に潰して塗れば、効果の高い治療薬になる。

 当然非常に効果が高いポーションの原料の一つになり得る。


 と鑑定されたのだ。


 この行商人は不思議な存在で、公にその効能が確認された事で台所事情の厳しいアドビ以外の誰しもがピュアリーフを欲して購入金額を吊り上げたのだが、貨幣には興味が無いと言わんばかりに持ち込んだ葉を購入しようとしている店舗に均等に振り分けたのだ。


 結局自ら金額を押し上げてしまった者達はその金額で、アドビだけは当初の金額でピュアリーフを購入する事が出来ていた。


 その後も不定期に訪れる行商人だが一度決めた金額以外では販売しようとせず、ポフルの店も他の店員に対応させて改めて金額交渉をしようとしたのだが、何故か初見であるにもかかわらず満腹亭の者だと明らかになってしまっていた。


 次の一手として、ヘルナンド公爵家の力も借りて葉の生息地を奪ってしまおうと考えて行商人を追跡させたのだが、何度やっても森に入った後で見失ってしまっていた。


 曰く、足を取られやすい植物がある場所を早い速度で移動されてしまい、どうやっても追跡できなかったと言うのだ。


 こう言った事があったので、自らの取り分を増やすにはアドビの店を早く潰すしかないと結論付けたポフル。


 他の購入希望者の対策に関しては、ピュアリーフの一部をヘルナンド公爵家に無償で納品すると確約していた事もあって、公爵家から追加購入希望をしないように……と圧力をかけてもらっている。


 満腹亭の店主ポフルが領主と組むような形でとても貴重な素材(ピュアリーフ)を仕入れようとしているのは、料理の素材として使用するのではなく単純に転売するためだ。


 購入済みのピュアリーフの扱いは、一部ポーションの素材として使用した他に緊急時の回復用に保存しているのだが、その他は購入金額の10倍以上の金額で卸している。


 一方、時折格安でピュアリーフを手に入れる事が出来ているアドビは純粋に食材の一つとして使用するために購入しており、急遽来店した五人の子供とシズル、トリシアの食事にもその素材の味を生かすべく研究した調理法で仕上げて出していた。


 その効果は絶大で、空腹から体に良くない物もかまわずに口にしていた子供達の体内にある毒素を全て無効化・排出し、更には内臓のダメージも回復していた。


「良く眠っているな。確かにあの食材(ピュアリーフ)は体を回復させる能力があるようだ」


 片づけが終わり店を閉めた後、部屋に入って五人が可愛らしい顔で寝ている事を確認したアドビは、笑顔のまま自分も同じ部屋で横になって眠るのだった。


 実はこの五人の子供と同じ料理を食べたトリシアにも、思わぬ効果が出ていた事をアドビは知らない。


 天空神であるトリシアは何の気なしに食事を口にしたのだが、どう見ても普通の人族では作成する事が出来ないモノを関知した。


 それがピュアリーフであり、更に深く調査するとどう見ても同格の存在である神の力を感じ取る事が出来たのだ。


 その存在は今回魔神による制約を受けていない数少ない神の内の一体であり、制約解除の対象ではない事からあまり意識していなかったのだが……植物を司る神である植神エリアスの力を間違いなく感じたのだ。


 そこで周辺に神の存在がないかを確認したところ、比較的近い場所に植神エリアスの存在を関知したので、目の前にいる五人の子供とこの店の店主であるアドビの保護をお願いする事にした。


 水神アクアにお願いする方法も考えられるのだが、距離がありすぎるので近くにいる神に頼った方が良いと判断した上で、シズルに断って早速行動に出たのが真相だ。


 神域魔法を使えない状態ではあるが、人とは隔絶した力を使う事ができるトリシア。


 日中であれば木漏れ日溢れる緩やかな時間を過ごせそうな森だが、今は漆黒の森を迷わず疾走し、やがて緑豊かな平原に出る。


 中央には巨大な木がその存在を主張し、その中に十人程度が就寝中である気配を感じているのだが、トリシアの目的はそこではなく……大木の遥か上に気配を感じる存在、植神エリアスただ一人。


 力強く遥か上の枝に飛び移り……やがて相当な高さにある扉を開けて中に入り込む。


「……思い出しましたよ。相変わらずエリアスは……」


 外からの日の光を十分に取り入れられるように作られている大きな窓のある部屋の中には緑豊かな植物が生い茂り、その中央部分に大きなベッドが鎮座して緑の髪を持つ美しい女性がスースーと穏やかな寝息を立てて幸せそうな顔をしている。


 敵ではないがトリシアと言う存在が侵入している状態なのだが、一向に起きる気配がない。


 神であれば侵入者の気配を関知する程度は朝飯前なのだが……


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