(7)騎士への対応
思わず納得してしまいそうな言い訳をして、ランドフィッシュの乱獲をしていないと言い張るショージの家でもあるミルソ公爵家の騎士達。
「はっ、所有権のないお前等が調査する必要性はないだろうが?それに、そのでかい桶はなんだ?それにお前が持っているのは収納袋だろう?たっぷり獲って持ち帰る気満々にしか見えないんだがな?」
ステールさんの言う通りだよね。
ここまであからさまなのに言い訳するなんて、どう言った思考回路をしているのだろう?
「静流様、特別な個体なのです。そう言った者だと思うしかありませんよ」
ここでも僕の思いをフォローしてくれるトリシアさん。ありがとうございます。
笑顔で僕に話しかけてくれていたけれど、一気に表情を厳しくして騎士達に向かってこう告げたよ。
「あなた方は私達に見覚えがあるはずですね、ミルソ公爵家の騎士の皆さん。ならば知っているでしょう?私達が水神アクアの加護を持っている事を」
えっ!?っと言いそうになった僕だけれど、何とか堪える事が出来たよ。
自分で自分を褒めてあげたい!
アクア様の加護を頂いた記憶はないけれど、神国アクアでの出来事を思い出す限りではそう思われても不思議ではないよね。
その思惑通りなのか騎士達は怯えているように見えるので、きっとこれ以上この場所に手を出す事はないはず!
「わ、わかった。俺達が悪かった。二度とここには来ない。そうショージ様にも伝える!」
ショージの命令で来ていたようだけれど、誰の命令だろうがこの場に来て乱獲しようとした事は重罪であるので、騎士達の扱いはステールさんに一任する事にしたよ。
僕の意思を感じ取ったトリシアさんは黙ったまま僕の腕にしがみついて、微笑んでくれているよ。
「えっと、ステールさん。この人達の扱いはお任せします」
「お任せ……いや、一応こんな奴らでも領主の騎士だからな。これ以上俺ができる事は無いのが残念だ」
「そうですか……そうですよね。わかりました。では騎士の皆さん、ステールさんの温情でこの件はなかった事にします。僕達がいなくなっても神の視線はどこにでもありますから。その事、決して忘れる事の無いようにお願いしますね。そう言えば、ランドフィッシュを得る事で増税しようとしているのですか?必要な増税であれば口を出す事ではないと思っていましたが、皆さんの姿勢を見るとそうではなさそうです。見逃す条件はその部分の撤回も含めます。良いですね?」
「「「は、はい!!」」」
う~ん、増税撤回と言う要求は正直越権だし、神の視線はどこにでもあるなんて大ウソついてしまったけれど、大丈夫かな?
「全く問題ありませんよ、静流様。ある程度力を取り戻せば、静流様のご想像の通りどこでも見ようと思えば見られますから!」
トリシアさん、あまりに具体的な回答を頂けているけれど、具体的すぎるので心を読んでいませんか?
力を取り戻せば何でもできるって聞こえたし、最も早く制約から外れているトリシアさんの力は結構取り戻せているはずなので……
「静流様。私が静流様の心を覗くなどは絶対にしません。他の人が対象でもしませんよ。静流様の指示であれば喜んでしますが、それももう少し力を取り戻さないと無理ですね」
この考えも完全に看破されてしまったけれど、ちょっと申し訳ない気持ちになったよ。
「ごめんなさい、トリシアさん。勝手な事を思っちゃいました。良く考えれば、僕はトリシアさんに全部知ってほしいので、別に読まれても問題ないですよ」
「ウフフ、私も同じ気持ちです。ですが先程も申し上げましたが、そのような事はしませんよ、静流様」
僕達が二人の世界に入っている間に、騎士達に色々と念を押してくれていたステールさん。
いつの間にか騎士もこの場を後にする準備を整えており、その後逃げるように去って行ったよ。
「よし、それじゃあもう少しこの針を使ってランドフィッシュを手に入れて帰るか?」
「そうですね。僕達もお手伝いしますよ、ステールさん」
「また勝負ですね?静流様」
こうして三人で釣りを楽しみ、十匹ほどの釣果を上げて帰路につく僕達。
収納袋に結構な数のランドフィッシュを保管して戻ると、ステールさんのお店で待ち構えていたお客さんの為に厨房が忙しそうになっているね。
「静流様、念のため数日は様子見でこの地に留まった方が良いかと思いますが」
「そうですね。ショージの事ですから簡単にはあきらめないかもしれませんが、前回の事がありますから、あれだけ念を押しておけば大丈夫かと思いますけれど……」
こうして更に数日村に滞在する事にした僕達だけれど、する事と言えば釣りだけ……
「今日も大漁でしたね」
正直に言ってしまうと、僕のつたない収納魔法やトリシアさんの収納魔法にも十分過ぎるランドフィッシュが収納されているので、流石に飽きてきたのが本音だよ。




