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神の揉め事に巻き込まれた男と被害者女神の世直し旅  作者: 焼納豆
再びの旅

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(3)釣果

 針の形状を真似して良いか聞かれた僕だけれど、隠す事もないしどうせならしっかりした見本があった方が良いと思い、針を上げる事にしたよ。


「もし良ければ、その針差し上げますよ。現物があった方が作りやすいでしょうし、何かと良いかと思います」


「本当かよ?俺達は何も返せない……いや、見た感じ旅をしているんだよな?是非ウチの村に泊まってくれ。俺はこう見えて宿を経営していているからな。一泊無料食事つきでどうだ?」


 どうだと言われても、ありがとうございますしかない気がしますが……


「ぜひお願いします!静流様、お食事楽しみですね?」


 トリシアさんが僕の代わりに即答してくれたよ。


「そうか。ぜひ楽しみにしていてくれ。俺の女房が調理場を仕切っているが、今日はこの針のおかげで珍しくランドフィッシュを手に入れる事が出来たしな。まだ時間があるからもう少しだけ竿ごと借りても良いか?」


 そうか、この人も僕と同じで妻帯者なんだね。

 だからトリシアさんに一瞬目が行ってしまったけれど、固定される事は無かったのかな?


 ますますその人柄に惹かれそうになっているので、お礼も兼ねて遠慮なく使っていただく事にしたよ。


「もちろんです。頑張ってください!」


 こうして対岸で再びランドフィッシュを釣るために頑張っている人達を見ながら、僕達は川のせせらぎ……は、今は聞こえず、対岸での戦いのような声が聞こえてくるけれど、日差しの温かいのんびりした一時を過ごす事ができたよ。


「いよっしゃー!三匹目だぜ!これで確実に黒字間違いなし!ウハハハハ、こんなに釣れるなんて、俺は見た事も聞いた事もねーな。まさに神が味方してくれたと言っても信じられそうだな」


 その神が貴方達の目の前にいますよ!頑張ってくださいね。


 その後二匹追加で釣りあげ、異常なほどに機嫌が良い人達に先導されて村に向かっている僕達は、村の現状をある程度把握する事が出来たよ。


 ほぼ自給自足で時折訪れる行商人から物資を仕入れているみたいだけれど、村からは農作物や今回のように得られた魔獣を提供しているみたい。


 物々交換の時もあれば貨幣で購入してもらう時もあるようで、過去に一度だけ釣り上げた直後のランドフィッシュを試しに食べさせてみたら、味付けをしていない状態で相当な旨味を感じたらしく残りを高値で引き取ってくれたそうだよ。


 村人達はその結果から川に直接ランドフィッシュを捕獲するために入ろうとしたらしいけれど、水中に結構危ない魔獣がいるらしくて、結局は釣るしか方法がなかったんだって。


 村としてもランドフィッシュが魔獣の肉を好んで食べる事は知っていたけれど、貴重な食料の為にそうそう使うわけにはいかず、何とか色々試している最中に僕達がさっさと釣り上げちゃったから、意を決して貴重な肉を使用したみたい。


 でも結果は……返しのない針を使っていたのでかかりはするけれど、餌だけ持っていかれてしまって落ち込んでいた所で僕達に思い切って声をかけて、思いがけない程の大漁となったんだって。


 確かに僕達に声をかけて来た時はかなりきつい言い方だったけれど、きっとアレは貴重な食料を使って成果が出ない事に焦っていたんだね。


 村に着くと想像よりも立派な門や家があるけれど、やはり村だけに沢山の人が住んでいるわけじゃないみたい。


 対岸にいた人達は嬉しそうにランドフィッシュを持って各自の家に帰っているようで、僕達を泊めてくれる人だけはその針作成の費用対策なのか、二匹持っているね。


「ここだ。入ってくれ。お~い、今日は大量だぜ?向かった全員にランドフィッシュを各一匹、そして俺には二匹だ!」


 ドタドタドタ……このご主人の大声に反応するように、おそらく厨房から走ってくる音が聞こえるので、この足音が奥さんなのかな?


「……どうしたの?今日は何があったのかしら?そう言えば数日前から川の水がきれいになったとは聞いているけれど、そのせい?って、あ!いらっしゃいませ。宿泊ですか?お食事ですか?」


「あ~、この人達のおかげでランドフィッシュを五匹も釣れたからな。その知識も与えてくれるって事で、今日はお礼を兼ねてここに泊まって頂くことにした」


「あらそうなの?……って本当に二匹持っているのね。凄いわ!ありがとうございます。早速調理しちゃいましょう」


 調理中だったのか、栗色の髪の毛を一纏めにしている女性はランドフィッシュを二匹渡されると、厨房に消えていったよ。


「アレが俺の女房だ。美人だろ?」


 そう言ってにやけているけれど、丸坊主で少しきつそうな目で言われると怖いです!


「一匹は今日の料理になるが、もう一匹は保存用に加工して行商人が来た時に売る事になる。ま、一匹でも十分楽しめるから期待していてくれ。あの河原で焼いて食った時とは違うってところを見せてやるからな」


「「ありがとうございます」」


「そんで、これが部屋の鍵だ。上がって三階。一番奥だ。飯になったら声をかけるから、それまで寛いでくれ」


 僕としては釣り針でここまでと思わなくもないけれど、好意はありがたく受け取っておこう!


 実はここに来るまでの道中に投網について聞いてみたけれど、一度実行しようとして水中にいる魔獣に網を引っ張られて死にそうになったので、以来実行されていないんだって。


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