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神の揉め事に巻き込まれた男と被害者女神の世直し旅  作者: 焼納豆
その後の神国アクア

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(6)イワイ達

 ギルドから出て来たばかりのイワイとロドリコは、ギルドの中にこれほどの美女がいれば気が付いていたはずなのだが……おそらく職員の誰かで今迄個室にいたのか、裏手の解体場側から入ってきたのかと考えていた。


「大丈夫ですか?何があったのかはわかりませんが、この俺イワイが来たからにはもう安全です」


「そうですよ。銀色(レベルB)のカードを持つ俺ロドリコもいますから、ご安心ください」


 無駄に周囲を警戒する姿勢を見せつつ、女性に自分達が守ってみせると強硬にアピールする二人なのだが、その女性から返ってきた言葉は非常にそっけないものだった。


「あなた方()、目と心が濁っていますね」


「「えっ??」」


 今どこにいるのかわからないトリシアよりも目の前の女性の方が良いのかもしれないと考えていた二人は、このチャンスを生かすべく女性の警護に当たって信頼を得て仲を深め、女性が冒険者かどうかもわからないのに、あわよくば同じパーティーに組み入れて共に行動しようとすら思っていた。


 その全てを、それこそ人格を含めて否定するような一言が発せられ、二の句が継げないイワイとロドリコ。


 徐々に言われた事を理解して、突然これ以上ない程失礼な事を言われたので罰として多少強引にでも……と考え始めていた所に、ギルドの中からユベルを含めた人々が出てきて、女性に向かって跪いたのだ。


「……おい、ロドリコ!なんだこれ?何のイベントだ?ギルドでの催し物か?」


 あまりにも現実離れした状況のため、この世界の常識に疎いイワイは異世界ならではの慣習なのかと思いロドリコに問いかける。


「バカ野郎!そんなわけがあるか!きっとこのお方は名のある高位貴族令嬢、国家中枢の人物に違いない。お前も頭を下げろ!」


 ロドリコの言っている事は当たらずとも遠からず。


 国家中枢と言うよりも、この神国アクアの根源たる湖を守護・管理し、この国家を守っている水神アクアその人なのだから。


 アクアに最も近くにいるイワイとロドリコも慌てて頭を下げるのだが、とても良い匂いがする!等と意識が散漫になっている中で、アクアから淡々と発せられる言葉に耳を傾けて凍り付く。


「イワイ、そしてロドリコ!」


 おそらくギルドカードに記載されている名前を読み上げられているのだが、呼ばれた二人はその美しく透き通った声からは底冷えするような得体のしれない恐怖を感じている。


「あなた方二人からは、そこに倒れている有象無象と同じ匂い、同じ感情が読み取れます。聞くところによると、ミツバ王国の国王がギルド本部に依頼とも言えない、見るに堪えない内容の書面を張っていたそうですね」


 ここにきて、自分達がユベル暗殺を企んでいた事が知られている上、路上に倒れている者達も同じで返り討ちにされたのだと理解したのだが、逃げようにも襲い掛かろうにもどうにも動く事が出来ずに、唯々発せられる言葉を聞いている事しかできない。


「まったく、あのミツバ王国……王城には少しお仕置きが必要ですね。ところで、そのようなふざけた依頼を喜々として受けて活動する者が冒険者と言えるのでしょうか?」


 有無をも言わせないこの声に、下を向いたままの自分の顔から一気に汗が流れ落ちているのがわかるイワイとロドリコ。


「ある程度情報を持つ冒険者ならばご存じのはずですね?ここは水神である()アクアが守護する国。庇護対象に理由なく襲い掛かる者を見逃すわけにはまいりません。シズルやトリシアとの約束もありますからね」


 神と言われても疑う余地がない程の圧力、そして少し前に見せられた不思議な水魔法。


 止めは、ギルドからこの国の代表であるギルド長すら出てきて遜っているので、絶対の存在である水神である事に疑いの余地はなかった。


「あなた方二人には、この国に向かってきている同じような者達に対して今回の事を広く伝える事で、これ以上の仕置きは許してあげましょう。そこに倒れているゴミと一緒に即座に出国しなさい。そうそう、二度目は手加減しませんからそのつもりで」


 その言葉を最後に、遜っていた冒険者や国民から一斉に拍手と共に歓声が沸く。


「アクア様!」


「守護神、水神様!」


「今日()朝から飲み明かしましょう、アクア様!」


「お初にお目にかかります。お会いできる事を夢に見ておりました!」


 歓喜の声と共に、まるで友人を酒に誘うかのような声も聞こえてきていたのだが、イワイとロドリコは言われた通りに倒れている冒険者を両肩に抱えてスゴスゴとこの国を後にした。


 門を出るとギルド前での情報が回っているのか、相当厳しい視線をサイクロプスから向けられて移動速度が一気に上がる二人。


 意識のない冒険者をそれぞれが抱えながら逃げるように神国アクアを後にしている以上、ミツバ王国の依頼を受けている冒険者は異常な状態を把握するべくイワイとロドリコに駆け寄る。


「おい、どうした?」


 中には野営で共に語り合った者もいるので、イワイ達がユベルを始末しようと内部に潜入した事を知っている者もいた。


 正直誰しもが依頼達成の競争相手であるのだが、未だ入国していない冒険者達はサイクロプスの脅威に勝てずにこの場で燻っていた。


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