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神の揉め事に巻き込まれた男と被害者女神の世直し旅  作者: 焼納豆
その後の神国アクア

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(4)イワイ達

「ギルドはどこでも変わらないな」


 大きな武器や盾が描かれている看板と、中からは賑やかな声、更には少しお酒の匂いがする建物に到着した二人。


「それはそうだろう?小奇麗な連中しかいないギルドなんて、俺は見た事がないぞ?お前の田舎ではそんなギルドがあったのか?イワイ」


「いや、そう言うわけではないが」


 そんな話をしつつも中に入って行く二人。


「前にいた町のギルドよりも繁盛しているみたいだな」


 あまりの人の多さに熱気が漂っている神国アクアのギルドに驚きつつも、周囲を観察しつつギルド長ユベルの存在を探そうとする二人。


 イワイには未だ十分な知識はないが、長く冒険者として活動しているロドリコであればギルドの長が通常どこにいるのかは良くわかっている。


 最も可能性が高いのはギルド長に与えられている個室、その次が業務を補助するべく受付の最も後ろの位置、最後に素材納品の状況を確認するための解体場だ。


 しかしその知識は通常のギルドに対して当てはまる事であり、神国アクアのギルドでは通常冒険者に出される討伐依頼や素材入手依頼ではなく、畑の整備や建屋の復旧・新設と言った依頼が未だに数多く出ており、増え続けている国民のための依頼に重きを置かれているので、ユベルは時折町の現場に出ていたりする。


 ある程度実力がある冒険者は魔獣や獣を討伐して安全確保をすると共に食材、各種魔道具の素材として入手しているのだが、今この場にいるほぼ全ての冒険者は低レベルであり、復興に従事している者達だ。


 中には全く畑違いの仕事をしていたのだが、町の復興の為だけに冒険者登録をした者もいる状況になっている。


 独立を宣言して湖が復活した事が広く知れ渡った事も、これほど一気に住民が戻った上に更に増えている要因の一つだが、もう一つの要因は水神アクアが実際に顕現したと言う情報も広く知られたためだ。


 住民達だけの情報であれば眉唾だが、その情報は領地に飛ばされた四人の召喚者や王国所属の騎士達からももたらされたので、一気に広がってあっという間にこのような状況になっていた。


 ギルト長がいる可能性が高い受付側の最も後ろで各種業務を補助・統括しているのは、元盗賊崩れで犯罪奴隷となっている神国アクアの頭脳であるアッサム。


 前からこの国で活動している者達はたとえ首輪があろうが同じ国民であり頼れる仲間の為に誰も気にしないのだが、流れの冒険者は嫌悪感を露わにする者がほとんどだ。


 イワイには首輪の意味は分からないが、ロドリコは他の流れの冒険者と同じようにこう吐き捨てる。


「あいつ……ではなさそうか?そもそも首輪付きだからな。この国では犯罪奴隷が事務所のあの位置にいるのかよ?」


「なんだ?あの首輪がどうかしたのか?」


「お前は、どれほど田舎に住んでいたのだ?イワイ。アレ(首輪)は犯罪者に取り付けられる犯罪奴隷の証だ。ギルド本部で厳格に管理されているから、冤罪と言う事もない」


「そうか。その立場の者が随分と高い地位にいるようだな。このギルドは普通ではないと言う事で良いのか?」


「そりゃそうだ。そもそも犯罪奴隷なんてめったにお目にかかれない。それがギルド職員、それも事務方を纏める位置にいるのは異常だ。見ろ!」


 そう言って周囲の冒険者に視線を移すロドリコにつられて周囲を見るイワイは、相当数の冒険者達が受付奥の首輪の男を見て眉を顰めている事に気が付いた。


「で、見つかったのか?」


 イワイにとってみればだからどうしたと言う話なので、裏の依頼である殺害ターゲットのギルド長ユベルの存在を確認するのだが……


「普通あの場所に座るのがギルト長なんだよ。だが、このギルド長が犯罪奴隷であるはずがない。待てよ?暗殺を恐れてダミーの首輪をしている……のか?あり得るな。落ち着いて考えれば、そもそも犯罪奴隷はそうそういるものじゃない。それに奴隷が上役……ないな。有り得ない。きっとあいつがユベルで間違いな……」


「おーい、アッサム!ちょっと来てくれ」


「ちょっと待ってくだせい、ユベルの旦那!直ぐ行きやす」


「区切りがついた所で良いぞ!」


 自信満々に推理して見せたロドリコの言葉が終わる前に、二階の踊り場からユベルに声をかけられたアッサム。


 ロドリコの自信満々の推理の結果導き出した結論……ギルド長でありターゲットであるはずの男はユベルと言う名ではなくアッサムと言う名前であり、二階の踊り場に現れた男がターゲットのユベルだったのだ。


「……あいつがユベルだ」


 恥ずかしさから少々顔を赤くしながら、二階の踊り場に現れた男を視線で示すロドリコ。


「……そうみたいだな。流石の俺でも理解できた」


 イワイはこれ以上何を言って良いのかわからずに、一応ターゲットの姿だけは記憶しておこうとユベルの姿を脳裏に焼き付ける。


 恥辱からか動きが停止してしまったロドリコは、全てを誤魔化すように強引にイワイを併設の食堂兼酒場に連れて行き、これだけ言うと一気に酒を流し込んだ。


「イワイ、実行は明日だ」


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