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神の揉め事に巻き込まれた男と被害者女神の世直し旅  作者: 焼納豆
その後の神国アクア

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(3)イワイ達

「国家の代表を殺害……穏やかじゃないな」


 思わず日本での常識が飛び出てしまうイワイ。


 異世界と言ってもその程度の良識はあるだろうと言う期待から出た言葉なのだが……


「そうか?そこだけ聞けば確かにそうだが、神国アクアと名乗っている場所はミツバ王国の四大公爵のうちの一つ、リーシル公爵領に含まれていたからな。話を聞く限りでは、水無し盗賊あり住民無しの領土に見切りをつけたリーシル公爵とミツバ王国が領有権放棄後に独立宣言をしたらしいのだが……」


 このような領土関係のトラブルは地球でも起こっていたなと考えながら、あきれて首を振りながら問いかける。


「新たなお宝でも見つかって、再び領有権を主張しているのか?」


「惜しいな。今の所お宝がある訳じゃないが、俺が前に話した水が枯渇した湖が完全復活したらしい。そうなると、あの場所は実り豊かな土地に早変わりだ」


「……なるほどな。だがその事情を聞いても、ミツバ王国の国家元首が認めているかどうかは別にして、ギルドに他国の国家元首の殺害を依頼するとは、正直に言うと正気の沙汰じゃないと思うぞ」


「そうだな。だから代表の殺害依頼も含めて表立っての依頼ではなく、その中でも第一の依頼は……門番のサイクロプスの始末と言う事になっているそうだ」


「は?サイクロプス??ロドリコが前に教えてくれた一つ目の巨人でレベルBに分類されているって言っていたヤツか?」


「流石はイワイ、抜群の記憶力だ」


 軽く拍手をしながらイワイの記憶力を褒め称えるロドリコ。


「茶化すな。だがそうか、だから優秀なテイマーがいると言ったのだな。あれ?そう言えばテイマーに使役されている魔獣は討伐対象ではないのだろう?」


「そうなのだが、そもそもサイクロプスレベルをあの場所に居る有象無象では使役できるわけがないと言い張っているらしいからな。あくまでただの危険な魔獣が自らの領土にいると言う体で始末するらしい。だけど、レベルBだろう?誰かが始末しに向かったと言う一報を聞いてから裏の依頼であるユベル殺害を企んでいるので、この場の連中全員が特段急いでいないと言うわけさ」


「仮にサイクロプスを倒しても、その冒険者は確実に大怪我を負ってユベルまで手が回らないと踏んでいるんだな?それに、今の段階で近接すれば巻き添えになる可能性もあるから、ある程度距離を保っている……と」


 イワイの問いに、酒を飲みながら頷くロドリコ。


 日本であればあり得ない程の難癖、傲慢な依頼ではあるが、ここは異世界なので郷に入っては郷に従えと言う諺もあったなと思い出し、自分達はどうするべきなのかを考えるイワイ。


「ま、そんなに真剣に考えるなよ。ちょっと目的は変わったが、今回のその依頼を達成できれば、国王から直接報奨が出るらしいからな」


「ギルドからではないのか?」


「それはそうだろう?イワイも言っていただろう?穏やかじゃない依頼だって。ギルドには国王からの依頼書に似た書面が張られているだけ。ギルドはその内容から立場上関与しない」


 それはそれでどうなんだと思わなくもないが、絶大な権力を持っている国王の依頼を全否定する事は難しいのだろうなと納得する。


「わかった。それで俺達はどう動く?」


 こうしてイワイとロドリコを含めた流れの冒険者は、神国アクアに少しずつ近づいて行く。


「おい、見るのと聞くのじゃ大違いだ。あいつは……無理だろう?実際問題、行けそうか?ロドリコ」


「確かに、これだけ遠目で見てもあのデカさ。イワイの言う通り、俺の力だとちょっと厳しいな」


 トロトロ歩いてもやがては神国アクアについてしまう。


 周囲の冒険者と共に門の横に聳え立っているサイクロプスを遠目で見て、一瞬で討伐を諦めるイワイ。


 本来の作戦は、これまでに得た情報から敵意を表さなければサイクロプスは反応しないと聞いていたので、近接して一撃を食らわせたうえで侵入し、混乱の最中にユベルを始末しようと考えていた。


 二人はユベルを見た事がないのだが、精力的にギルド長として活動しているらしいと聞いているので、ギルドに突入すれば簡単に判別できるだろうと言う……とても荒い計画を立てていた。


「こうなったら、裏の依頼だけを実行するか」


「随分と……いや、それが最も成功率が高いのだろうな。わかった。一応俺達はカードを持っている冒険者だから、ギルドに行っても怪しまれる事は無いからな。それで行くか?ロドリコ」


 二人は武器を荷袋にしまい、街道を進んで門に近づく。


「おいおい、近づくと本当にでかいぞ!」


 イワイは、初めて見る実物のサイクロプスの立派な体躯を見て腰が引けてしまっているのだが、ここまで来て引き返す事はできないと気合を入れて門に進む。


 武器をしまっている事が功を奏したのか、一瞬大きな目で見られているような気配がしたのだが、そのまま中に入る事が出来た二人は安堵からか無意識の中で大きく息を吐いていた。


 そのまま決意が鈍らない内に行動に移るべく、ギルドに向かった二人だ。


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