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神の揉め事に巻き込まれた男と被害者女神の世直し旅  作者: 焼納豆
水神

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(25)ユベルの決断

「フン。良く聞こえんかったな。もう一度言ってみろ?」


 リーシル公爵の王都の別邸や王城、その他の公爵家、更には貴族やギルド職員、他国に至るまで驚きをもって迎えられた一報が大々的に流れた。


 それは元ミソロ町からギルド本部を通して世界に布告された、ギルド長であるユベルから発せられたこの言葉。


「我ら()ミソロ町は、ここに国家として独立を宣言する。我らは水神アクア様の加護の元、何人にも支配されない豊かな国を目指す。国の名前は、恐れながらも水神様から頂き、アクア、神国アクアだ。この名を良く胸に刻んで頂けるとありがたい」


 未だ四大公爵の子息、息女が現アクア町に到達していない状態で、突然独立を宣言されてしまった。


 王家としてはここで漸く湖の復活の話を聞き及び、四大公爵を含めてミツバ王国の誰しもが神国アクアの領有権を再び主張するべく動き始める。


 この話は一気に大陸中に伝わり、そのおかげか元ミソロ町から退避した住民が神国アクアに戻り始めている。


 旅の途中であるユーヤを始めとした四大公爵の子息、息女達にはその情報は届かず、神国アクアを領地とするべく企んでいる王家、四大公爵家の手の者が彼等を追いかける状況になっている。


 王家や公爵家の軍に所属する者達の中には信心深い者も多数いるので水神アクアの事も良く知っており、その加護を受けた国が本物かどうかその場で判断し、場合によっては軍を離脱して神国アクア側になろうとしている。


 これだけ大掛かりな軍を動かしてしまったので王家と四大公爵各々が秘密裏に個別で動けるわけもなく、貴族からの反感を買うべきではないと判断した王家、同格の貴族同士で争うべきではないと判断した四大公爵家の間で協定が結ばれ、領主としては過去の通りにリーシル公爵家となり、税収はある程度他の公爵家にも分配する事で決着がついた。


 その情報を基に急ぎ先行している四人の公爵家の子息、息女一行に追いつくべく、軍隊が移動を始める。


 全体を早く動かすことは非常に難しいので、速度重視の部隊だけは別行動となっている。


 先行している四人も、同時期に全く同じ方向に向かって同じ町を経由しているので結局は互いに内心どう思っているかは別として、以前の協定を確認した上で共に行動していた。


 先行部隊がこの四人の一行に追いついて事情を説明するのだが、正直この四人には国がどうなろうがあまり興味はなくシズルとトリシアだけに意識が向いているので、特段驚くような反応を見せなかった。


「ご理解いただけていますか?我らの庇護から外れ、独立すると一方的に通達したのですよ?これはリーシル公爵家だけではなくミツバ王国に対する重大な裏切り行為に他なりません」


 あまりにも反応が薄いので、今一度部隊長が理不尽な内容ではあるが説明するのだが、やはり反応は変わらない。


 寧ろ召喚者四人は、自らの自由行動が損なわれる事に不機嫌さを隠そうともしなかった。


「あの町は、有ろうことか水神アクアの庇護があると言い放ち、その名を関して神国アクアを名乗ったのです。我が部隊にも神を信じる者がいますが、その者を見た者は誰一人としておりませんので、正直そこも眉唾です」


 召喚者四人は、不思議な空間で願いを叶えてもらってこの立場にいるので神はいるだろうとは思っているのだが、やはりそこには興味はない。


「そのふざけた宣伝効果で、周囲の人材があの場所に流れ込んでいるのです」


 最後のこの一言には全員が反応した。


 今まで目撃されていないシズルとトリシアだが、周囲から人が神国アクアに流れているのであれば、見つかる可能性が高くなると判断したのだ。


「フッ、理解した。一刻も早く向かおう!」


 態度を突然変えた四人だが、隊長としては嬉しい変化であるために後方部隊を待ちつつも進軍を開始した。


 数日後……


 練度が非常に高いので、後方部隊とも合流の上で神国アクアの防壁が見える位置まで達する事が出来た国と公爵の連合部隊。


 その部隊や四人の召喚者達の視界に入るのは巨大な門と遜色ない程の大きさの魔獣サイクロプスが、まるで侵入者は誰一人として見逃さないとばかりに直立不動で立っている姿だ。


「ユーヤ様、どうやらあの場所には優秀なテイマーがいるようです」


 シズルは同郷の者が公爵家の子息、息女だと説明しても理解の範疇を超えるだろうと思い説明していないのだが、彼等の対応をアクアやユベル達国民に任せて旅をする事を止め、この国の安全を確保した後に再び旅に出ると決断していた。


 シズル達が先日アクアとこっそりと話をしたところ、制約が取れた直後のアクアとしても力の行使に少々不安があるので、シズルやトリシア、シバの助力があるのは正直ありがたいとの話があったのだ。


「あれがサイクロプス……俺達の中に誰かテイマーはいるのか?ユーヤの所はどうだ?」


「フッ、獣を扱う下賤な者をトリシアの視界に入れる訳にはいかないから、連れてくるわけがない」


「え~?ユーヤ何言ってるの?ちょーダサい!ふわっふわの毛並みを楽しめるかもしれないじゃん?ショーコもそう思うでしょ?」


「ヨシエ、今はそんな事を言っている時ではないでしょ?」


 四人の召喚者は神国アクアの領有権よりもシズルやトリシアの情報が重要であるために、あまりにも緊張感のない話をしている。


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