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神の揉め事に巻き込まれた男と被害者女神の世直し旅  作者: 焼納豆
地神の解放

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(14)出立の時

「ごちそうさまでした。いつも美味しいお食事をありがとうございます。で、実は……僕達、今日この後町を出ようと思うのです。ギルドや騎士の方に挨拶して、そのまま西門に向かいます。今迄ありがとうございました。また機会があれば立ち寄らせていただきます」


 宿の食堂で朝食を頂いた後で女将に挨拶をしているのだけれど、女将は表情を一切変えずに快く送り出してくれたよ。


 宿の女将を長年経験していると、一期一会……僕では想像もできないくらいの人に出会っているし別れているのだろうから、僕の挨拶を聞いてどんな気持ちでいたのかなんて、想像もできないよね。


「次は……位置からギルドの方が良いと思います、静流様!」


 トリシアさんの指示通りにギルドに向かい、特に肉を一気に納品した解体担当の方達からは本当に残念がられたのが凄く嬉しかったよ。


 受付はと言うと……


「え!そうですか。冒険者は自由業ですからね、風の向くまま気の向くまま。ですが、当ギルドとしては正直痛手ですね。今後農地の拡充に伴う冒険者の派遣、そして不足する魔獣対策要員……って、安心してくださいね。危険な対策ではなく、食料調達の意味ですから!」


 職業柄か色々話をしてくれたけれど、僕達の出立を惜しみつつも笑顔で送り出してくれました。


「最後に騎士の詰所ですね。あまり行きたくはありませんが……」


「え?何故ですか、トリシアさん。昨日お世話になってしまいましたし、良い人達だと思いましたけれど?」


「あ、違うんです。騎士の方々ではなくてですね、その……詰所の下にある檻に、静流様に暴言を吐いた者達の存在があるようでして……」


 さすがはトリシアさん、僕ではまだ関知する事の出来ない範囲の気配を掴んでいるようで、岩井先生達の存在に驚くよりも、トリシアさんの能力の凄さに驚いてしまったよ。


「凄いじゃないですか、トリシアさん。僕ももっと頑張らなくっちゃ……って、シバもわかるの?凄い!凄いよ、シバ!」


 シバからは僕も気配を掴めているよと言う感情が流れ込んでいるので、嬉しい気持ちのままシバを抱きかかえて撫でまわしながら騎士の詰所に挨拶に向かったよ。


 慣れているのか、もうシバを撫でまわしてもトリシアさんが頬をプクーっと膨らます事はなくなったけれど、何となく寂しいような、嬉しいような?


「おはようございます!」


「お?英雄の到着か。どうした?こんなに朝早く。朝から気合入れて祭りに参加か?」


「いえいえ、違います。実は、僕とトリシアさんとシバ、この後にこのまま旅に出ようと思っていまして、ご挨拶に伺いました」


「!?そ、そうか。寂しくなるが、止める権利もないしな。っと、そうそう。一応昨日の件を報告しておこう。二人に絡んできていたイワイとロドリコだがな、一晩この下の檻で頭を冷やしてもらっている。あいつ等が二人にかけていた疑いは聞くに堪えない何の根拠もない妄言だったので、ギルドに厳しく抗議する予定だ」


 ギルドに抗議って、僕もギルド所属の冒険者と言う立ち位置だけれど、所属箇所に抗議されたらどうなるのだろう?


「えっと、そうなるとどうなるのですか?」


「内容にもよるが、今回の悪質度とあいつらのレベルを鑑みて、おそらく一ランクの降格になるだろうな」


 う~ん、あの岩井先生の態度からは自分のランクに凄いプライドを持っているように見えたから、ランクダウン……それも、言いがかりだけれど僕が原因と思われる事になるわけだし、なんだか余計な敵を作るのも嫌だよね。


「その、僕達は特に大きな被害を受けていませんし、町にも被害は出ていないのであれば、丸く収めて頂く事はできますか?」


 あれ?僕って変な事を言っちゃったかな?

 騎士の皆さんが“何を言っているんだ”みたいな顔をしているけれど……


「そ、それは別にできない事もないが、普通の冒険者であれば敵対してきた者は叩き潰すのが基本だろう?俺達騎士もそうだ。舐められると調子に乗っていつまでもちょっかいを出してくるからな。それを踏まえて、どうだ?」


「どうだ……と言われましても、考えは変わりません」


「どれだけお人良しなんだ。って、トリシアもそれで良いのか?」


「はい。静流様の決定を尊重します!」


「は~、英雄と呼ばれる者は懐も深いと言う事か。わかった。今回は厳重注意でギルドの報告はやめておく。だが、もう一晩程度はこの町から出さないから、ゆっくりと旅を楽しんでくれ!」


 岩井先生と再び会ってしまう可能性を少しでも下げてくれる配慮が嬉しいよね。


「はい!ありがとうございます」


 僕達は詰所を後にして近くの西門に向かったのだけれど、本当に最後の最後までこの町の人達の優しさを感じる事が出来たよ。


「おいおい英雄、俺達に黙って消えるなんて寂しいじゃねーか。ホラ、持っていけ」


「これは私からの選別だよ。いつでも歓迎するから、気軽においで!」


 焼き鳥屋の店主や宿の女将、冒険者の人々がいつの間にか噂を聞いたのか、酔っぱらってフラフラの人達も含めて沢山の人が見送りに来てくれたよ。本当に有難うございます!!


「静流様、本当に素敵な町でしたね」


「そうですよね。正直、日本よりこっちの世界の方が人の優しさを感じていますよ!」


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