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神の揉め事に巻き込まれた男と被害者女神の世直し旅  作者: 焼納豆
地神の解放

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(11)町の住民の優しさ

 僕が何か言っても確実に僕を見下しまくっている岩井先生はヒートアップするだろうし、この冒険者の人に言ってもトリシアさんの美貌にやられ何としても手中に収めようとしているのは確実だから、絶対に引かないだろうし……本当にどうしよう。


「いらっしゃい、待たせたな。って、おいおい!シズルとトリシアじゃねーか。なんだよ?祭り最大の功労者なのに、ご丁寧に並んでいたのか?言ってくれりゃーすぐに渡したのによ!」


 いつの間にか列が進んで、僕達が注文できる位置にまで来ていたみたい。


「あ、ありがとうございます。でも、言う程大した事はしていませんし、皆さんと平等に同じ立場で祭りを楽しませて頂きたいので、お気持ちだけ頂きます」


「か~!英雄は言う事が違うねぇ!本来力を持つ者ってのはこうあるべきだぜ。最近は大した実力もないくせに、ランクだけで偉そうにしているやつもいるしな?」


 店主さんの視線は岩井先生と仲間であろう男の人に向いている……よね?


 忙しい店主さんでも、ここまで近づけば僕達の騒動が耳に入ったのかな?


 口ぶりからは僕達が並んでいる事は気が付かなかったようだけど、きっと声だけは聞いていたのだろうね。


「よっしゃ、英雄への感謝の気持ちだ。焼きたて全種、持ってけ!!」


 押し付けるように、全種類の肉を僕に押し付けてくる店主さん。


「え、そんな……申し訳ないですよ」


「バカ言うな。言っただろうが!お前は英雄だってな。それに、少しはトリシアに良い所を見せたいって言う下心もあるんだよ。黙って受け取れって!もちろん……えっと、そうだ、シバだ。シバの分もあるぜ?」


 どこまで本気かわからないけれど、後ろの列の人達も店主さんのこの言葉に苦笑いしながらも頷いてくれているので、頑なに断るよりも好意を受け取ろうかな。


「わ、わかりました。ありがとうございます、店主さん。それと皆さん!」


「おう。そうしてくれ。そもそもこの肉もシズルとトリシアが格安でギルドに納品したモンだからな。この程度受け取ってもまだ足りないくらいだ!」


 このやり取りをポカンと見ていた岩井先生達は、店主さんの最後の言葉が納得できなかったみたいで文句を言い始めちゃったよ。本当に恥ずかしい。


「おい店主、この出来損ない(シズル)が英雄?肉を納めた?はっ、白色(レベルE)のカードの意味を知っているか?」


「そうだな。イワイの言う通りだ。確かにカードのレベルが全てではないが、白色(レベルE)のカードが……見た所、レベルCはありそうな魔獣の肉を納品できるわけがない!」


 普通は生徒の頑張りを褒めるのが先生だと思うけれど、岩井先生は僕の実績を完全に否定して、その上で仲間の人(冒険者)も追随しちゃったよ。


 楽しい雰囲気を壊してほしくないのだけどなぁ~、と思っていると、更に岩井先生はヒートアップして自分勝手な妄想を大声で話し始めちゃった。


高岡(シズル)!お前今回はどんな汚い手を使った?まさかその女性……トリシアさんと言うのか?その女性をどこぞの有象無象に差し出してお金を集め、それを資金にこの町で英雄になるために素材を購入して納品したのか?」


「……確かにそれならばこれだけの肉の納品について納得ができるな。お前(イワイ)の教え子でもクズはいるんだな。もう大丈夫だ、トリシアさん。俺達が安全を約束しよう」


 二人で勝手に盛り上がっているけれど、周囲の視線に気が付いているのかな?


 自分で言うのもなんだけれど、僕達二人とシバはいつでもどこでも仲良くできている自信があるよ。かなり恥ずかしい時もあるけれど……


 トリシアさんは嫌でも目を引くし、そこで僕と仲良くしているのだから強制的な関係だなんて言う妄想を信じる人なんてこの町にはいないはずだよ?


 最近は僕達の仲が良い事が広まっているらしく、やっぱりどうしてもトリシアさんに視線を向けてしまう人はいるけれど、変に絡んでくる人はいなくなっているからね。


「お前等、ちょっとこっちに来てもらおうか?」


 これだけの祭りになっているので、この町のギルドからの依頼で冒険者が警備を行っているし、もとより配置されている騎士の皆さんも警戒しているからか、すぐに声をかけられた岩井先生ともう一人の人。


 ひょっとしたら列の後方の人か、僕達の少し前の人が呼んできてくれたのかもしれないよね。


「は?俺が何をした?教え子を指導しただけだぞ?」


「そうだ。イワイの言っている事は正しい。声をかけるなら、非道徳的な行動をしているシズルと呼ばれている男にするべきだ!」


 勝手な事を騒いでいる二人だけれど、声をかけてきた相手がどう見ても騎士の恰好をしているので、少し腰が引けているみたい。


「あ~、よそモンはこの二人の普段の様子を知らないから勘違いしているのかもしれないな。今回は少し前からお前等の話を聞いていた上での判断だ。良いから黙ってついてこい!では皆さん、引き続き祭りをお楽しみください!」


 配下の騎士達に強制的に連行されて視界から消えていく岩井先生と仲間の人。


「……静流様。気持ちを切り替えて楽しみましょう!」


「そ、そうだよね。本当に嵐のように騒いであっという間に消えていくなんて、薄いキャラなのかな?」


「フフフフ、そうかもしれませんね。さ、先ずは店主さんのご厚意を頂きましょう!」


 この焼き鳥のようなお肉は、僕が少し認めてもらえたと思えた事もあってか、もの凄く美味しかったよ。


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