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神の揉め事に巻き込まれた男と被害者女神の世直し旅  作者: 焼納豆
地神の解放

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(10)イワイとの遭遇

「静流様!」


 そんなに離れていないのに、僕の事を笑顔で呼び寄せるトリシアさんだけれど、チラチラと焼き鳥の匂いがする方に視線が泳いでいるのがまた可愛い。


 僕も今までボッチだったので、家族以外の誰かと祭りに言った事なんてある訳もなく……楽しい気持ちになれているので、シバと一緒に小走りで向かうよ。


「お待たせしました。凄く楽しいですね、トリシアさん」


「本当です。町中が良い匂いと笑い声に包まれて……すっごく楽しいですし、幸せです!」


 周囲の楽しそうな人達を見ながら、少しずつ進む列に並んで楽しく話をしている僕とトリシアさん……と足元で尻尾を沢山振っているシバ。


 そう言えばシバは犬ではないと言う事は本当のようで、人が食べるものは何でも食べられるらしく玉ねぎのような物も平気で食べていたから、余計な心配はしなくてよいと気が楽になった事を思い出したよ。


 少ししゃがんでシバを抱き上げて、二人で撫でていると……


「お、まさかこんな所で、って、お前……この美しい方は?」


 う~ん、聞きたくない声……この声はどう考えても岩井先生の声……が聞こえたよね。


 唯一の救いは、トリシアさんがあの場所に居た人とは思っていないところ……と言うか、あの時同じように召喚されたから、どう見ても至近距離でトリシアさんを見ているはずなのに……これだけ綺麗なのに記憶が無くなっているのかな?


 想像するに、きっとトリシアさんが何かしたのだろうけれど……


 と、そんな事を考えていると無視されたと思っているのか、岩井先生は少し声を荒げているよ。


 こんな人物が先生だったなんて本当に残念な気持ちになっているけれど、事実先生らしい事をしてもらった記憶は一切ないので仕方がないよね。


 全ての事実を話しているトリシアさんは、ものすごい嫌悪感丸出しの表情で岩井先生を見ているよ。


「おい、高岡(シズル)。先生を無視するとは偉くなったな。えぇ?そんな事だから未だにお前はダメなんだ」


 勝手にダメ出しをしてくる岩井先生は、僕とトリシアさんが首から下げているギルドカードに視線を固定しているね。


 言いたい事はわかるけれど……岩井先生はあの場所でも立場上他の召喚者であるあの四人とは少し距離があったし、一人だけ余計な願いを使わされたと思っているだろうから、同じようにハズレの存在と思っている僕を見つけて優位な立ち位置を確信して安心したかったのかな?


 岩井先生の性格的には間違いなさそうなのが、悲しいよ。


 別にランクに興味がないから更新していないので、未だに僕達は白色(レベルE)のカードで初心者だけれど、この祭りの為に少し力を入れて依頼をこなした事を知っている人達は、納品された魔獣や獣の数と種類から本当の実力は遥か上にあると知ってくれていて、感謝の言葉を伝えてきてくれたのが嬉しかったけれど、岩井先生のせいでそんな気分も台無しだよ!


「聞いているのか?あの後どう言った願いを叶えたのか……想像つくな。思った通りに下種な奴だ。いくら誰にも相手にされない独りぼっちだったからって、拒否できない存在を侍らせるとは……心底あきれたぞ。そうだ、この際だから先生がお前のその心根を根本から鍛え直してやろう」


 さりげなく自分のカードを見える位置に移動する岩井先生は、青色(レベルC)のカードになっていたよ……はっきり言って興味ないけど。


「静流様。少し……いいえ、かなり目障りですね。あの程度(レベルC)の実力を鼻にかけているのも許せません。ここは私が……」


「おい、イワイ!何をしているんだ?」


 トリシアさんに加えてシバまでが岩井先生に厳しい視線を向けているところに、知らない誰かが話しかけてきたよ。


 間違いなく冒険者の仲間で……銀色(レベルB)のカードか。


「ん?あぁ、申し訳ない。こいつ(シズル)は少し前に住んでいた所の教え子でね。久しぶりに会えたから近況を聞いていたんだ」


「それじゃあ、彼も相当な魔法を行使できるのか?」


 確かに教え子だったけれどさ……岩井先生に何かを教えてもらった記憶はないし、もちろんこの世界に来て初めて会ったから魔法とか、異世界ならではの知識も与えてくれた事はないのに……わざと勘違いさせる様に言っているのかな?


「いやいや、そうでもない。いくら教える側の能力が高くても、本当に才能のない者はいるからな。ホレ、その証拠だよ」


 僕の胸元にあるカードを指さす岩井先生と、カードを見て残念そうな顔をする男の人。


「そっか。流石のイワイでも無理な事はある……か。で、そちらの綺麗な人もイワイの教え子か?ぜひ俺にも紹介してくれよ。レベルは……今は残念なようだが、俺達がしっかりと教えればこれから伸びる可能性は十分にあるだろう?」


「確かにそうだが、俺も初見でね。だけど(トリシア)?聞いての通りに俺達と行動を共にすれば自由を約束するし、君の隠れた才能を開花させてあげる事もできると思うんだ。そんなゴミ(シズル)に付き従わせられるよりも楽しい生活を保障するよ?」


 う~ん、この張り付けた笑顔の下の下種な表情がしっかりと読み取れるので、バラドス(地神)様にはあまり効果がなかった僕の特技が復活したのかな?なんて悠長な事を考えている暇はないかもしれないね。


 僕なんかよりも、もちろん岩井先生とその仲間のこの人よりも、比べる事すら恥ずかしくなる程の強さを持っているトリシアさんが目に見えてイライラしているから……祭りの雰囲気を壊したくないので、どうやってこの場をやり過ごそうかなぁ~。


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