(2)町に到着
山あり谷ありの道中だったけれど、日に日に体力、能力もついているので全く苦にならず、シバの力も増大しつつ楽しい旅を続けている僕達。
「静流様、おそらくあの町のどこかに地神がいると思います」
トリシアさん以外に初めて会う事になる神様。
どんな人だろう……結構古くからいると言う事だから、とっても厳しい人だったら嫌だな~。
って、それよりも、人である僕と神様であるトリシアさんの関係を認めない!なんて言われたらどうしよう!!
やっと出会えた素敵な女神様とお別れなんて、僕はこれからどうやって生きていけば……
「静流様?大丈夫ですか?長旅でお疲れですか?」
「え?あっ、違います。その……地神様にトリシアさんとの関係を認めない!なんて言われてしまったら、とても悲しいなって勝手に思ってしまったのです」
優しく微笑んで僕に近づいて、ふんわりと抱きしめてくれるトリシアさん。
「嬉しいです。でも大丈夫ですよ、静流様。あの方はそのような事は言わないと思いますし、仮に言われても私は絶対に静流様の元を離れませんから!」
「あっ、ありがとうございます、トリシアさん」
良し、なんだか元気が出たよ。
まだお会いした事もないのに、勝手に悪い方向に想像して落ち込むのはやめよう!
「じゃあ行きましょうか!トリシアさん」
「はいっ!」
町に近づくと、何故か王都よりも冒険者の数が多い事に気が付いた僕。
「トリシアさん、この周辺って魔獣や素材が良く取れるのですかね?」
「そうですね、確かに普通よりも冒険者の数が多い気がしますね。それも……銀色のカードの方が多いですね。丁度ギルドがありますので、確認してきます!」
僕の返事を待つまでもなく、ぴゅーっとギルドに入って行くトリシアさん。
もう!相当目立つ容姿だし、声も蕩けそうになるほどの美しさだからあまり目立つ行動は……って、僕も言うようになったよね。
そんな事を思いつつも、何かあると嫌なので早足でシバと共にトリシアさんを追ってギルドに入るけれど、ものすごい人込みでびっくりしちゃったよ。
周囲の気配を慎重に探ると……いつの間にか受付と話をしているだろうトリシアさんの気配を感じて、人込みをかき分けて向かったよ。
「……そうですか。わかりました。ありがとうございました」
「どういたしまして。また何かありましたら遠慮なく仰ってください」
この短い間に話は終わったみたいで、笑顔で振り向いて僕に向かって来るトリシアさん。
もちろん周囲の視線を集めているけれど、その視線を歯牙にもかけずに僕にしがみついてくれる。
イタタタタ、やっぱり周囲の視線が痛いよ。これほどの人数の視線って、凄いよね。
「い、行きましょうか、トリシアさん」
半ば強引にギルドから出ると、いつものパターン……無駄に絡まれる事を防ぐために早足でこの場を後にしたよ。
何せ僕達の後を慌てて追うような気配がいくつかあったから、面倒ごとは勘弁してもらいたいからね。
「静流様、どうやらこの周囲には複数のダンジョンがあって……それ自体は普通の事ですが、そのダンジョンから時折溢れる魔獣の対処の為に冒険者が多く存在しているようなのです。通常ダンジョンで発生した魔獣は外には出ないのですが、地上でも生活しやすい土壌があちらこちらにあるそうで……」
悲しそうに話しているトリシアさんの真意をつかもうと考えた僕だけれど、どう考えてもこれしか思い浮かばない。
「トリシアさん、それって……地神様の力で改変したと言う事ですか?魔獣がダンジョンの外で活動しやすくするために」
「……はい。そうとしか考えられません。私の知る地神は優しいおじいちゃんのイメージだったのですが、変わってしまったのでしょうか」
とても悲しそうにするトリシアさんを見るのは辛いよ。
「きっと何か事情が……って、そうだ!トリシアさん。きっとそれも魔神の制約ですよ。召喚と同じ……そうに違いありません。なので、少しでも早く助けてあげないと!」
「!!そ、そうですね。そうです!流石です、静流様!」
良し、トリシアさんの元気も戻ってよかったけれど、魔神め~、僕の女神を悲しませるとは、万死に値するよね。
覚悟……はもう少し後、僕がもっと強くなったらしてもらおうかな。
え?弱気?だって仕方がないじゃない。
少し前まではボッチ属性のただの高校生だったのだから……




