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神の揉め事に巻き込まれた男と被害者女神の世直し旅  作者: 焼納豆
各人の状態

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(5)旅立ち(シズル視点)とイワイ

「静流様、次は少々大きな桶を買いに行きましょう。道中お風呂に入りたいですが、宿がない場合もありますし……」


「そうですね。でも助かります、トリシアさん。僕はまだ収納魔法は使えませんから、大きな物を買えないところでした」


「フフフ、どういたしまして。確かに収納魔法は習得するのが難しいですから。他の魔法、回復魔法は一度怪我をした時に治りたいと言う気持ちがきっかけで比較的簡単に習得できますし、炎魔法も静流様の以前の生活で身近に感じていた炎をイメージすれば習得は容易です。ですが、収納魔法だけはイメージが難しいのですよね。でも大丈夫です!一度できてしまえば、簡単ですから!」


 言うは易し……だけれど、この世界の他の冒険者の人達を見る限りでは、トリシアさんの言う通りにしてもそれほど簡単に力を得られないのではないかと思うんだ。


 僕は今まで結構簡単に色々な能力を習得できたけれど、それを踏まえると冒険者の人達が持っている能力は正直少なすぎると感じているから……


 絶対にトリシアさんが僕だけに特別に何かをしてくれているよね。


 トリシアさん本人が口にしないから僕も聞かないけれど……ありがとうございます。


「これなんて如何でしょうか?」


 感謝の気持ちでいた所、本当に大きな桶を指さして嬉しそうにしているトリシアさん。


「えっと、少し大きすぎませんか?」


「え?そんな事はないと思いますけれど……二人で入ると丁度良い大きさではないですか?」


 っと、二人用ですか!嬉しいけれど恥ずかしいですね……って、違う!


「トリシアさん、これって野営時に使うのですよね?」


「そうですよ?」


 キョトンとするトリシアさんも可愛……じゃなくって!


「えっと、見張りとかも必要だと思いますし、周囲の目もあるかもしれませんよね?一緒は正直嬉しいですけれど、危なくないですか?」


「もちろん問題ありませんよ、静流様。ねぇ?シバ」


「ワンワン」


 どう見ても任せて!と言っているシバなので、対策をしてくれるつもりなのかな?


 それならば、お言葉に甘えて……トリシアさんにも甘えて……って、僕はどうしたのだろう?勢いが凄い事になっているような気がするよ。


 少し落ち着こう、僕!


「では購入してきますね、静流様」


「あっ、はい。お願いします」


 って、流されているし!全く落ち着けていないし!


 僕の心の葛藤を知ってか知らずか、大きな桶を片手で軽々持って購入しに行く超絶美人のトリシアさん。


 ただでさえ周囲の視線を一身に浴びる存在なのに、その姿に対してアンバランスな桶を軽々持っている挙動も相まって、お店中の全員の視線が集中していますよ!トリシアさん!!


 この後も色々買い漁り、今までの依頼で一緒に貯めたお金も結構使ってしまったけれど、またこれから稼げるし、楽しい旅の始まりだから良いよね?


「では、参りましょうか静流様!」


「これからもよろしくお願いします、トリシアさん!」


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


 楽し気に二人が門から出ていく頃、教師であったイワイ(岩井)を除く召喚者の元には各自が手配した諜報部隊の者達から調査結果が伝えられていた。


 素行に一切怪しい所はなく、二人と一匹の仲は極めて良い。

 そして今日にでも旅に出る予定だと言う事を簡潔に伝えていた。


 後先考えずに四人全員が慌てて城下町から外に続く門に向かったが、時既に遅く二人と一匹は旅に出た後だと言う事を理解した。


 トリシアはとても目立つ存在であったために門番もその存在を知っており、旅に出ると言われた時には悲しい気持ちになっていたので、よく覚えていたのだ。


 その報告を聞いてスゴスゴ屋敷に戻る四人は、今後どうするべきかを各自が考えている。


 身分を捨てて追っていくか……どこに向かったかは不明だが、あれだけ目立つ存在なので、労せず追いつく事は可能だと思っているのだが、身分を保持したまま勝手に出国すると、自分の立場上、場合によっては父に廃嫡される可能性がある事も理解している四人。


 今の豪華で何不自由ない生活を捨ててまで追う価値があるのか……と葛藤している。


 本来魔王討伐に向かわなくてはならない立場なのだが、これまでのほぼ全ての召喚者達と同じく今の生活を満喫しており、命の危険を冒すような真似をするつもりは一切なかった。


 近年は、神側の事情ではあるが地神によって制約をかけられた魔神の動きが大きく制限されている為に大陸中が安定しており、この環境も自らを死地に赴かせないように大きく傾かせる一因になっている。


 結局四人は今の立場を捨てる事を決断出来ずに、ミツバ王国に留まる事にしていたのだ。


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