(8)ギルドへ
僕達の次の行動を促すように、受付の方から声が聞こえて来たよ。
「こほん!ゴホン!!お二人のパーティー登録でございますね?カードの提出をお願いいたします」
「あっ、ハイ。宜しくお願いします」
何故か真っ赤になっているトリシアさんの分のカードも、受付の人に渡す。
って、用件伝えていないけれど・・・・・・流石にこの距離での話は聞かれているよね。
「お待たせいたしました。大変ごちそうさまでした。お二人のパーティー登録完了しております」
「ありがとうございました」
受付の人の言葉に一部余計な内容が含まれていたような気がしたけれど、悪い内容じゃなかったから良いよね。
こうしてパーティー登録をしてギルドを後にする僕達。
「そう言えばトリシアさん。魔王はなんで神々に制約をかけているのですか?それに、今までの情報では少なくとも魔王領の周辺国には魔獣や魔物の活性化や干ばつ等はあるみたいですけれど、魔王側がその強大な力で積極的に外に向かって攻めて来ている事もなさそうですし」
今までに話しかけずとも勝手に周囲の人達が話していた事を聞いていた僕は、思わずトリシアさんに聞いてみた。
「そうですね。こればかりは本人に聞かなければわかりませんが、恐らく自己顕示欲が強いので、全ての神を配下として自らが全てを制御したかったのではないでしょうか。ですが、その途中で何れかの神に反撃にあい、自分自身も直接戦闘する事が出来ない何らかの制約を受けた……と考えるのが妥当です」
ほぼ全ての召喚者達が魔王討伐に向かわずに魔神の糧にならずにボケーっと生活していた為、魔神が他の神々に襲い掛かれるほどの力を得られなかった可能性もあるけれど、それにしても記録にある範囲での長期間、魔神が全く他の国家で目撃情報すらないのは魔神の性格的に有りえないみたい。
そう言われてしまってはそうなのかと思うしかないけれど、であれば、逆に僕達としては本当にありがたい。
最強戦力である魔神が少し前の僕と同じ引きこもりであれば、僕達が突然最強戦力に襲われる可能性はないのだから。
でも当然デメリットもあって、討伐するには魔王国の魔王城に行かなくてはいけない事になるので、道中の危険は増す事にはなるよね。
一番理想的なのは、勝手にお亡くなりになってくれるのが良いけど有りえないだろうから、次点としては、シバが相当力を付けた頃に、ひょっこりこの近くに来てくれる事だよね……
「ですから静流様!私達には時間があると思います。魔神の侵攻がない状態ですから、人々にとっては普通の生活ができているのです。変に藪をつつくよりも、この世界を満喫しながら目的を達成しませんか?」
もちろん目的とは魔神の討伐の事だけれど、焦る必要もなさそうで安心したよ。
「そうですよね!実際に色々情報を集めていく中で都度方針を変えれば良いわけですし、先ずは楽しむ事に力を入れましょうか!」
「はいっ!!静流様。シバも一緒に楽しみましょうね」
「ワン!」
こうして、何の気負いもなしに異世界を楽しむと言った気持ちで活動をする事にしたよ。
でも、自分が今のままでは命の危険があるのかもしれないし、シバにも強くなって欲しいから、少しはこの国、ミツバ王国で冒険者としての活動をしようかな。
同時に召喚された岩井先生以外の情報も、少しは掴んでおいた方が良い気がするしね。
「静流様!早く行きましょう」
「はぁ~い!」
考え事をしていたらトリシアさんにせっつかれてしまったよ。




