(7)ギルドへ
あまりにも綺麗なトリシアさんと、どう見ても強そうに見えない僕がイチャイチャしているように見えるこの状況。
絶対に絡まれると思っていたけれど、やっぱりそうなってしまったよ。
「シロの分際で、随分と見せつけてくれるじゃねーかよ!」
ホラ、お決まりの流れが来ました!
自信満々の態度の冒険者だけれど……この人のカードは……赤。
アレ?確か初心者である僕達の一個上……だったよね?
その割には随分と……何と言うか、無駄に威圧的だよね?
「お前にはこのねーちゃんは勿体ねーよ。俺のパーティーに入れてやるからこっちに来い!」
きみぃ~!無知って恐ろしいよね?
君が乱暴に下心満載で勧誘している人、女神様だよ?天空の神様。
そんな人…じゃなくて神に対して自信満々に強引に勧誘するとか……ないわぁ~。
「おい、無視してんじゃねーよ!」
おっと、色々考えているのを無視していると思われたみたいで勝手に熱くなっているよ、この人。
そう言えば俺のパーティーって言っていたけれど、他のメンバーが見当たらないよね?
是非この人の愚行を止めて頂きたいので、一応確認しようかな。
「あの~、あなたのパーティーって?」
「うるせーな。俺とそこのねーちゃんの二人だ。テメーはいらねーよ」
シッシッと、まるで虫を払うかのように手を振るこの人。
はぁ~、トリシアさんの美貌は素晴らしいけれど、こう言った虫を無条件で集めちゃうのだけは良くない所だよね。
本人にはどうしようもない事だから仕方がないけれど。
周囲の冒険者達は、またかよ!みたいな顔で見ている事から、この人は常習犯かな?
まだ実際に手を出している訳ではないから、今の所は誰も止める素振りはなさそうに見える。
あっちの人なんか、何故か楽しそうに……お金を賭けているみたいだね。
やっぱり冒険者の人って、僕の想像通りに野蛮な人が多いのかな?
「おい、早くしろよ。この俺様が仲間にしてやるって言うんだ。近い将来レベルA確実の俺様がな!」
この自信満々な中でも最上位のレベルSと言わない所は、控えめなのか何なのか、何とも中途半端な人だね。
「静流様。行きましょう!そうそう、こんな勘違いが無いように二人でパーティー登録しておきましょう!」
「えっ?あぁ、はい。そうですね」
ゴミを見るような視線で睨みつけているトリシアさんも奇麗だな~なんて思いつつも再び受付に向かうけれど、もちろんこれだけ大声で騒いでいるのだから僕達を見逃すわけもなく……
「この野郎!舐めてんの……」
……ドサ……
「フフ、シバ!お疲れ様でした!」
何故か話の途中で倒れたみたいだけど、どうやらシバが対応してくれたみたい!
変な格好で倒れている冒険者を完全に無視して、僕を再び受付に連れて行ってくれるトリシアさん。
周囲の視線は、その不格好ながらも芸術性を感じる事の出来る姿勢で倒れている人に向いているおかげで、僕達はすんなりと再び受付に行く事ができたので助かっちゃったね。
何と言うか、お尻を無駄に突き出した土下座のような?
実際僕は強くはないので、シバがどうやってあの人を大人しくさせてくれたのかは分かたなかったけれど、周りの様子を見る限りでは他の人達にも見えなかった・・・のかな?
上限なく成長する眷属であるシバ。
不意打ちになったかもしれないので何とも言えないけれど、条件次第では現段階でもレベルDの冒険者を抑え込める事は覚えておこうっと。
「静流様!あのような汚物を視線に入れてはいけません!ささっ、速くパーティー登録してしまいましょう」
少し考え事をしながら倒れて動かない人を見ていたら、トリシアさんに指摘されちゃった。
「そうですね。二人でパーティー、なんだか仲が深まったようで嬉しいです」
「し・・・・・・静流様!?」
あれ?僕何か変な事を言っちゃったかな?
いつも以上に腕をつかむ力が強くなっているし、トリシアさんは真っ赤だけど。
その顔もとっても綺麗で、受付の前である事をすっかり忘れて見入ってしまったのは仕方がないよね?




