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神の揉め事に巻き込まれた男と被害者女神の世直し旅  作者: 焼納豆
炎神ファント

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(5)ミツバ王国の衰退

 メイドや執事達にもアドビの料理が振舞われ、大絶賛のまま夕食は終了する。


 予想できた通りに、この夕食を大絶賛すると共に次はいつ食べられるのかと言った声が多数聞こえ、皇帝ベルヘルトがこれ見よがしに爺と呼ばれる男を見ながら今は月に一回だと言っていたのが印象に残る。


「トリシアさん、本当に相変わらずアドビさんの料理は上手でしたね」


「はい。何を食べても美味しくて、手が止まりませんでした」


「ワン!」


 こうして再び豪華な部屋に戻り、暫くはこの帝国の観光をする事にした二人。


 部屋付きのメイドにも観光について聞くと、最近一気に育ちが良くなった果樹園や畑からの収穫物があるので、水産物の上りが良くなった港でそれらの素材を活かした食事ができる事や、海とは真逆にある丘でのんびりする事もできると教えてもらった。


 翌日、早速行動を開始するのだが……何やら聞いた事のある騎士の声が聞こえてくる。


「……と言う事です。どうやら水や土壌の悪化、更には植物の実りが一気に悪くなったので、その援助を求めております」


 よく聞けば、植神エリアスの庇護下にある集落に留まっていた騎士の一人の声であり、どうやらミツバ王国全体、一部ランドフィッシュを手に入れられる村を管理下に置いたコステル伯爵領等の例外はあるが、何やら良くない状況に陥っているらしい。


「あ、これはシズル様、トリシア様、シバ様。事情お聞きしました。陛下も事の他喜んでおられました。私からもお礼申し上げます」


 声がする部屋の前を通過しようとすると、目ざとく見つけた騎士が立ち上がって深く一礼する。


 その対面には爺と呼ばれている男性が座っており、騎士からの報告を聞いていたようだ。


「いいえ、私はファント(炎神)に現状を説明しただけです。お気になさらずに」


 神の事情による出来事であるために、逆に人族に余計な心配をかけたと思っているトリシアは微笑みと共に返答するのだが、シズルは聞こえてきたミツバ王国の事が気になって少々首を突っ込んでしまう。


「申し訳ありません。お話聞こえてしまいました。ミツバ王国に問題が発生しているようですね」


 ミツバ王国の四大公爵家の息女、子息達は、自分と同時に召喚された元日本人であるため、やはり気になってしまう。


 もう一人岩井先生と言う存在がいるのだが、こちらは流れの冒険者をしているらしく、最後に会った時には相当練度の高い回復魔法と身体強化を使えていたので死んでいる事は無いだろうと、あまり気にはしていない。


 逆に公爵側の動きが気になるのは彼らの性格に非常に難があり、国難が襲い掛かってきた場合には弱者に対して容赦なくその力を向けかねないと思っているからだ。


「なるほど。お二方は神国アクアから来られたそうですね。とすれば、あの国がミツバ王国から独立している以上、気になるのは当然かと。実は神国アクアが独立を宣言した辺りからかの国では土壌変化による農作物の悪化、水質の悪化が顕著になり始めたそうです。これは誰がどう見ても水神アクア様と植神エリアス様、更には場合によっては地神バラドス様の怒りを買った証拠でしょう」


 通りがかりに聞こえてきた話でもそこまではシズルも想像する事は出来ていたので、爺と呼ばれている男性の説明にシズルは頷く。


「水、食料が無くなり始めているので、助力を求めてアドビ殿に縋りついた……と言うよりも、相当高圧的だったらしいですが、助力を求めてきたのです」


「そこに、あの公爵の子供はいましたか?」


 シズルの問いに対して爺は騎士に目配せすると、騎士は口を開く。


「シズル様、あの場所はヘルナンド公爵領に隣接しておりまして、余程切羽詰まったのか、そもそもアドビ殿の食事を未だに食べられていないからなのか、ヨシエとか言う者もおりました。こちらは……私には少々理解しがたい言葉を発していたので、何を言っているのか良くわかりませんでした」


 そう言えば、ヨシエは“ちょ~”だのなんだのと聞き取り辛い言葉を発していた事を思いし、苦笑いのシズル。


「一応今の所は我らの存在が抑止力になっているようですが、追い詰められたネズミは何をするかわかりませんので、急ぎ報告に来た次第です。クッ、今頃残りの騎士達はアドビ殿の食事を堪能しているのに……」


「コラコラ、本音が漏れていますよ。私だって近いうちに陛下と同様に抜け出して……」


 爺と呼ばれている男も本音がダダ漏れだが、そこは無視してシズルは続ける。


 特に頭に思い浮かぶのは、アドビを救うべく動いていた五人の子供達の顔だ。


「それでは、今後あの集落が危険になると言う事ですか?」


「そうではありません。そもそもあの連中ではあの集落に辿り着く事はできませんので安心なのですが、流石にこのまま食事をあの場所で販売するわけにはいかず、アドビ殿の料理を旅の方に提供できなくなる可能性がありまして、そこは非常に申し訳なく思っております。我らの陛下が無駄に(・・・)噂を広めて大盛況なのですが、突然販売できなくなっては……期待されている方にも、アドビ殿にも申し訳なく……」


「それではシズル様、エリアスが庇護している場所を増やして同じ場所をファントと共に庇護すると宣言した上で、乗合馬車の停留所とすれば宜しいのではないでしょうか?そう言えば、あの町の宿もあまり良い食事は出していませんでしたね。どうせならその場所で宿まで提供するのもありかもしれません。集落の良い収入源にもなりますよ?」


「それは凄く良いと思いますけど、神のお二方……はトリシアさんから話をつけて頂ければ大丈夫なのですよね?宿は……地神バラドス様にお願いと言った所でしょうか?」


「はい!その通りです、シズル様。フフフ、流石です。唯一の不安は植神エリアスがきちんと起きているかですが、アドビさんの食事の事と言えば嫌でも起きるでしょう」


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