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神の揉め事に巻き込まれた男と被害者女神の世直し旅  作者: 焼納豆
炎神ファント

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(2)ファントと再会

 帝国アグニの皇帝が、旅人達の前でヘルナンド公爵だけではなくミツバ王国までもこき下ろした事は瞬く間に広がっている。


 特に最近では神が顕現する事が多くなり神による奇跡と言える事象も多発しているので、その神の加護を受けていないばかりか嫌悪されていると言われているミツバ王国を敬遠する者達が多くなるのは当然の流れだ。


「トリシア様、シズル殿、このような窮屈な旅で申し訳ない。夜は中継の町で一泊するので、明日の夕方には帝国に着けるだろう」


「ありがとうございます、凄く快適です。ベルヘルト様」


「フフ、私からもお礼申し上げます」


 馬車の中でもトリシアはシズルにべったりであるのだが、流石に国家重鎮の立場ともなれば一切表情を動かす事は無く態度も変わらない。


 彼らが乗る馬車の周囲には鎧を着た騎士、その更に外周には魔術師と思しき面々が歩いており、集団の中央、つまり皇帝達が乗っている馬車に近い程持っている武器や防具は高価なものになっている。


 馬車の中にいるのが皇帝ベルヘルトと爺と呼ばれている男性、天空神トリシア、そしてその夫である人族のシズルなので、ベルヘルトはここぞとばかりにトリシアに質問を始める。


「トリシア様、神々についてお伺いして良いだろうか?」


「かまいませんよ。どうぞ」


「では、お言葉に甘えて。我が守護神である炎神ファント様は他の神々の動きがおかしいと仰っていた。一部の神々はその存在が希薄になってしまっており、そこには天空神であるトリシア様も含まれていた。同時にその希薄になっている神々が司るものが異常になっているとも……少々ぼかされていたがその原因は同じ神であるらしく、何時ご自分も同じ状況になるかわからないと仰せだった。正直、我らは炎神ファント様に異常が起きてしまっては国家が成り立たなくなるのではと言う不安がある」


 実はこの皇帝ベルヘルト、ここまで炎神ファントの話を聞いて少しでも情報を集めようとしていたのも奔放していた理由の一つではあったのだが、皇帝とは言え人である自分ではどうあがいても神の事情など知り得る事は出来ないだろうと思い、その部分はもし可能であればと言う気持ちで動いていた。


 その結果、動きがおかしいと言われている神の一体である天空神トリシアと接触する事に成功したのだ。


 正にファントから様子がおかしいと聞いていた神の一柱を直接見ていると、決して存在が希薄と言う事は無く、むしろその存在感は増している一方であり、何とか勇気を振り絞って人である矮小な身分ではあるが神に事情をお伺いしている。


「そこまで緊張なさらずに。そうですね……私から炎神ファントには改めて伝えますが、少し前の状況であれば確かにファントにも危険があったかもしれません。ですが、今はそのような危険は全て排除されていますので、ご安心ください」


 その緊張を察してか、微笑みながら皇帝ベルヘルトが心配するような事は無いと明言するトリシア。


「おぉ、そうでしたか。爺、聞いたか?これで我が帝国アグニも安泰だ!」


「はい。安心いたしました。その……事情をお伺いするのは……」


「爺!神には我ら人々が預かり知る事の出来ない事情もあるのだ。必要以上の知識は身を滅ぼす。即刻控えろ!」


 流石は皇帝、言うべき事は的を射ており、トリシアとしても魔神ゴアの醜態を説明する必要がなくなったと安堵する。


「これは失礼いたしました。陛下の仰る通り出過ぎた質問でした」


 最大の懸案が解決したので、一気に馬車の中の雰囲気は良くなる。


 それからは帝国アグニの名所やら特産物やらを嬉しそうに説明する皇帝ベルヘルトと、今は新婚旅行中であると説明した上でその話を嬉しそうに聞いているシズルとトリシア、時折軽食や飲み物を準備する爺と言う図が出来上がった。


「あれに見えるのが帝都になります」


 爺と呼ばれる者から声を掛けられ、馬車の外を見ると立派な城が聳え立っているのが見える。


 流石に皇帝の馬車だけあって入門の列に並ぶなどと言う事がある訳もなく、そのまま中心部に向かい、その中でも立派な神殿に進んでいる一行。


 皇帝ベルヘルトとしては一刻も早く守護神である炎神ファントの不安を取り除いてもらいたいと言う気持ちから、いの一番に神殿に向かってもらう事にしたのだ。


「こう言った神殿だけに時折顕現するのもありなのですね」


 神としての存在期間が短いので各神の有りようをあまり知らないトリシアは、壮大な神殿を見て感心している。


「ではトリシア様、シズル殿、お疲れの所申し訳ないがよろしく頼む。我らは外で待っている故、終わり次第声をかけてもらいたい」


 豪華な祭壇、周囲には炎神を祀るためなのか、魔道具による炎が立ち上がっている。


 皇帝ベルヘルトがシズルとトリシアが中に入った神殿の扉を外から閉めると、祭壇方面から赤い炎が立ち上り人型を形成していく。


「トリシア、久しいな。何故か最近バラドスやアクアの気配もトリシアと同じく容易に掴めるようになってきた。何があったのか……おそらくゴア(魔神)のせいだろうが、詳しく教えてくれるか?」


 暫しシズルは空気になり、トリシアが魔神ゴアによって多くの神が制約を受けている事、最後に制約を課そうとした地神バラドスによって逆に重い制約をかけられた魔神ゴアはこれ以上悪さができない事、最後に自らの夫であるシズルと共に新婚旅行中であり、その道中で神々を解放している事を伝えた。


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