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好きと言えるのなら  作者: まる
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情緒不安定

吐血の原因は不明だった。喉から出たと思われる血だったと春也は言われた。

それから桜泉の様子がおかしくなった。


入院してから1ヶ月。

いつものように放課後、春也は桜泉のお見舞いに行った。


病室の扉を開けて、カーテンを開いた。

桜泉は毛布にくるまっている。

『桜泉?』

呼んでも動くことがなかった。

一瞬寝ているのかと思い、顔を覗かせようとすると桜泉はバサッ!と起き上がってテーブルをバンッと叩いた。

『!?』

春也は驚いて恐る恐る桜泉に『どうした…?』と聞いた。

『もう、帰って』

桜泉はずっと下を向いたまま手話で伝えた。

『え…なんで?』

『1人がいいの』

その時だった。桜泉の頬から何かが光ってテーブルの上にポタっと雫が落ちた。

『…ごめん』

春也は病室からすぐに出ていった。





『はぁ…』

春也は家に帰ってベッドにダイブした。

『本当に…わっかんね…』

頭を抱えた。

最近、桜泉の笑顔が減った。会話も減って全体的に暗くなってしまった。

『どうすれば…』

また、あの笑顔が見たい。と春也はずっと思っていた。

『明日には変わってくれるといいな』

春也は携帯に保存された桜泉の笑顔を見ながらそう呟いた。




次の日の夕方。

春也は桜泉が大好きだと言っていたコスモスをプレゼントすることにした。

『(喜んでくれるかな)』

片手に3本のコスモスを持って病院の中に入った。

いつものようにエレベーターに乗って上がって病室のドアを開けてカーテンを開いた。

そのとき、春也は手に持っていたコスモスを落とした。

桜泉は片手に血がついたカッターナイフを持っていて、右手首に血があふれ出た2本の傷口ができていた。

『桜泉!?!?なにやってんだよ!!』

春也は桜泉の両肩を掴んで顔を伺った。桜泉の目は潤んでいて恐怖に怯えているような顔だった。

『どうしましたか!?』

扉が開くと看護師さんが来て驚いている様子だった。すぐに桜泉は治療室に連れていかれた。


保護者でもないのに春也は病院の先生に呼ばれて話をされた。

『桜泉さんのことなんですが、彼女の体に異変が起きてんですね』

春也は『は、はい…』と言って唾を飲んだ。

『自分の障害のことだったり、自分の体が思っていたように動かなかったり…他にも桜泉さんはたくさんのことを抱え込んでいたんだと思います。なにせ、声帯に障害のある方ですから思ったことを正直に言えなくて困っていたりしていたんだと思います。こちらから気づけなくて本当に申し訳ありませんでした。』

『いえ…』

『それでですね、心が上手くコントロールができなくなってしまったのかなと…。鬱病や情緒不安定という分類に入ってしまっています。』

『え…?』

『どちらかというと、情緒不安定なのかもしれません。これから検査をしていこうと思っています。』

『はい。』

『こちら側も様子を見てみますので。』

『わかりました。』

先生は歩いて行ってしまった。

春也も大人しく家に帰ることにした。

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