吐血
次の日。
桜泉は騒音で目が覚めた。
目を開けると閉められたはずのカーテンは開けら
れて日が差していた。
『(朝食の時間までまだ時間ある…)』
桜泉はベッドから立ち上がると病室を出た。
病院内には面会に来たであろう家族連れがたくさん来ていた。
桜泉の母は朝から仕事のため日曜日しかお見舞いにこれなかった。
生き場所すら決まっていないのにスタスタとどこかに歩き始めた。
気づけば病院の玄関前に来ていた。
桜泉は外出許可が出ていないため、外には出ちゃいけなかった。
扉のガラス越しに看護師さんがおじいさんが乗っている車椅子を押してお散歩したり、この病院で入院している小さい子どもたちが野原で楽しそうに遊んでいる様子が見えた。
『桜泉ちゃん?』
後ろから声をかけられて振り返ると、高田さんが目を丸にして桜泉のことを見ていた。
『桜泉ちゃん、だめよ。外出許可が降りてないからまだ外に出ちゃダメ。ほら、もう朝食の時間だから病室戻ってね』
高田さんに背中を押されて病室に返されてしまった。
朝食を出されると高田さんはいつものように病室を出ていった。
そのとき、春也が入ってきてカーテンを開けた。
『今からご飯?』
桜泉は首を縦に振った。
『……食べないの?』
『お腹空いてない』
最近、桜泉はご飯を全く食べなくなった。
そのため高田さんにも軽く注意を受けて、病室の先生にも言われてしまった。
そのことを春也は知っているため、春也は箸を持った。
『ほら、あーん』
春也は箸で野菜を掴んで桜泉の口元に運んだ。
桜泉は首を横に振った。
『食べなきゃまた怒られるよ?』
『また戻しちゃう』
昨日の夜ご飯を戻してしまった桜泉には少し抵抗があった。
『大丈夫だから。1口だけでも食べなきゃ』
その途端だった。
『……っ!』
桜泉が咳き込むと口から大量の血が出てきた。
『桜泉!?大丈夫!?』
春也は慌ててナースコールを押した。桜泉は急に心臓が痛くなったのを感じて血だらけの手で心臓の部分を抑えた。
高田さんと病院の先生が駆けつけて声をかけたりしていた。
桜泉はそのまま診察室に運ばれて行った。




