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好きと言えるのなら  作者: まる
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33/40

お守り

入院して1週間があった。

最初の手術は明日。桜泉は緊張で胸が締めつけられた。

春也は学校にいる。

『今頃…なんの授業してるのかな』

桜泉は目線より少し上に掛けてある時計を見た。

針は午後1時を指していた。


『桜泉ちゃーん。熱測ってー』

あれからすっかり仲良くなった看護師の高田さん。最初は律儀で真面目な人なのかと思っていたらかなりフレンドリーな人だった。

『明日は1回目の手術かぁ…』

脇に体温計を挟んだときには高田さんは壁に掛けられたカレンダーを見ていた。

『緊張すると思うけど、麻酔も打つと思うし痛みはそこまで感じないと思うよ。』

高田さんにそう言われて桜泉は目線を下げた。

ピピッ。

体温計を見ると36.9と表示された。

『ちょっと高いねー。頭痛とか吐き気とかする?』

高田さんは紙にメモをして葵に聞いた。

葵は首を横に振って口パクで『大丈夫です』と言った。

『はーい。それじゃあなんかあったら呼んでね』

トレーを持って高田さんは病室を出ていった。


本を読んだり、携帯をいじっていたらいつの間にか夜の6時を指していた。

『こんな時間…』

読みかけの本をパタンっと閉じて棚に置いた。

『…っ…っ…っ』

喋ろうと喉に力を入れた。

『……っ!……っ!……っ!!』

強く力を入れてもダメだった。

『(1回の手術で喋れるようにならないかな)』

桜泉はため息をついた。

そのとき、扉が開く音がして次にカーテンが開いた。

『よっ!葵!』

春也が来てくれた。

春也は毎日、学校が終わると御見舞に来てくれる。

『毎日ありがとう』

桜泉は笑って伝えた。

『1日で楽しみな時間って葵のお見舞いに行くことだから!全然苦じゃないよ』

爽やかな笑顔で春也はそう言うとリュックから何かを取り出した。

『これ、今日休み時間作ったんだけど…。桜泉みたいに裁縫得意じゃないから形おかしいかもしれない…』

春也は『明日、手術だろ?そのお守り』と笑って桜泉に渡した。

形は四角で開いているところから1枚の手紙が出てきた。

『(がんばれ…)』

春也の字でそう書かれていた。

『こんな手抜きみたいなやつでごめんな。でも気持ちはたくさん入ってるから!』

春也は少し照れながら頭をかいた。

桜泉は泣きそうになって両手で顔を覆い隠した。

『ど、どうした…?』

春也が心配して葵の顔を覗くと桜泉は首を横に振った。

桜泉はバッと手を目から離してお守りをギュッと握った。

『私、手術がんばる』

目に少し涙を溜めて春也に伝えた。

『うん。がんばれ』

春也もそう伝えた。

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