本当の理由
『ありがとう…』
貰ったココアを1口飲んだ。
『晴也くんに聞きたいんだけど、今日はなにか特別な日だった?例えば大事なテストの日だったとか友達の誕生日だったとか…』
晴也は少し考えて『あっ』と声を出した。
『特別な日かはわからないけど…今日は俺の誕生日』
『あら!おめでとう!』
保健の先生は笑って祝ってくれた。
『晴也くんと桜泉ちゃん付き合ってるのよね…。もしかしたら、桜泉ちゃんは晴也くんの誕生日だから直接会って祝ってあげたいって気持ちが強かったのかもね。まぁ、晴也くんを悪く言うつもりは全くないけど強いて言うなら晴也くんのために学校に来たのかも』
『俺のために…?』
晴也は体の力が一気に抜けた。
『私は桜泉ちゃんじゃないから本当のところはわからないけど、1人の女性として言わせてもらうわ!!』
保健の先生はフンッと鼻息を荒らげた。
『桜泉ちゃんは晴也くんのことが大好きなんだと思うのよね。だって普通、大好きじゃなかったら彼氏の誕生日祝うのは熱が下がってからでもいいや。って自分のことだけを考えると思うの。それに今ではLINEのやり取りだってできるんだからLINEで祝ってもいいわけじゃない?』
ピーンポーンパーンポーン
保健の先生が話していると放送が流れた。
『中川先生(保健の先生の名前)中川先生。会議のため至急、会議室にお越しください。』
『え!!会議あるの!?ごめんね、ちょっと保健室任せるわ!』
『え!?』
保健の先生は走って行ってしまった。
『任せるって…』
晴也は保健室を見回した。
テーブルの上に半分ココアが入ったマグカップを置いた。
『(桜泉、いるんだよな)』
1つのベッドがカーテンで閉まっている。
きっとあのベッドに桜泉は寝ているんだろう。
晴也はソファから立ち上がってカーテンが閉まっているベッドに向かった。
カーテンをゆっくり開けて覗くと体と顔が横になって寝ている桜泉がいた。
そのままゆっくりベッドに近づいて近くにあった椅子に座る。
そして桜泉の顔を覗こうとした。
『えっ…』
毛布を見ると濡れている。
ゆっくり毛布を捲ると桜泉は泣いていた。
といっても寝ながら泣いていた。
『桜泉?』
声をかけると桜泉は泣き終わりスヤスヤ寝始めた。
『(夢なのか…?)』
その途端、桜泉は目を開けた。
晴也と目が合って桜泉は固まった。
『あ、ごめん。起こしちゃった…?』
桜泉は首を横に振った。
『なぁ、桜泉はなんで風邪なのに学校来たんだ?』
晴也は本当のことが知りたかった。
桜泉は毛布から手を出して
『だって今日は晴也の誕生日でしょ?』
と伝えた。
『で、でもそんなの熱が下がってからでもいいじゃん…。LINEで伝えるだけでも俺、嬉しいのに』
晴也のその言葉に桜泉はまた首を横に振ると
『1日でも祝う日がズレちゃったら誕生日じゃないよ。LINEで伝えるなんてそんなのできない』
『なんで?』
『LINEで伝えたら…いつもと一緒じゃん』
晴也はその言葉にハッとして『そっか』と答えた。




