結婚願望
桜泉は退院していつものように学校に行った。
学校に行った日からイジメが無くなったのだ。
誰も桜泉の悪口を言う人はいなくなり、宮本たちも桜泉に対してなにも言わず、暴力も振るわなかった。
SHRが終わってクラスの女子(宮本たち以外)が桜泉のところに来た。
『藤本さん。今まで無視とか陰口とか言ってごめんなさい!』
1人の女子が言うと他の女子も『ごめんね』と続けて言った。
桜泉は驚いて少しして首を横に振った。
そうすると女子が続けて
『最初は喋れないなんて嫌だな…って思ってて冷たく接してたけど、少し経ってやりすぎだと思ったら宮本さんたちが藤本さんのことイジメてて…。私たちも宮本さんたちが怖かったの。本当にごめんなさい。今更だけど仲良くなりたいって思ってる。別に喋れなくたってクラスの一員だから…ね?』
そう言ってくれたのは矢田 愛花だった。
桜泉は嬉しくてメモ用紙に『ありがとう。私もみんなと仲良くなりたい』と書いて見せた。
『よかった…!これからは友達としてよろしくね!』
愛花はそう言うと女子全員が『LINE教えて』と携帯を持って駆け寄ってきた。
全員にLINEを教えるとみんなは帰って行った。
『ねぇ、藤本さん。』
リュックを背負って愛花が桜泉の名前を呼んだ。
『これからは、桜泉って呼んでもいいかな?』
少し不安そうに愛花は聞いてきた。
桜泉は頷いていた。
『やったー!私のことは愛花って呼んで!』
愛花はイヒッと笑った。
『私、この後塾だから…今度一緒に放課後、近くにできたドーナッツ屋さん行こう!その時にいろんな話しようね』
そう言うと愛花はバイバイと手を振って行ってしまった。
桜泉も手を振り返した。
『(今日は…バスケ部の様子見に行こうかな)』
リュックを背負って体育館に向かった。
外は生憎の雨だった。
体育館裏の入口からこっそり覗こうとしていた。
外ばきに履き替えて、傘を指して体育館裏の入口からバスケ部の様子を見た。
バスケ部はシュートの練習をしている。
『(あ!晴也だ…)』
スポーツTシャツを着て練習に励んでいる。
仲間と笑ったりしていてその笑顔が眩しかった。
そしてシュートの練習が終わったのか、チームに別れて試合をするみたいだった。
試合が始まると軽々とボールをゴールにまで持っていきカッコよくシュートを決めていた。
『(カッコイイなぁ…)』
チームの人とハイタッチをして笑っている。
それから数分経つと部活が終わったのか、コーチのところに行って話を聞くとそのまま解散していった。
桜泉は急に足が滑ってしまい、傘がガンッ!と当たってしまった。
その音に晴也と他の部員が反射的に扉を見て桜泉と目が合った。
ビクッと肩を揺らして下を向いてしまう。
ガチャ
扉が開くと晴也と2年生だけではなく1年生や3年生までこっちに来ていた。
『桜泉!来てたの!?』
晴也が桜泉に問いかけた。
『先輩、この人誰ですか?』
『もしかして晴也の彼女〜?』
先輩と後輩が晴也に聞いた。
『僕の彼女です!可愛くないですか!?』
晴也はそう言うと桜泉の頭を撫でた。
『めちゃくちゃ可愛い〜!こんな彼女俺もほしいな〜』
『先輩、彼女いたんですね!』
『同級生にしか教えてなかったっけ…。僕の自慢の彼女なんですよ!』
『ねぇねぇ、晴也と別れたら次俺と付き合おうぜー?』
先輩が桜泉の肩を掴んだ。
桜泉はビックリして後ずさりをした。
『やめてください!絶対に別れませんから!なぁ?』
晴也は桜泉の顔を見て言った。
桜泉も顔を縦に振った。
『その言葉、別れたときかなりの恥になると思うけどな〜!』
『別れないって言ってるじゃないですか〜!』
晴也と先輩が楽しそうに話している。
『(楽しそうでよかった)』
桜泉はホッとした。
帰りは晴也と一緒に帰った。
『桜泉』
『俺、本当に桜泉と別れる気全くないから』
晴也の言葉に桜泉の心臓は痛いくらいに鳴っているのを抑えて顔を縦に振った。
『気が早いって思うかもしれないけど…高校卒業して大学も卒業したら桜泉と結婚したいって思ってる』
聞き間違えではなければ、完全なプロポーズだった。
桜泉は晴也の顔を見た。
『桜泉は…?』
晴也も桜泉の顔を見て聞いた。
桜泉はビクッと肩を揺らして足を止めた。
『私も…晴也と結婚したいな』
『そっか…』
晴也はそう言うと笑って返した。




