もっと近ければ
少し経つと桜泉のお母さんは晴也に
『今日も私介護に行かなきゃいけないの。2人だけ残して気まずいかもしれないけれど、頑張って』
と言うと家を出ていってしまった。
『…!!』
そして数分後、桜泉は可愛いオレンジ色のパジャマを着てミディアムヘアの髪をガシガシとタオルで拭いてリビングに来ると晴也と目があって足を1歩後ろに下がった。
『桜泉…!!さっきは本当にごめん…』
桜泉はタオルで顔を隠した。
晴也はソファから立ち上がると顔を隠しているタオルから桜泉の顔を覗いた。
顔が赤くなっていて泣いているようにも見えた。
『でもなんで…なんで桜泉の母さんには俺が悪いって言わなかったんだよ…』
桜泉はチラッと顔をタオルから覗かせるとタオルをソファに置いて手話で伝えた。
『確かに晴也が言った言葉は傷ついたよ。晴也が怖い人に見えてもうずっと一緒にいるのも辛くて困難になるんじゃないかって思った。でも、それでもやっぱり晴也のことが好きで…忘れられなくて大切で大好きな人を悪い人ってお母さんに思ってほしくなかった。私だって思いたくなかった。だからそう言ったの。』
桜泉は手話を終えるとゆっくり手を下ろして晴也の返事を待った。
『…そんなに優しくされると…俺どうすればいいのかわかんねーって…』
晴也は腕で涙を拭いた。
桜泉は少しずつ晴也に近づいて両手の人差し指で晴也のほっぺをグッと上に持ち上げた。
桜泉も泣いていたがニコッと笑った。
それは晴也に『笑って』と言っているようだった。
桜泉は手を下ろすと手を後ろに組んでまた笑った。
その時だった。晴也は少し体制を低くして桜泉の口にキスをした。
『……!』
数秒の時間が流れると晴也が口を離した。
『ごめん…その…桜泉が…可愛くて…』
晴也は顔を赤くして言った。
桜泉はビックリした後、目を瞑って晴也に顔を向けて背伸びをした。
『え…?』
『(私からチューしたい…!私から…!)』
桜泉の身長は157cm。晴也の身長は175cm。
身長差が25cmあるためなかなか届かない。
晴也は状況を察するとわざと背伸びをした。
桜泉はプクーっと頬を膨らまして手話で『いじわる』と伝えた。
晴也は笑うと少し体制を低くした。
『どう?届く?』
桜泉は精一杯背伸びをした。が、足がよろっとなって倒れそうになった。
晴也は腕で桜泉のことを受け止めた。
『うわぁっ……大丈夫?ケガだけはすんなよ…』
桜泉は笑うとまた背伸びをしようとした。
すると晴也は桜泉の脇に手を入れて抱っこをした。
『……!!』
桜泉と晴也の顔は一気に近くなった。
『ほら。これなら桜泉からでもできるだろ?』
桜泉は少し驚いたがすぐに笑って頷くと少し考えてキスではなく晴也の首に手を回してギューとした。
『そ、そんなんでいいの…?』
桜泉はコクコクと頷いた。




