雨②
『急にごめんね〜今日はありがとう!』
話し合いが終わってカフェを出た。
話が長くなってしまい夜の8時になっていた。
『こっちこそありがとう。2年にLINEで回しとくから。来週の日曜、よろしくな。』
晴也とマネージャーはその場で分かれた。
『(雨まだ止んでないのか)』
傘をさして歩き出そうとした。
その時、晴也の携帯が鳴り出した。
『(桜泉の…お母さん…)』
相手は桜泉の母親だった。
『はい。もしもし、晴也です。どうかしましたか?』
『あ、晴也くん。夜にごめんね。晴也くん、桜泉と一緒にいる?』
桜泉の母親は少し焦ったような声で晴也に聞いた。
『いいえ…。桜泉がどうかしたんですか?』
『桜泉が家に帰ってこなくて…』
『え…?』
『夜遅くなるときは桜泉、ちゃんと連絡をくれるはずなんだけどこなくて…。いつも6時が7時には帰ってくるんだけど…』
『俺、探してみます。見つけたら連絡しますね』
『ありがとうね。私も探すからよろしくね』
『はい。わかりました』
電話を切ると晴也は桜泉を探し始めた。
『桜泉!!桜泉ー!!』
探してから何時間経っただろうか。
さすがに晴也の親から連絡がきていて『遅くなる』と返した。
雨は止まない。傘なんてさしている場合じゃない。晴也はびしょ濡れだった。
学校にも行った。公園にも行った。桜泉の家の周りも、いつも一緒に行くカフェにも…。
『(桜泉…ごめん…。)』
桜泉が殺されてしまったら。車に轢かれてしまったら。男性に絡まれて困っていたら。
『(もし、そうなったら全部…俺が…)』
晴也は足を止めた。罪悪感で胸が締め付けられる。
さっきっから何回も転んだ。桜泉を探すのに必死で段差に足が引っかかったり、滑ったり。自分でもダサいと思う。
傷口が雨に当たって染みて痛い。
その時、晴也はハッとした。
『(海…)』
桜泉はこの前『死ぬ前に海に行きたい』って。
『(もしかして…)』
晴也はまた走り出して海に向かった。




