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好きと言えるのなら  作者: まる
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11/40

Kiss

それから数週間、桜泉はいつものように学校に行くようになった。

女友達はやはり作るのに抵抗があるらしく、晴也から離れることはなかった。


そして夏休み前のお昼。

『(理科準備室ってどこ…)』

桜泉はクラス分の理科の資料を持ち歩きながら校舎内で理科準備室を探していた。

転校してきて4ヶ月。校舎内はかなり広く理科準備室の場所は知るはずもなかった。

『(あっ…)』

桜泉は目の前を通った男の先生の肩を頑張って手を伸ばし軽く叩いた。

『ん?どうした?』

先生は気づくと振り返ってくれた。

理科準備室はどこかを聞けばいいのだが、両手が塞がって手話も出来なければ、ポケットに入れているメモ帳とペンを取り出して内容を書くことすらできない。

桜泉は焦って持っている資料を顎で示そうとした。

『君は何が言いたいんだい?ちゃんと口があるんだから話しなさい。』

軽く怒られてしまった。桜泉は喋ることができない。せめて口パクでも…と思い桜泉は口で理科準備室はどこですか、と伝えようとした。

『大人をバカにするんじゃない。悪ふざけならよしてくれ。私も忙しいんだ』

先生は少し不機嫌そうな顔をして行ってしまった。

『(もう…わかんないよ…)』

桜泉は泣きそうだった。誰も助けてくれない。喋ることができないって言うだけでバカにされたり怒られたり。


『桜泉ー!!』

落ち込んでいると左から聞いたことのある声が聞こえた。

その方向を見ると晴也が走ってきた。

桜泉は嬉しくて晴也の方に向かった。

『どうした??』

晴也は優しく聞いてくれて資料を持ってくれた。

桜泉は手話で伝えると『あ〜!』と言って理科準備室に案内してくれた。

『この学校、広いよなぁ。俺も入学したとき、マジで場所がわからなかった。』


『晴也〜!』

向こう側から男の子3人が晴也の名前を呼んだ。

『女の子連れてどこ行こうとしてんだよーナンパか??w』

男の子達がゲラゲラと笑い出した。

『ちがいますよ!理科準備室の場所がわからんないらしいから案内してたんです…』

敬語で晴也は対応している。

『(先輩なのかな…?)』

『ふーん。よく見ると可愛いな…。そこの嬢ちゃん。何年何組??名前は??今日の放課後ひま?一緒にデートしようぜ〜』

桜泉はビックリして左足が後ろに引いた。

『俺の彼女ですから!手出したら許さないですよ…!』

『え!?晴也の彼女ってこの子なの!?すっげー可愛いじゃん!!喋れないって子だっけ?』

桜泉はコクコクと頷いた。

『へ〜!晴也羨ましいな〜。俺たちは晴也と同じバスケ部の仲だから悪い目で見ないでくれよ』

『なぁなぁ、ちゅーとかすんのか??』

『え!?』

晴也は大きな声で反応した。

桜泉も顔を赤くして下を向いた。

『え、まだしてないの!?ここでちゅーしちゃえよ!!ちゅー!ちゅー!ちゅー!』

3人ともアンコール!と言うように二人に言った。

晴也は周りをキョロキョロすると桜泉の顔を伺った。胸に抱き抱えた資料から目を覗かして晴也と目が合う。

『早くチューしろよぉ!』

『チューはやっぱり男からだろ!な?晴也〜』

桜泉は熱くなった顔を少しでも涼しくしようと深呼吸をしようと資料から顔を出して深呼吸をした。

その時、晴也の顔が近づいて唇に何かが触れた。

『ふぉぁぁ!!!チューしたぞ!!』

『(え!?今、キスしてるの?!)』

そして数秒経つと晴也は桜泉から離れた。

桜泉はその場で硬直した。

『やべー。まじ晴也、幸せにしてやれよ!』

男の人たちはポケットに手を突っ込んで行ってしまった。

晴也は黙って前を歩いて行った。

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