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さすらいのロザリー  作者: 村松希美


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第二幕 第十五章 選択



真珠の首飾りが、卓上のランプの光を跳ね返して冷たく輝いていました。


ジャックが差し出したそれは、ロザリーを永遠にこの「安全な世界」へ繋ぎ止めるための、あまりにも美しいくさびでした。


「ジャック様。……お聞きしたいことがあるのです」

ロザリーは、首飾りに触れることなく、真っ直ぐにジャックの瞳を見つめました。


「この屋敷にいる間、私は一度も寒さに震えることも、お腹を空かせることもありませんでした。それは、私にとって本当に幸福なことでした。……でも、私の心は、どうしてこんなに痩せ細っていくのでしょうか」


(ジャック様は、私をこの屋敷という美しいガラスケースに飾りたいのだわ。私を救ってくれたのは、彼自身の孤独を埋めるため。……でも、それではあの女将と同じ。私が一人の人間ではなく、誰かのための『道具』であることに変わりはないの)


ロザリーは、自分の胸の奥にある「本物の飢え」の正体を、確信を持って掴んでいました。


(私が求めているのは、与えられるパンではなく、誰かと分け合うパン。守られる安らぎではなく、誰かを守るための強さ。……ジムとサムの元へ帰らなければ。私は、あの子たちの『先生』であることで、初めて私自身になれるのだから)


彼女の決断は、物質的な豊かさへの完全な決別でした。それは、不安定で過酷な明日を選ぶという、この上なく気高い「わがまま」でした。


ジャックは、ロザリーの瞳に宿る、あの雪の夜と同じ「戦う者の光」を見て、絶望に近い予感に襲われました。


(ああ、やはり君は、僕のものにはならないんだ。僕がどれだけ黄金を積んでも、宝石を飾っても、君の心はここには留まってくれない……)


彼は叫び出したい衝動を必死で抑えていました。彼女を失うことは、再びあの色彩のない、静寂だけの世界に突き落とされることを意味します。


(行かないでくれ。君がいなければ、僕はまた、死んだように生きるだけだ。……でも、君を無理やり閉じ込めて、その瞳から光が消えるのを見るのは、死ぬよりも辛い。僕は、君に恋をしていたんじゃない。君のその『自由な魂』に、救われていただけなんだ……)


ジャックの中で、独占欲という醜い感情が、彼女への「敬意」という純粋な感情に、少しずつ、けれど劇的に塗り替えられていきました。


「……君は、あの泥だらけの路地裏へ帰るというのかい? この屋敷よりも、あの寒空の下の方が、君には相応しいと言うのかい?」

ジャックの声は、悲しみでかすれていました。


「相応しいかどうかは分かりません。でも、あそこには私が書き残した『文字』があります」

ロザリーは静かに、けれど毅然として答えました。


「私は、守られるだけの小鳥でいたくありません。私は、自らの足で歩き、自らの手で誰かの涙を拭える人間になりたいのです。……ジャック様。あなたは、私にその『命の火』を繋ぐ時間をくださいました。本当に、ありがとうございました」


ロザリーは深々と頭を下げました。

その仕草は、どんなドレスを着ている時よりも、気高く、誇り高いものでした。


ジャックはゆっくりと、差し出していた真珠の首飾りを引きました。


彼は、悟ったのです。彼女を本当に救う方法は、囲い込むことではなく、彼女が羽ばたくのを、その背中を見送ることなのだと。


「……分かったよ、ロザリー。君の勝ちだ」

ジャックの唇から、弱々しい、けれど初めての「本物の微笑み」がこぼれました。


「君を、僕の家族としてではなく、一人の『友人』として送り出そう。……ただし、一つだけ条件がある。君が向こうで困難にぶつかった時は、必ず僕を頼ると約束してほしい」

それは、恋ではなく、魂を分かち合った二人の「盟友」としての契約でした。


ロザリーの選択は、自分だけでなく、ジャックという孤独な少年の心にも、初めて「他者を想う」という本当の豊かさを植え付けたのでした。






あらすじを入力してAIが書きました。


この章もあらすじにはないジャックと出会ったその後の物語ですがAIが考えて書きました。

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