19.かつての料理での失敗
僕にとって料理はストレス発散の一部だ。
好きなもの、作ってみたいものを、自由に、自分の意志で、自分の力で、作ることが可能となる。
はっきり書くと鬱や類する感情の対局にあるもの。
人は自由を阻害されること、やってみたいことやしてみたいことを出来ない状況、それらが続くと諦めることが慣れてしまい、無力感を受け入れてしまってやがて絶望へと続いていく。
人は自身でコントロールできるという体験を繰り返していくことで精神の安定を得ることができるものだ。そして料理は自分でコントロールができて達成感を得られる最適なものである。
だから料理は好きだ。YouTubeやインスタで気になるものを見たらとりあえず作ってみたくなる。
ある程度の腕になるまでは時間がかかった。どの程度かはわからないが、てきとうにやっても不味くならない・失敗しないくらいの。
けれど、そのくらいに腕を上げたと自負するほどになってから1度だけ、とんでもない失敗をしたことがあった。
青唐辛子を普通の鷹の爪のように細かく切って味噌で炒める料理がある。酒のツマミになるやつ。
これを作ろうとしていたときだ。
熱してゴマ油をまとわせたフライパンに刻んだ青唐辛子を入れる。味噌や色々を混ぜる。
フライパンは相当に熱されている。
味が濃かったこととフライパンの底にこびりついた旨味を剥がすため水を入れた、その時だった。
瞬間、カプサイシンを含む色々が一気に蒸気となって舞い上がっていく。
都内ではそれなりに広い部類に入るであろう実家が、瞬く間に目も開けていられないような刺激臭に支配されてしまった。
これが催涙スプレーなどで起きている現象なのだろうと、そのとき身をもって理解した。アレは自分で作ろうと思えば作れるがオススメはできない。
目を開けるのも辛いし、鼻も痛いし、喉は呼吸をすると痛むし咳でも痛むしでとにかく窓を全開放して室内の換気が必要となる。
独り暮らしのときにやったら警察呼ばれるだけじゃ済まないでニュースにもなりえるレベルの惨事だった。完全に空気が戻ったと感じるまでに2時間近くかかっていた。
この事故以来、青唐辛子を扱うことは避けている。ジョロキアも使わない。カレーにも使わない。




