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三題噺  作者: どらぽんず
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じゅうさん:昼食時の一幕


『今日は、今話題になっている喫茶店にやってきました』

『お洒落なお店ですねー』

『内装なんかもそうなんですけど、ここの売りはもっと奥にあるんです。行ってみましょう』

『――うわぁ、すごい。綺麗なお庭ですねー』

『そうです。ビルの中の空間をうまく使って、中庭を造っているんです。この調和の取れた風景を――


 ぶつん、と音を立てて画面がブラックアウトした。

「いつまでもテレビを見てないで、さっさと食事を片付けてよ」

 母の声が視界の外から聞こえてくる。続いて聞こえてきたのは、床をひっかく音だ。がたがたと床を叩く音が続いたから、椅子から離れたのだろう。おそらく食事が終わったから、食器を片付けに台所に行くのだ。

「はーいー、わかりましたよぅ」

「間延びさせないの」

 返事をすると、水がシンクに当たって流れる音が聞こえてきた。

 さっさと片付けないと何を言われるやら。

 テーブルの上にある食事に視線を移す。今日の昼食はカルボナーラだ。インスタントのやつで、湯がいた――ああ違う、茹でた、が正しいのか。そう、茹でたパスタの麺に中身を開けて混ぜれば出来上がり、の簡単お手軽調理ってやつだ。要するに手抜きなのだけど、作ってもらっている身としては文句を言えるものではない。

 思わずぼけーっと眺めてしまっていたテレビの内容を思い出しながら、食事の手を進める。

 いつでもテレビの中にある空間は別天地のようで、非現実のようだ。

 お洒落なお店。素敵な空間。きらびやかに飾られた料理。……私の語彙では列挙できるのはこの程度だが、私の周りには無い要素だ。テレビや雑誌はそれを見せてくれるもので、なぜ自分はそうではないのだろうと思ってしまう。

 そして、人をその気にさせるのがテレビに流れる番組の目的だ。ああなりたい、とか、そういう気持ちが購買意欲を掻き立てる。そうやって流行やらなにやらを作り、スポンサーに利益という形で還元する。

 嘘ばかりではないのだろうが、本当ばかりでもない。最近は、本当のことを言わずに、嘘ではないかもしれないことを言ってばかりの番組が多いような気もするが。

「それにしても珍しいわね。あんたがテレビに夢中になるなんて」

 食べ進めていると、母が席に戻ってきてそんなことを言ってきた。

 そう? と曖昧に相槌を返すと、なんで? と聞き返された。答えないでいるのも変なので、思ったことを素直に言う。

「あんなところで飯を食う人の気がしれないな、って思っただけ。飯屋で重要なのは、値段と味が見合うかどうかだけじゃない。まぁ過度に汚いのも嫌だけどさ、流石に」

 言って、母からの反応が返ってこなかったので不思議に思い顔をあげると、ひっどい顔でこちらを眺めている母の視線と目が合った。

「なんて顔してんの」

「相変わらずひっどい考え方してるなと思っただけ。女子って自覚ある? 普通、ああいうのに憧れるもんでしょう」

「興味ない。食べ物は食べ物。着る物は着る物。他人は他人、自分は自分だもの」

「はー……ダメだわ、この娘。恋でもすれば変わるのかしら」

 大袈裟に天井を仰いで顔を手で覆い、嘆いてみせる母に、私は肩を竦めて笑うしかない。

「どうなのかな。わかんないや。――ごちそうさま」

 昼食を食べ終わったので、席を立つ。

 今日は何をしようかなぁと思ってリビングを出る直前に、母がこんなことを言ってきた。

「孫の顔は見れるのかしらねぇ」

 そんなことを言われても、私としては笑うしかない。だから、

「なるようにしかならないよ。夕飯になったらまた呼んでね」

 そう言い返して、リビングの扉を閉めた。


今回使用したお題は以下の三つ。

1)中庭

2)カルボナーラ

3)おしゃれ

※三題噺お題ジェネレータより。


今回はそのまま単語を出せた感のある三題噺になった気がします。

話の内容がどうかは別問題ですけどねぇ……。

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