第6話 地図にない街と、白いトラックのカレーライス
これはAIが書いたものです
午前11時12分。
会議の終わりに、佐倉蒼一がふと口にした。
「今日、フードトラックの“村”に行く。行きたい人は、12時、裏の駐車場に集合」
それだけ。説明も地図もURLもない。
ただ、それだけの言葉に、なぜか皆がざわついた。
「村ってなに?」
「またいつものアレじゃないですか?」
「気になるけど、絶対時間ギリギリになるやつ……」
それでも、佐倉が言うなら面白いに決まってる――
そんな確信が、この会社の昼休みにはある。
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12:00 オフィス裏・駐車場
川端、高田、山崎、そして新人の村上が今日も参加。
佐倉は、いつものようにスーツにトートバッグ。だが、今日は一つ違っていた。
「これ、持ってて」と言って、村上に渡したのは、A4の白いカードに描かれた“地図じゃない地図”。
「これ、何の地図……?」
「“昼の風”を読む地図だよ。行こう」
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12:10 “風”に導かれる探索隊
神田から秋葉原方面へ。裏道をすり抜け、再開発中の空き地を抜け、いつもの昼とは違う“都市の切れ目”をたどる。
「こっち、住宅街じゃないっすか」
「いや、風が変わった。におい、しない?」
そう、ほんのり漂うスパイスの香り。
ビルの隙間から、湯気が立ちのぼるのが見えた。
そして角を曲がると――
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12:16 “昼にだけ現れる村”発見
広場のような空き地に、5台のフードトラックが並んでいた。
木の看板には、手書きの文字。
『昼の食卓、ただいま開村中』
(11:45〜13:15/火曜・木曜限定)
並ぶメニューはどれも異色。
•スリランカ風スパイスカレー(チャイ付き)
•ネパール餃子・モモと豆スープのセット
•サバサンドとレモネード
•玄米おにぎりと発酵味噌汁セット
•チリドッグ&クラフトコーラ
「うわ……全部、うまそう……」
「どうする? 分担して、シェアする?」
「いや俺、今日は“勝負”する。カレー、全部のせだ」
そう言って佐倉が選んだのは、一番奥のスパイスカレー屋。
優しげな女性が作るそのカレーには、ルウが3種、チキンと豆、ナスの炒め煮、パクチーが美しく重なっていた。
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12:28 ベンチもない空地の昼食会
石の縁に腰かけ、紙皿のカレーを囲む。
紙コップのチャイを片手に、それぞれが笑い、静かに味わう。
「このチャイ……うま……シナモンすご……」
「私、初めてパクチー“うまい”って思った」
「この餃子、スープにひたすと……やばい、優勝」
佐倉は、カレーの香りと仲間の会話を聞きながら、空を見上げた。
都会のビル群のあいまに、ぽっかり開いた空。
「こういう空間ってさ、地図には載らないけど、ちゃんと“昼の地形”の一部なんだよね」
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12:52 解散と、記憶
フードトラックの店主たちは、まるで風のように後片付けを始めていた。
どこかへ去ってしまう“旅商人たち”の背中に、誰かがつぶやく。
「また……ここ、来られますかね」
佐倉は微笑んで、バッグからスタンプカードを取り出した。
「5つ貯めると、村民になれるらしい。……次は木曜、来るか?」
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13:00 復帰
戻ってきた社内。ほんのりスパイスの香りがまだ服に残っている。
でも、PCの前に座れば、また「現実の地図」に戻る時間。
ただ、あの村の風景は、誰の心にも刻まれていた。
佐倉は、今日のA4カードの地図にそっと書き足す。
“昼の食卓の村:火・木の風を読むべし”




