第2話 浅草、蕎麦、そして音の戦場
これはAIが書いたものです
東京・千代田区。正午。
14階のオフィスで、営業部の面々がダラダラとメールチェックをしているなか、ひとりの男だけが違った。
「行ってきます」
それは魔法の言葉だった。佐倉蒼一、昼休みの魔術師。今日も1時間の旅に出る。
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12:01 タクシーは時間を買う乗り物
今日は浅草。
神保町から浅草まで、通常なら20分以上かかる。でも佐倉には「非常時用のタクシーアプリ」がある。あらかじめGPS予約済み、社屋前にジャスト12:00到着。乗り込むと同時に運転手が聞く。
「浅草までですね、急ぎですか?」
「12:20までに着けば大丈夫です。裏道、お願いします」
都心の裏道を知り尽くしたベテランドライバーと、秒単位で動く男の最速コンビ。車内ではスマホで寄席スケジュールを確認、そして次の蕎麦屋の混雑状況もチェック済み。
「よし、あとは“歌”だけだ」
佐倉の昼休みは、もはや軍事作戦だ。
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12:19 浅草演芸ホール・中席
1分前滑り込み。
今日の演者は、異色の若手落語家・春風亭らん太。「現代ネタ×古典落語」で話題沸騰の男だ。
演目は「初天神」――父と息子の浅草散歩の話。
しかしそこに、SNSやスマホ、YouTuberを取り込む現代風のアレンジが加わり、会場は笑いの渦に包まれた。
(……このテンポ、この空気の握り方。もはやエンタメの革命だな)
12:29、オチと同時に立ち上がり、静かに拍手。そして佐倉は走った。次の目的地へ。
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12:34 立ち食い蕎麦「大黒屋」
「かけ蕎麦、ひとつ。冷たいので」
注文と同時にタイマー起動。目標は“10秒完食”。なぜなら、社に戻って社内イベントの準備をせねばならないからだ。
ざるに載った冷やし蕎麦、刻みネギ、つゆ。
一気に箸を構え、ズズズッ――!
「……ッッハ!」
ゴクリと喉を鳴らし、タイマーを止める。9秒73。新記録。
「また来てくださいね!」
笑顔の店員に軽く会釈し、彼は浅草駅へと消えた。
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12:43 帰社&“戦場”の準備
オフィスの会議室では、社員数名がすでにスタンバイしていた。
「社内カラオケ部(昼限定)」の非公式活動。発案者はもちろん佐倉。Bluetoothスピーカー、マイク、スマホ接続済み。今日のテーマは“昭和対平成の名曲対決”。
「トップバッター、俺がいく。曲は……中島みゆき『ファイト!』」
曲が流れ、彼はまるで演説家のように語りはじめた。
「……ファイトォォォッッ!!」
会議室の窓が震える。部長が遠くから睨む。でも気にしない。昼休みは誰のものでもなく、俺たちのものだ。
2番手、3番手と歌が続き、ラストの一人がマイクを握るころ、時計の針は12:59を指していた。
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13:00 タイムカードはピタリと鳴る
「お疲れさまです」と何食わぬ顔で席につく佐倉。
目の前の書類にサッと目を通しながら、彼はつぶやく。
「……今日も、いい1時間だった」
周囲の社員たちにはわからないだろう。だが、彼の中ではきっと10時間分の記憶が、濃密に詰まっているのだ。




