エルデパルディア王国 10
エルでパルディア編最終です。
レティアの言葉にポカーンと聞くだけのルレリアーヌ。
「ああ、編入ならちゃんと編入試験をしていただいて問題ありませんので。こう見えて御二方とも、相当の実力者ですから全然問題無いと思いますので。」
ラティスが自信満々に言い切る。
しかしいまだにポカーンとするだけのルレリアーヌに、横から耳打ちするメアリ。
「ルレリ様、いい加減正気に戻ってください。でなければ私も倒れそうなんですけど。」
「え?! ああ、ご、ごめんなさい!」
そう耳打ちされ改めてメアリを見ると、足は小刻みに震えているし、顔は真っ青に血の気が引いていた。
(あの何事にも同じない、鉄仮面メアリがこれ程動揺しているなんて。)
「今、何か失礼な事考えてませんでしたか?)
「な、なんでも無いよ。気のせい気のせい。」
メアリとのやり取りで、少し落ち着くことが出来たルレリアーヌは、改めてレティア達に向かい直す。
「え、え~と、」
(駄目だ、声が裏返って、ルレリ様情けない。)
「だ、大丈夫です! え~、レティ様、その御子等を、2年間我が学院に通わせ、生活もこちらでされて、そのサポートをこの私目にお任せいただけると・・・云うことで宜しいのでしょうか?」
「そうです。お願い出来ますでしょうか?」
レティアとラティスが満面の笑顔で、お願いしてくる。
コーウェン将軍も頭を下げお願いする意思を見せる。
「あの~、ルレリアーヌ王女殿下、僕たち地上界の事もそうだけど、色々教えてもらいたいんです。それには貴女のところの学院が一番良いと伺ったので無理なご相談を持ち掛けてしまいました。僕としては是非一緒に学ばせていただきたいと思っていますので、お受け出来ませんか?」
自分より二回り小さい、これでもかってくらいの可愛さで両の手を握り、上目使いでお願いしてくる姿に悪い返事をする事など、ルレリアーヌに出来るはずもなかったが、そこは王女としての最低限の規律を守る思いだけは残っていた。
と云うよりこの姿を見て断れる者がいるとすれば、大戦で退治された鬼くらいだろう。
「わ、解りました。けれど編入試験はちゃんと受けていただきます。」
「良かったあ。当然です。編入試験はちゃんと受けてもらいます。でも大丈夫でしょう。試しに去年の学院の編入試験用問題がありましたので御二方に前もっていていただいたのですが、全て満点でした。」
「は?!」
間抜けな声をつい出してしまったルレリアーヌ。
(全て満点って、5教科中? 全て? 私も試しに受けたけど平均で94点だったわよ。満点なんて一つしかなかったわ。)
驚愕の事実を聞き、つい自分と比較してしまう。
「ちなみに私も去年の編入試験やってみましたけど、満点は2教科だけでしたね。平均で96点でした。」
ルレリアーヌの心の声が聞こえたのかどうか? メアリがそんな事を耳打ちするので、輪を掛けて落ち込んでしまう。
「そ、そう。メ、メアリもなかなかやりますね。」
「はい、ありがとうございます。でもこの御子等には到底およびませんが。」
「そ、そうね。はは。」
(何だろうこの敗北感。まあ良いわ、前教科満点取れるように頑張ればいいだけよ!)
この前向きな姿勢がルレリアーヌの良いところではある。
少し前向きに考えるようにしたことで、落ち着く事ができたルレリアーヌはある疑問が浮かぶ。
「でもそれだけ優秀でしたら、何もわざわざ我が学院でなくてもと思うのですが? いえ当校を選んでいただけるのは名誉な事なのですが?」
それに対してレティアは別に困る事もなく答えはじめる。
「それは、この御二方がまだこの世界で覚醒されて間がなく、一般的な常識が少し欠落しているのと、どうせなら地上界の事ももっと学んでいただきたいと云う事、そしてどちらも、神聖術、魔導術の制御がまだ全然安定しませんので、その制御や知識を養っていただきたいと思い、こちらに白羽の矢を立たせていただきました。」
「そうですか。」
ルレリアーヌにとって不都合な事は一切ないし、かえって天界、魔界の多分高貴な身分の方の御子なら学院にとっても名誉な事であるのは間違いないことなので、断る理由がなかった。
「解りました。それではこのルレリアーヌ・エルデ・パルディアが責任を持ってお預かりいたします。」
深々とメアリと共にお辞儀をし、話を受ける事に了承する。
「そうか! 良かった。よろしかったですねリョウ陛下。」
「うん、これでお姉ちゃんと当分一緒に暮らせるね。」
「ホントじゃの。この姫しゃまに感謝しぇんといかんな。」
「そうですな、キョウ陛下様の名で何かお礼の品を贈らせる手筈を整えましょうぞ。」
「え? 今なんと言われました?」
ルレリアーヌは何か恐ろしい事を聞いた気がした。
「え、お礼の品ですか?」
「い、いえ! お名前の下のですね、」
「ああ、陛下ですか?」
「はい、そのうどういう事でしょう?」
恐る恐る聞くルレリアーヌだが、本当は聞きたくないと思っている。
いやこれは聞いたら駄目な気がすると、心の中で警鐘が鳴り響く。
それはメアリもその様だ。
「陛下ですよ? こちらが天界の守護者であり最高位神王。リョウ・セウレシウリス陛下であり。」
「そしてこの御方が、キョウ・ブラウダリル陛下、魔界の最高責任者、魔王様ですが何か?」
(さ、最初に言って!!!ーーーーーーーーーーーーーーーープツン。)
ルレリアーヌとメアリは二人仲良く、あっちの世界に飛びだってしまいました。




