エルデパルディア王国 4
王女殿下は王より上?
「早速だが双方の大司教、事の詳細を聞かせてくれぬか?」
ルレリアーヌは、王族の威厳を保つ為、あえて尊大な口調で話し出す。
「はっ、まずは神王教の大司教である私からの託宣の内容をお伝えいたします。」
大きな大司教だけに許された尖んがった白い帽子を被り、きらびやかな法衣に身を包んだ初老の男性が前に出てルレリアーヌの前で立ったまま頭を下げ礼をする。
「神王大司教、それでどんな託宣だったのだ?」
「はい、6の月の20と2日にエルデパルディア王国女王と謁見の場を設けて欲しいと。そしてその場には女王とその姫君、ルレリアーヌ王女以外の立会いは遠慮していただく。との事です。」
「な? それはどういう事だ? それほどまでに伏せなければならない重大な事なのか?」
「それは解りかねます。託宣の文面はこれ以上ありませんでしたので。」
「そうか、あい判った。」
少し考える素振りをみせるルレリアーヌだが、直ぐに考えるのを止め、次に話を進める。
「魔導大司教、そなたの方はどうなのだ?」
「はい、それが神王大司教の申された事と全く同じです。」
黒い法衣に身を包むこちらは初老にはまだかなり早い壮年の女性のようだ。
その彼女が神王教と同じ内容の託宣を授かったと言う。
(とにかく二つの託宣は同じ内容なのだから、その日に天界、魔界からそれぞれ我が国に、どなたかが降臨されると云う事で間違いないわね? ただ母君と私だけというのは一体?)
「それはどういう事か! 大司教! 何故このドイル・パルディアが立会えぬのか!?」
ルレリアーヌには見向きもせず、集まる国の要人達の一番前にいる大司教の二人に対し、不服の態度を隠しもせず言葉を荒げる王の姿があった。
「そ、それは託宣にそう記されているとしか、言いようがございません。」
「馬鹿者!現在女王が留守中である事を考えれば、この幼き姫一人で天界の重大事に立ち会わねばならないなどこの王であるドイル・パルディアが許さん!」
聞き様によっては、まだ成人していない姫を思いその身を按じての言葉にも聞こえるが、ここにいる大半の者はそれが、王の嫉妬からくるものだと知っていた。
「確かに、ルレリアーヌ姫様は成人はされておられませんが、女王陛下より留守中の王国での全権限を託されておられますれば何も問題ないかと。」
大司教の後ろに立つ、左大臣であるモルデアールが王に諌言する。
「な!左大臣! そなたはわしよりこの12になったばかりの姫の方が、頼りになると言うのか!?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
誰一人として王の言葉に答える者は居なかった。
「は! あい解った!! それならば勝手に進めるがよい!!」
そう毒づいたと思ったら、そのまま立ち上がると、玉座の間から王子である、ルドエルを率いて立ち去ってしまった。
(はあ、我が父ながらなんとも情けない。普段から政務の事に一切構わず遊び惚けているといのに、天界と魔界からの使者と聞いただけで、王を名乗るとは。多分天界、魔界の使者と会って箔がつくとでも考えたのでしょうか?)
「皆の者すまないな。父王の言葉忘れてくれ。」
「いえ、さしてどれほどの事でもありません。私どもは姫様が国の代表として歳など関係なく立派に勤めておられるのを知っておりますれば、何の問題にもなりませんぞ。」
左大臣の言葉に、救われるルレリアーヌだった。
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