エルデパルディア王国 5
エルデパルディア王国をさらに北に半日程馬車で進んだ先に、神王教と魔導教の聖域とされる神魔の森が存在する。
この森は他の森とは大きく異なる事が二つあった。
一つは、生き物が植物以外存在しないということ。
もう一つは、エルデパルディア王国の王族と、神王教、魔導教の大司教、それと王族が認めた数少ない人以外立ち入る事が不可能な森であることだ。
何故か?
それは、この地は天界と魔界を繋ぐ路の一端で、神族、魔族が降臨出来る地上世界でも幾つかある内の一つであるためだ。
命有る動物全て対し、神族、魔族が作り出す結界に阻まれこの地に足を踏み入れる事が出来ない。
もし入ろうとしても、その力に跳ね返されてしまう。
それは馬なども同じなので、森の手前で馬車を降りた、ルレリアーヌとメアリは、降臨の祭壇へと向かって走っていた。
「ルレリアーヌ様、成長されこのメアリ感激でございます。」
ルレリアーヌは騎士風の正装で、メアリはメイド服に軽装のメタル防具を装着した、王宮で着ていた時とほぼ同じ服装で森の中を相当な速さで疾走していた。
ほぼというのはメアリだけ、メイド服ではあるもののスカートがタイトなミニスカートに変わっていた。
裾の長いスカートはこういう場所ではさすがに鬱陶しいらしい。
ちなみにパンツは見せパンだと本人は言っています。
「メアリ、泣くことはなでしょ?」
「いえ、お生まれになってからずっと一緒に過ごさせていただき、日に日に成長され、私の扱きにも耐えられた成果がこうして一緒に森の中を駆け抜ける事ができる! なんとメイド冥利に尽きることか!」
握り拳を奮わせながら、半泣き状態のメアリを見て苦笑いのルレリアーヌは昔を少し思い出していた。
(ほんと、良くあのメアリの特訓について行けたものだわ。今思えばよく耐えたと自分を褒めれるわね。)
当時の事を思い出すルレリアーヌの目にも僅かな涙が光った。
女王セルマレリアーヌがルレリアーヌを産み、直ぐに当時女王のメイドとして仕えていたメアリをルレリアーヌ専属のメイド兼教育係として仕えさせた。
当時のメアリは12才で周囲からは教育係としては幼すぎると反対の意見もあったが、それをメアリ本人の努力と才能で覆していった。
そして、そのメアリと常に一緒に暮らしていた事で、メアリの技術と知識を齢12才でその殆どを吸収したルレリアーヌも天才で努力家だった。
でもそこへたどり着く為には地獄の日々だったとルレリアーヌの手記に書いてあったそうだ。
それから暫く進んで行くと、急にメアリは立ち止まり跪いた。
「ルレリ様、私は一度ここでお待ちいたします。」
「そうね。何かあったら呼ぶからよろしくね。」
「はい、いってらっしゃいませ。」
メアリの言葉を聞いて頷くと、ルレリアーヌは再び駆け出した。
暫くすると、ルレリアーヌの目の前に石造りの建造物が見えはじめて来た。
森の木々がこの場だけ無い空間、そこに15メートル四方の石造りの舞台が存在し、その中央に5階建てくらいの高さはある四角柱の塔がそびえている。
四隅に同じような石で加工された5メートル程の四角柱の石柱も立てられている。
その柱一本一本に細密な彫刻が施され、芸術などが解らない者が見てもそれは素晴らしいものだと解る程、見事な作りとなっていた。
降臨の舞台
ルレリアーヌはその舞台に上り、中央の塔に向かって進み石塔の中に埋め込まれている大きな神石の前で跪いた。
「それにしてもいつ見てもこの神石の透明度と大きさには驚きますね。この大きさだと相場で5000万エクラ、金貨5000枚といったところでしょうか?」
ちなみに、5000万エクラ、金貨5000枚とは、日本円で換算すると5億円くらいだ。
あと、同じ様な物で魔石というのもある。
どちらも、神力、魔力を吸収蓄積、神聖術、魔術の書き込み起動媒体として重宝されている。
一般的な石の大きさは小指の爪位の大きさで、用途的には十分の威力を発揮する。
それが今ルレリアーヌの目の前にある神石は人の頭を四つくらい合わせた位の大きさなのだ。
その価値も性能も段違いというより、国宝レベルの代物なのだ。
それから程なくし、目の前の神石が輝き始める。
ルレリアーヌは膝を付いたまま、その輝き出した神石を見入る。
輝く光はドンドン強くなり、辺り一面へ光があふれかえる。
目の開けられない状況が数秒続いただろうか?
その光は急激に終息し、消えていく。
ルレリアーヌが、ゆっくりと目を開けると、自分の直ぐ前に人の気配が存在することに気付きゆっくりと顔を上げる。
そこには、この世の最高美を形にした天界と魔界の者が幾人かが佇んでいた。
「え?! 何? こんなに大勢?!」
ルレリアーヌはあまりの人数驚きを隠せなかった。
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