エルデパルディア王国 6
(そんな、今までも何年かに一度は降臨されていたし、私も一度幼い頃に立ち会った事もあったけど、たいていお一人だけの降臨だったはず。なのになんで今回こんなに?)
心の中で、その異常差に動揺しまくるルレリアーヌだが、そこは王女。
面の皮が異常でないと生きていけない貴族相手に一歩も遅れをとらないだけの事はある。
動揺を隠し、表情にまったく出さないのは凄かった。
「あら、ルレリアーヌ姫じゃない。久しぶり!」
膝を付き礼をとるルレリアーヌに向けて、気さくな感じで名を呼ぶ神族。
「え? あ! レティア・クラウディア様?」
ルレリアーヌがその声に反応し顔を上げると、幼い時に一度だけお会いした事がある懐かしい笑顔がそこにあった。
「やだなあ、前みたいにお姉ちゃんで良いよ。私もルレリって呼ぶから。」
「そ、そんな六大天使のクラウディア様にそんな不敬は許されません!」
「固っいなあ! それじゃあ、せめてレティって呼んで欲しいな?」
手をさしのべたまま、笑みは絶やさないが、その瞳は笑っていないのをルレリアーヌはちゃんと見ていた。
(はあ、まさかレティア・クラウディア様が来るなんて、不覚だったわ。この人言ったら絶対だからなあ。ああ子供の時が思い出される。)
レティアの顔を間近に見ながら、昔の事が脳裏を過ぎり、この顔に逆らう事はどんな事になるか、走馬灯のように蘇って思い出す。
「せめて、レティ様で許してもらえませんか?」
「う~ん? まあ良いか。それじゃあ改めてお久しぶり、ルレリ! 急な申し出に応えてもらって今日はありがとうね。」
舌をペロッと出して肩をすぼめ、テヘ!とか可愛いぶってるレティアはその容姿からは違和感は無い。
が、いい歳して、テヘ! でもないもんだわ。と同行しているラティスが溜息をついていてルレリアーヌの肩を優しくポンと叩いて来た。
「?」
「貴女もレティアには苦労させられたくちなのね。」
しみじみと訴えかける様に語るラティス。
「私はラティス。同じ六大天使の一人としていつもレティアに振り回されているから、貴女のその心の闇が嫌って程解るの。」
「ラ、ラティス様。」
「う、うん、ラティで良いわよ。ルレリ。」
「ラティ様!」
「ルレリ!」
ガシ!!
という音が聞こえて来そうな位の勢いで抱き合う二人。
「おい! そこの二人! 私を出汁に意気投合しない!」
二人のやり取りを見てぶすうと頬を膨らまし不機嫌になるレティア。
「はは、やはりレティア殿はわしが惚れただけのことはありますな!」
笑顔のコーウェン将軍にいっそう不快な表情になるレティアだった。
「ところで、近くに一人居るようだけどどなたかな?」
コーウェン将軍は自分達以外にこの周辺に一人の影があることを感じルレリアーヌに尋ねてきた。
「はい、事後報告で申し訳ありません。私の専属侍女で護衛も兼ねております者が、ここより500ライル先で控えておりますので、その者の影ではないかと?」
「そうですか。その者は信用に足る者ですか?」
コーウェン将軍が少し表情を固くし、ルレリアーヌにその者の確認をしてきた。
「はい、それは私、ルレリアーヌ・エルデ・パルディア第一継承王女の名の元にお誓いいたします。」
「ふむ、それを聞いて安心であるな。レティア殿達はどうじゃ?」
「私は最初っからルレリの信じる者は、私も信じれると思ってるから大丈夫よ。」
「右に同じです。同士が問題ないと言われるなら問題ありません。」
ラティスだけ少し違うところでルレリアーヌを信じているようだが、どちらにしても皆が問題ないと言ってもらえた事にルレリアーヌは有り難く思う。
「それではその者も呼んで貰いましょうか。それで話を進めたいと思いますのでな。」
コーウェンの言葉を受け、ルレリアーヌは念話でメアリにその事を伝えると、遥か後方から物凄い音が聞こえ始め、それは次第に大きくなりルレリアーヌ達のいるこの場所に向かって来ているようだ。
「はあ、なにもそこまで張り切らなくても、」
「ねえ、ルレリ? この子大丈夫? 何か物凄い威圧を感じるんだけど? はっきり言って私らとそう変わらない力を持っていそうだけど?」
「はあ、人畜無害ですよ? ただちょっと憧れが強すぎるところがありますけどね。」
ため息をつきながら、ちゃんと止まるんだよと心の中で祈るルレリアーヌだった。
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