魔王登場 え? 4
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「もう、お姉ちゃん! あんまりふざけないの!」
リョウが軽く握った手でキョウの頭を軽く叩くと、ポコっと可愛らしい音がした。
それと共に、キョウの掌の先に生み出されていた、かなりやばそうな黒い霧の塊が霧散した。
「だって~、りょうちゃん、あの女にあたし、ぶしゅって刺されたんだよ~、痛かったんよお~。」
レティアに放った言葉は何処へ?やら、リョウの胸に舞い戻ってまたグリグリと顔を埋めながら、見た目歳相応な喋り方で甘えるキョウ。
そんなキョウの頭を愛おしく撫でるリョウ。
「だあめ。変態でもレティアは、僕に尽くしてくれてるし、色々教えてくれる大事な人なんだから虐めちゃだめだよ?」
微妙な褒められ方をされたレティアだったが、大事な人と言われたのが相当嬉しかったのか、床に正座をしたまま自分の身体を抱きしめてクネクネと変な動きをしていた。
「だ、大事だなんて、リョウ様は本当は私のことを一人の女性として?」
「ぜんぜん。部下としては信頼してるけど、プライベートはねー、ちょっと考えてしまう。」
情け容赦ない一撃を喰らったレティアは謁見の間の隅で屍と成り果ててしまった。
その姿に恍惚とした表情で見つめるコーウェン将軍に、キョウが気付いた。
「なんじゃ、コーウェンはあんにゃやちゅが良いのか? 物好きじゃの?」
「いやいや、大人に成りますとな、ああいうちょっと変わった趣向の女性に惹かれるものですぞ。 ハハハ!」
自信満々に言い切るコーウェン将軍をキョウ、リョウ、ラティスにグニエルまでもが冷めた瞳で見つめていた。
((そんな大人になんか成りたくない。))
皆の心が一つになった瞬間だった。
「改めて、お初にお目にかかります。私、リョウ陛下直属の守護騎士にて六大天使の一人、ラティス・ブロウディアです。以後お見知り置きを。」
リョウに抱かれるキョウの前に跪き深々と礼をとるラティス。
「ふむ、レチアにくりゃべ、ちゅてきな雰囲気を感じるわ。あんにゃのばっかりだったりゃ、リョウちゃんが危なかったのじゃ。ラティスとやら、リョウちゃんを守護してやっちぇくりぇ。」
「はは! ありがたき幸福! このラティス、身も心も全てリョウ陛下に捧げ一生涯ご奉仕させていただきます!」
「身も心も?」
「はい! 身も心もです!」
「身も?」
「はい! 身もです!」
「ご奉仕?」
「はい、隅々までご奉仕させていただきます!」
「・・・・・・・・・・・・・・・・じぇったい駄目なのじゃあああ!!」
変な想像でリョウの、身の危険を感じたキョウは威圧を一瞬で最大にし、それが拡散しないように1メートル四方の中に押し込めるイメージを作ると、普通見えないはずのものがうっすらと箱の様な形で可視化されていた。
ラティスもそれを五感で感じていたが、あまりにもの恐怖で身体が萎縮し動けなくなっていた。
そのラティス目掛け、キョウは情け容赦無く振り下ろす。
「!!!!」
「またあ、お姉ちゃん、めっ!」
リョウが少し怒った顔で、キョウを諌めると、振り下ろすはずの威圧の塊が、見上げるラティスの鼻の先5センチのところでピタッと止まった。
「ラティス、別におかしな事言ってないと思うんだけど?」
「違うのじゃ! あの目はリョウちゃんと良い事ちたいと思ってる目なのじゃ!」
勘繰り過ぎだと思うリョウだが、実際はキョウの言う通り、リョウと結ばれる事を願う者は少なくない。もちろんラティスもである。
キョウのリョウ危機感知能力の精度はずば抜けているようだ。
地球で住んでる時も、対異性の危機感知は凄まじかったが、魔王に転成した事でその感知能力も大幅向上したようだ。
「でも、駄目。そんなにぽんぽん怒る、お姉ちゃんは嫌いだな。」
「ご、ごめんなのじゃ!! も、もうおこりゃないのじゃ! ゆるちてくれ!!」
嫌いと言われたのがよっぽど堪えたのか、この世の終わりの様な顔で必死に謝るキョウだった。
「わかった、わかったから。僕、そうやってちゃんと謝れるお姉ちゃんは好きだよ。」
この世の終わり顔が一変し、向日葵畑がバックに見えそうなほどの明るい笑顔になっているキョウ。
「ラティス、大丈夫?」
リョウは、威圧の塊まりを喰らう事無く終わったのにその場から動かないラティスが気になって呼びかけてみた。
「? ?あれ? ラティスー、大丈夫?」
リョウは、引っ付いているキョウをそのまま抱き上げると、ラティスに近づいて様子を見る。
そこには、白目をむいて気絶している可哀相な女の子が一人。
「やっぱりやり過ぎ。めっ!」
抱き抱えて顔が近くにあるキョウの顔に自分の顔をさらに近づけ注意すると、キョウは拳で自分の頭をコツンと叩いて、テヘ とか言っておられる。
「えー、神王リョウ様、二人がこの様な状態ですので、私が魔王様の対応係を引き継がせていただきます。」
リョウの前に次に跪いたのは、三人目の天使、グニエルだった。
肩位で切り揃えた茶色の髪に端正の取れた顔と切れ長の瞳を持つ、スラリと高身長の格好良いやり手といった雰囲気の女性だ。
「あー、うん、ゴメンねお姉ちゃんが後先考えずに行動するから。」
「あたしは、わりゅくないもん! リョウちゃんがこんにゃに可愛いい男の子でモテるのは仕方無いと思ってるけど、これほどあからしゃまに言い寄る女ばかりとは思ってもみにゃかったのじゃ!」
さすがにリョウの部下を二人も再起不能にしてしまったのは、まずいと思ったのか、自分は悪くないもん、アピールを始めた。
「神王リョウ様、発言をお許し願いますか?」
グニエルが何やら話したいことがあるようで、リョウにお願いすると、笑みと一緒に了解という言葉が変えってきた。
「それでは。先ほど魔王キョウ様が神王リョウ様の事を、男の子の様な発言がございましたが、実際は女性ですのでご訂正願います。」
グニエルは深々とキョウに向かって礼をする。
少しの間、動かなかった。
「え? 女の子? 誰が?」
「うん、僕らしい。」
「え? リョウちゃん?」
「うん、どうせならちゃんと見てみる?」
そのリョウの言葉に顔を真っ赤にするキョウ。
一体何処を見ると勘違いしたのだろうか?
「えええええええええええええ!!」
その後、キョウは絶叫しながら気絶してその場に倒れてしまいました。
読んでいただき有り難うございます!




