魔王登場 え? 3
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よんでやってください。
「え?」
レティアは、可愛らしい声と舌足らずな言葉からは想像もできない単語が飛び出したせいか、一瞬何を言われたのか解らなかった。
「だから! あんたをこりょしゅ! ? 殺しゅ!って 言ってりゅのじゃ!」
「な、何をふざけた事を!」
本当ならこんな幼女の戯言で終わりそうなものだが、その幼女の言葉にはレティアでさえ後ずさるほどの威圧が込められており、気を抜くと屈してしまいそうになるので、つい声を荒げてしまう。
「ふじゃけていりゅのは、レチア! あんたよ! あたしをあんな目にあわしぇて、しゃじゃい? しゃ、ざい! の一ちゅもないのか?!」
言葉は見た目通りの舌足らずの言い方なのに、そこから感じる威圧感は本物だった。
そのあまりのギャップにレティアはラティスは戸惑ってしまう。
「レティア、この女の子、まさかじゃないの?」
幼女に神力を練り込み発動準備を整えた杖を向けたまま、ラティスが聞いてきた。
普通に考えればこんな幼女が、と思うレティア達だったが、今この場に居るという事がその証拠でもあり、この異様な威圧はそれを物語っていた。
レティアは構えていた、双剣をゆっくりと外し腰にさしてある鞘にしまう。
それに習ってラティスとグニエルも武装をとくと、三人はコーウェン将軍と同じように跪き礼をとる。
「やはりお分かりになりますかな?」
コーウェン将軍がにやけ顔で三人の天使に確認するように問いかけると、一応に皆が頷いた。
(この方が、魔界の最強王、魔王、キョウ・ブラウダリル様。)
レティア達三人は、その幼女の正体を知り、改めてその容姿とのギャップを感じていた。
「しょれより、あたしはレチアにちょっとだけ死んでもりゃいたいのじゃ! あの時、なんのしぇつめいも無く、その剣でしゃしゃれた痛みを味あわしぇたいのじゃあ!!」
リョウにしがみつきながら、小さな首をコーウェンを向け騒ぎたてる。
レティアとしても、相手が魔王様と解り、その方が自分を殺したがっている? という事実に今度はそっちで困惑し始めた。
「あ、あのう? 魔王キョウ様? わ。私、何かしましたでしょうか?」
恐る恐る、4才位の女の子で魔王キョウに殺され理由を聞く。
レティアにとっては、全然身に覚えが無い事なので戸惑いを隠せなかった。
「まだ、わかりゃないの? あんた・が・・!」
魔王幼女リョウがレティアに食いかかろうとした時、キョウの小さな身体を白磁の様な華奢な手が、キョウを優しく包み込みギュウと抱きしめた。
「もう! せっかくこうして会えたのに、殺すとか野暮な話はしちゃだめだよお姉ちゃん。」
「キョウちゃん! そんな事言っても私本当に怖かっ・・・・・・・・?!」
「え? え?! あたしが解りゅのかえ?」
「もちろん! 僕の大切な大切な人だもの。僕を見くびっちゃ駄目だよ。」
人差し指を立てて、キョウの幼い顔の前で左右に振りながら満面の笑顔で見つめるリョウ。
その瞳には大粒の涙が今にも流れ出しそうなほど溜まっていた。
「会いたかった、お姉ちゃん。」
「あたしだってどれだけ会いたきゃったと思ってんのよ!」
二人は大粒の涙を流しながら、再び抱き合いその感触を確かめ合っていた。
何故か周辺の衛士や文官から、ホーとか福眼とかの声が沸き立つ。
それもそのはず、神々しい美しさを体現する神王リョウに、目つきが悪くとも愛らしい幼女の姿の魔王キョウ。
その二人が涙を流しながら抱擁する場面は、それこそ絵になる光景だったからだ。
ただ、その光景を楽しむ事の出来ない者が一人。
「ちょっと、どこ行こうってのかえ?」
可愛らしい声とは裏腹にゆっくりとドスの効いた喋り方で、コソコソとその場から逃げだそうするレティアに向かって言い放つ。
「ヒッ!」
レティアはビクッと身体を震わしその場に立ち尽くす。
その場でゆっくりと振り返り、冷ややかな笑みを向ける魔王リョウの姿を見たレティアは、それが当然の様に、勢いよく土下座して額を床にこすりつけ始めた。
「も!! 申し訳ございません!!! ま、まさか、あの時のお美しい少女が魔王様だとは!」
「ふん! そんな世辞言ってもりゃっても、だめだかりゃにゃ! ほんと痛かったんかりゃね! そりゃてんしぇい、させてもらったのは感謝してるけど、何も言わずに、ブスッ! て刺すのはないわ!」
可愛らしい声に美幼女の姿でこの舌足らずな喋りが恐さを半減させているが、レティアにとっては関係なかった。
「あの時は、時間もございませんでしたし、身体に負担をかけないと、魂と身体の離脱が上手く出来ないので仕方なくでございます!」
「それでも前もって言ってくりぇるとか、出来たんじゃないの? ほんとに痛かったのじゃ。だからあの時と同じ事をレティアにも経験してもらうのよ!」
そう言って、抱き着いていたリョウから離れると、一歩レティアに向かって踏み出す。
すると足元から黒い霧の様なものが立ち上り始めた。
その霧をリョウは顔の前に突き出した掌の中心に集めはじめた。
その霧は徐々に回転しながら集まり、どんどんその魔力を溜め込んでいく。
そして、拳だいの大きさになった黒塊の中には放電現象まで起き、それをレティアに向ける。
「ひいい!!」
床にお尻を落とし後ずさるレティア。
その異様なまでの黒塊が自分に向けられた事で、本気で死を覚悟させらてしまった。
ポコ!
この雰囲気にそぐわない音がした。
「いったあああい?」
「もう、お姉ちゃん! そんなものこんなところで打ち出そうしないの!」
有り難うございました。




