6皿目
純星の親友…警察では捜査三課に所属しており、正義感が強く少々熱血な男性。妹を大事にしている。
上弦の月…新月から満月になるまでの間。満月から新月に欠けてゆくのは下弦の月。
携帯の着信音…友人からは好きな曲を、職場からは某星戦争の某悪役の登場テーマを。
【5/23 PM9:30】
良い食事だった。おかずの煮物もデザートに出たシュークリームも全部美味しくて、珍しくおかわりもしてしまった。人と摂るしばらくぶりの夕飯を思い返し、幸せな気分でベッドに転がりながら携帯をチェックする。親友からのメールが幾つか来ていた。
『解決しそうか?』
「多分大丈夫、っと…送信」
正義感が強い親友は自分と同じ捜査一課にはいないが、こちらの身を案じてくれている。自分には勿体ないほど良い友人である。小さな町で起こった小さくない事件。その概要は未だに自分の目の奥に焼き付いていた。慣れていないのかどこもがたがたの切り口、その割に目的ははっきりとしている。明確に切り裂かれた腹部。臓器を持ち帰りたかったのだろう。
「…なんの為に?」
売るため?いいや、それならもっと手際が良いはず。コレクションでも?いや、それなら綺麗に切るはずだ。芸術作品?出来が悪すぎる。脳内のツバサが顔を顰めた。そういえば彼は芸術性の無いものを嫌う。通報の声もやたら苦々しそうだった。電話を取ったのが僕だなんて思いもしなかっただろう。また彼をからかういいネタが出来たが、しばらくはそんな暇もなさそうだ。
見つかった遺体は全部で四つ。川べり、川の中、公園前、路地裏。どうか増えるのはやめて欲しい。確かに自分は公務員で天下の警察だが、毎日仕事に勤しめるほど豊かな心を持っている訳じゃないのだ。休みの日は休みたいし親友と映画館に行きたかったりする。大袈裟なほど大きなため息をつき、無理やり起き上がる。カーテンの隙間から月が見えた。
「上弦の月かあ。三日月が太ってる」
悪いことはみなお天道様が見ているのだと、昔兄に言われたことがある。もし本当ならその情報を流してもらえないものだろうか。
なんてお伽噺を信じたくなるほどには参っているらしい。もう寝てしまおう、と思った瞬間、携帯から着信音が鳴った。




