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すれ違いの出会い

短めですが、楽しんでいただけたら嬉しいです。

『ここまで来た・・か』

コノハの屋敷を早朝よりも早く抜け出したハクウは街が一望できるところまでの高さに来ていた。

もし、ハクウに目が見えれば。

『あそこか。コノハ様がいる街は、強い気が集まってる』

これからあの街は復興していくことだろう。


『祈っていますよ。コノハ様。あなたに光りある未来があることを』

出せない声を出し、ハクウは街に背を向けて山道を歩き出す。

道に杖をつつきながらゆっくりと歩いてゆく。


先が見えないその道を。


コノハとハクウ。二人の出会いは、吉となるか、凶なのか。

しかし、二人の出会いが運命と言うならば、これから降り掛かるであろう出来事も運命と言えよう。

二人の再会がそこに結び付くのだから。


『はぁ〜。生き返る』

ハクウは道中にある茶店でお茶を飲んで寛いでいた。

湯飲みを口にあて、ゆっくりと飲む。

茶店の店員の気配を察し、手招きする。

向こうも気づいたのか近寄ってくる。

賽銭を渡す。

「毎度ぉー」

店員が声をあげる。

しかし。ハクウには聞こえない。そのために彼は会釈をして店を出る。

再び歩き出す。

杖をつき、ゆっくりと。


『ついてくるか』

茶店から出た時から追ってくる気配が複数。

おぼつかない歩きなためにすぐにハクウは囲まれてしまった。


「おい。めくら!金目のものを置いていけ」

『山賊か』

「てめぇ!聞いているのか!」

どうやらハクウが無視しているのだと山賊達は思ったのだろう。ハクウに向けてくる怒気がひしひしと向けられる。

「やっちまぇー」

合図とともに斬りかかる。

ハクウは動じることなく、腰を沈め、杖に手を掛けた。


数秒後には


「がぁ・・・・あ・・」

「いてぇよーー!」

「チキショー!?」


痛みに苦しむ山賊達の姿があった。


『めくらなんて油断するからこうなるんだ』

ハクウは地面にのたうち回り、苦しんでいる山賊を一瞥だけするとゆっくりと道を歩みだすのだった。


ハクウが山賊と遭遇した数時間後。

一台の馬車と護衛が通った。


「止まれ!」

先頭の兵士が停止を促す。

「どうした」

馬車の中から男の声が聞こえてきた。


「すいません。道に血がありましたので警戒を」

男は周囲に気を配る。

「大丈夫のようです」

「そうか。だが、不安だ。ここらは山賊が出ると聞く。すまないが次の町までいいから移動のペースを早めてくれ」

「わかりました。では、進め!」

一行はさっきよりも早めに進んだ。


途中で彼らは一人の人物と遭遇することになる。


『たくさんの気がこっちに向かってくる。馬の気も複数だ』

ハクウは道の端に腰かけ、やり過ごすことにした。

数秒後には、馬車と複数の護衛達が勢いよく通り過ぎていった。


「なんだ?今の人影は」

馬車の主はついさっき自分の目に入ったものに興味をもった。

「どうしました?公爵」

執事が問う。

「今、道の端に腰かけた浮浪者のような者がいてな」

「多分、難民でしょう。国が困窮すれば国を出て野垂れ死にをする者が多いですからな」

「そうか。ここまで難民が、やはり、あの国は・・」

自分が仕えている国の現状に頭を悩ませる。


頭の痛いことだ。国のトップにいる一人として何もできない己が恥ずかしい。


「公爵。気に滅入りませるな。今できることをすればよいです」

執事の励ましに公爵は、そうだなと答えるのだった。


しかし。あれは、本当に難民であったのだろうか。どこか言い表せない雰囲気を漂わせていたが。

公爵の男は改めてさっきすれ違った相手に思考を移した。


これが、公爵と浮浪者ハクウの最初の出会いとなる。

彼らがこれからの未来でどう絡まっていくのかは、まだ誰にも想像がつかない。


『通り過ぎたか。しかし。凄い勢いだったな。山賊を警戒してのことだと思うけど・・・・』

自分が既に倒してしまったためになんとも言えない気分でハクウは歩き始めるのだった。

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