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誤算

「誰だぁ!?この私にこんなことをしたのはぁ!?」

くないを引き抜き睨み付ける。

「貴様!カガワ様に何て真似を!」

家来達が侵入者を取り囲む。

家来達の手には相手を生きたまま取り押さえるための六尺の長さがある棒が握られている。


「取り押さえろ!」

命令とともに一斉に侵入者へと棒を突いた。

しかし棒は侵入者を突くことはなく侵入者がいた場所でお互いの棒の先がぶつかり合うだけだった。

その直ぐ後にシュバッ!という音が何回か鳴り、次の瞬間には棒の先から三尺ほど地面に落ちた。


「なぁ!?」

「なんだこれは!?」

「棒が真っ二つに!?」

真っ二つになった棒。そしてその先はまるで斬られたかのように美しく先が竹槍の先のようになっていた。


そして、ぶつかり合っていた場所にはゆっくりと立ち上がる人影がいた。

「貴様」

一人が手にしていた真っ二つになった棒を剣のように侵入者にむかって降り下ろした。

だが、逆に

「がっ!」

という声をあげて倒れてしまった。

そして彼は起き上がることがなかった。

殺されたのだ。目の前にいる侵入者によって。それに気づくのに数秒も経たなかった。


「殺せ!私に逆らう不届きものを斬ってしまえ!」

カガワの命令で全員が棒を投げ捨て抜刀した。

月の光で家来達の刀身が輝く。

侵入者は猫背のように丸くなり、手にしていないもう片方を杖に掛けた。


「今さら命乞いをしようなど手遅れだ!やれぇ!!」


今度は棒ではなく刀、いや日本刀でむかってきた。


今度こそは


その様子を見ていたカガワはそう思った。

しかし


ガギィン!キィン!ザシュ!


「ギャアアアア!」

カガワの耳には家来達の断末魔の叫びが入ってきた。そして、目には家来達が侵入者によって斬られていく光景が写されていく。

最後に写るのは倒れている家来達の場に静かに佇む侵入者。

カガワは次は自分だと思い腰の得物に手を掛ける。しかし恐怖で震えているのか刃を抜けずにカタカタと鳴らすだけになっている。

(この私の野望は!誰にも邪魔はさせない!)

侵入者はついにカガワを見た。

正確にはカガワの方に顔を向けた。という方が正しいだろう。


「わ、私を誰だと、思っているのだ!?こ、こんな事して、生きていられると、思うのか!?」

(私の野望を!)

カガワは叫ぶ。自分の権力を盾にして。

しかし、侵入者はそんな事をお構い無いなしに近づいてくる。

「き、聞いているのか!?」

(何故こうなった!?)

再び近づく。

無言でゆっくりと歩み寄って来る相手にカガワは恐怖を感じた。


「う、うおぉぉ!?」

(何故だ!?何故だ!?)

遂に半狂乱になって侵入者に斬りかかった。

だが

それを容易く避けられる。

「くそぉ!?」

再び、だが

今度は得物を意図も容易く弾き上げられた。

弾き上げられた得物は地面に刺さった。

そして、いつ接近したのわからないほどの速さで近づかれ懐からコノハから奪った密約の紙を奪われた。

「貴様ぁ!?」

(何故だぁぁ!?・・・)

ザシュ!

カガワの叫びは斬られる音で下記消された。

カガワは白目を剥いて倒れてしまった。しかし、さっきまでとは違いカガワの頭の上の髪がバッサリと斬られていた。

侵入者が斬ったのはカガワの命ではなく髪を斬ったのだ。

侵入者はカガワを一瞥してから手にしている得物を再び振るった。

コノハと両親を縛っていた縄がほどけた。


「父親!母上!」

「「コノハ!!」」

娘と両親は涙を流しながらお互いを強く抱き締めた。


そんな彼女達を見ていた侵入者ことハクウは


(良かったですね。コノハ姫)


月の光で輝く刀身を拭き、ゆっくりと鞘に納めた。

キンッ!と鳴った音はこの事件を終わりと告げる合図となった。


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