今後
久しぶりの投稿です。
指摘、感想をお待ちしています。
11/1。加筆をしました。
『先ほどはありがとうございました』
丁寧にお辞儀をしてコノハは礼を言う。
『いえいえ。たいしたことはありませんよ』
ハクウはなんのことはないと返す。
コノハを狙っていた者達が退けた後。ハクウ達は場所を移動して新たな場所で野営していた。
『お強いんですね』
コノハは感心した面持ちでハクウを賞賛した。
『こっちもむこうも真っ暗。お互いに五分と五分。こっちは必死になって滅茶苦茶に動いただけですよ』
『本当にそうですか?』
コノハはいたずらっ子の笑みを浮かべ聞いてくる。
『辞めなさい。そんな声と笑みは、お姫様として恥ずかしいですよ』
『あの。本当に…』
『目は見えませんよ。声も。こうでしない限りでは』
ハクウは現在、コノハの手に触れて気を流して自分の意思を伝えている。
気心伝心ー。
気を使って相手と会話をする技だ。これでハクウは会話ができる。
『すいません。失礼なことを』
咄嗟に手を掴んだためハクウは急いで手を離す。
『いいですよ。もう慣れちゃいましたから』
しかしコノハはハクウの手を掴みなおした。
ハクウの頭にコノハの静かな微笑む声が響いてきた。
『それで、どうしますか?これから』
『カガワの元へ行きます』
当然か。
『止めた方がいいですよ』
しかし、ハクウは反対する。
『ですが!?』
『相手の思うつぼです。相手はあなたが来るのをてぐすねひいて待っていますよ』
そう言っても彼女は行くだろう。自分の親が命の危機に瀕しているのだ。行かない方がおかしい。
ハクウは解っていた。
気心伝心によって彼女の気持ちが伝わってくるのだ。
そして、その考えは当たっていた。
その後二人は眠りについたがコノハはこっそり抜け出し、森の中へと消えて行ってしまったのだ。
『やはり。行ってしまうか』
ハクウはゆっくりと立ち上がり。
守ると言った身。それにモミジ姫も彼女が死ぬのを望んではいない。
コノハの気を追ってハクウも森の中へと消えていった。
「さあ。来てあげました。お父様に会わせて下さい!」
縄に縛られているコノハは叫ぶ。
ここに来る途中で国の入り口でお縄についたのだ。
「黙れ!カガワ様の前だぞ!口を慎め!」
コノハも負けじと相手を睨む。
そこへ
「いいだろう。会わせてやれ」
「し、しかし!」
「ここに連れてこい。母親もだ」
「はっ」
命じられて家臣はその場を後にする。
「さて。よくぞ戻ってこられましたなあ。コノハ姫」
ねばつくような口調でカガワは聞く。
「寄るな!」
必死に体を動かすが縛られているため動けずカガワの方に無理矢理顔を向けられる。
「美しいですなあ。今宵の月の光でより一層美しいですぞ」
キッ!とコノハは睨み付ける。
「そう睨まれては折角のお顔が台無しですぞ」
面白そうに笑うカガワ。
「お連れしました」
さっきまで離れていた家臣がやって来ていた。
縄で縛られた二人を連れて。
「父上!母上!」
コノハは思わず叫んだ。
「コノハ!」
父上と呼ばれた男は娘の名を叫ぶ。
「感動の再会ですなあ」
そんな彼女達を嘲笑う。
「カガワ!貴様何のつもりでこんなことをしたぁ!」
「何のつもり。そんなのは簡単ですよ。我が野望のためですよ」
「貴様、国を売るつもりか」
「私はこんなところで終わるつもりはありませんよ。私は手にしたいんですよ。絶対的な権力を。あなたに仕えていても私は何もできない!」
「自らの野望のために国を売るとは、愚か者が!」
「黙れ!」
「ぐぁ!」
「父上!」
カガワに顔面を蹴られた。
コノハは叫ぶ。
「黙れ!貴様のような奴のせいで私は何もできない!貴様がいなければ私の父上がこの国を手にしていた!」
叫ぶカガワ。
カガワの父はコノハの父とこの国の頂点を争っていた。しかし、先代が指名したのはコノハの父だった。
カガワの父は敗れたのだ。
「だが、これで全てが終わる」
そう言って懐から一枚の紙と水晶を出す。
それはハクウから渡されたモミジの手紙。
「これには、私が取引をした証拠の証文だ」
見せびらかす。
「これには私の取引に書いた筆跡がある。これがあれば私は終わりだ。だが、」
言葉を切り、コノハを見る。
「奴隷として売った娘がノコノコと持って来てくれた。非常に幸運だ。しかも、それを送った奴らのことも書かれていた。これをあいつらに伝えれば私は更に上へと行ける!」
コノハは悔しかった。しかし、こうするしかできなかった。
親を人質にされてしまった。
本当なら国のために親を見捨て、国のためにこのことを他の国に伝える必要があった。
だが、やはり無理だった。
自分は親を見捨てられなかった。
(私は、姫、失格ですね)
コノハは諦めた。そして、自分が甘過ぎたことを痛感した。
「さあ!この二人に面白いものを見せてやる」
そう言うとコノハを自分の側に来させる。
「目の前で娘が辱しめられるのを見ているがいい!」
「イヤぁ!?離してぇ!?」
叫び、暴れる。しかし、縄で縛られ、動きがとれずカガワの手によって服を破かれていく。
コノハは死よりも恐ろしい恐怖を感じていた。
(誰か、助けて)
怖くて目を強く瞑る。
瞑ると、一人の人物が浮かぶ。
自分を守ってくれた彼。
温かく、優しかった彼。
助けて!?
強く願った。
儚い願いであったとしても願った。
「ギャアアアア!!?」
突然、カガワが叫んだ。
カガワの右手には忍者が使うようなくないが貫いていた。
「何者だぁ!貴様!」
家来の一人が叫ぶ。
声のする方へコノハは振り向く。
そこには、ぼろ布を纏い、杖をつく一人がいた。
コノハはその姿を見て、涙を流していた。
少女の儚い願いは、叶ったのだ。
彼の姿は、どんな高貴な人達よりもコノハには美しく見えた。




