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朝食での会話

朝、コノハが目を覚ますと鼻に刺激がきた。

「いい匂い」

匂いのする方を見る。そこには自分を手当てして食べ物をくれた盲目の人が小さい鍋をかき混ぜていた。

(思っていたより幼い)

彼を見たコノハはそんな事を思っていた。

昨夜は暗かったためもっとおじさんかと思った。しかし今コノハの前にいるのは自分と同じぐらいの少年だった。顔は手入れをしていないためか少年には似合わない髭がたくさん生えて少年をおじさんに見せていた。

「お、おはようございます」

恐る恐るコノハは挨拶する。

しかし、ここでおかしな事が起きた。彼が反応しないのだ。

コノハの挨拶に反応せず、ただ、ただ、鍋をかき混ぜ続けている。

コノハは、声が小さなかったのでは、と思い少し近いた。

すると今度はコノハに気づいて彼女の方に顔をむけた。

そして、彼は手招きした。

コノハは、彼を警戒しながら鍋に近いた。そして、彼と向かい合う位置に腰を下ろした。鍋に近いたためさっきよりも匂いが強くなった。

(うわぁー。味噌の香り)

自然と頬が綻ぶ。

コノハが匂いに夢中になっていると彼からお椀を差し出された。その中には鍋に入っていた味噌の汁が入っていた。お椀の中には人参、ゴボウ、が具として入っていた。具の中身はそれだけだが今の状況では何よりのご馳走だ。

「いただきます」

コノハは彼に感謝しながら口にした。

味噌の汁を口に入れると口の中に味噌の味が広がった。そして、次に人参とゴボウを食べる。二つは汁とよくあって美味しさを引き立てていた。

(おいしいっ!)

コノハは無我夢中に食べた。そして、お椀の中身はすぐになくなった。

なくなるとコノハは鍋の方へ視線がいっていた。慌てて視線を外す。

その時、コノハの前に手が差し出された。

ハクウだ。

ハクウはコノハの持っているお椀を指して手招きした。

ハクウの意図に気づいたコノハは断ろうとしたがハクウが何度も手招きしたため申し訳ない気持ちでおかわりをいただいた。

そんなこんなが続きながら朝食は終わった。

「ありがとうございました!」

朝食の後コノハはハクウにお礼を言った。

ハクウはゆっくりと手を出した。

コノハはこの手を不思議に思った。

ハクウが手を握ったり開いたりする動作をする。

そこでハクウの言いたい事が理解できたコノハはゆっくりとその手をとった。

(優しい手)

コノハはハクウの手をとった時そんな事を感じた。

『聞こえているかな?』

『!!』

突然、頭の中に男の声が響いた。

『ごめん。こうしないと話せないんだ』

『もしかして、アンマさん!』

『うん。そうだよ』

『先ほどはありがとうございました!』

『いいよ。いいよ。口に合ってくれたかな?』

『いえいえ!おいしかったです』

『それは良かった』

『あ、あの。これは・・』

『僕はね。こうしないと、声も出せないし、耳も聞こえないからなんだ』

その返答にコノハは絶句した。

不自由なんてものじゃない。それ以上だと思った。

『ご、ごめんなさい!』

自分はとんでもない事を聞いてしまったと思った。

『謝んなくていいよ。本当の事だしね』

ハクウは、まったく気にしてないのかやんわりと返した。

コノハはそんなハクウになんとも言えない気持ちになった。


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