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襲撃

「いいのですか。まかせても」

「ええ」

リカイの問いにモミジは短く答えた。

しかし、言葉にはあまり力が無かった。

「私は、アマギ様を巻き込んでしまいました」

「姫様がきにやむことは」

「いいえ。頼んだのは私です」

きっぱりと言うモミジ。

「もし、あの方が無事であればそれ相応の御礼をしたいです」

「そうですね。しかし、あの者は信用できるでしょうか。あの内容を知れば」

「大丈夫です。あの方は目が見えません。それにそう簡単にあれは分かりません」

ハクウに対して失礼な言い方だと理解していたがモミジはリカイを納得させるように言った。

「そうですね」

リカイも少し渋ったが納得するのだった。

「それに、あの方は悪い人ではないと思います」

「何故そんな事が分かるのですか?」

リカイの問いに暫く考える。

そして何故か考えると心臓の鼓動が速くなった。

モミジはこの現象を理解する事はできなかった。

「私の勘、です」

だが、モミジはきっぱりとそう言うのであった。

そして、次に込み上げてきたのは理解のできる感情だった。

(ごめんなさい)

謝罪の気持ちだ。

それは自分の頼みを引き受けてくれた少年に対してのものだった。

込み上げてきたものにモミジの心を締め付ける。

彼女は耐える。

これは彼を巻き込んでしまった報いだ、と。

そして、より強く彼の無事を祈った。


モミジがそうなっていた頃。

ハクウは山道を歩いていた。

盲目らしく地面に杖の先を突きながら歩いていた。

『風が心地いいなあ』

吹く風を肌で感じながら歩く。

ほとんどの感覚がないハクウにとっては数少ない感じるものであり楽しみでもあった。

しかし。

『やっぱりきたか』

動きを止め周囲を伺う。

するとどこからともなく現れた。

全員。剣や斧、槍といった武器を手にしていた。盗賊ではなく冒険者だった。

「悪いが。お前が持っているもんを渡しちゃあくんねえか」

耳が聞こえないハクウは相手が何を言っているのかわからなかった。しかし、言っている事は感じていた。

『やっぱり、渡された物を狙っている』

ハクウはこうなると予測していた。

妃という立場で人に秘かに届けさせる、これは、尋常じゃない事だ。そして、これには必ず裏というものが存在する。

『でも、彼女。僕みたいな盲目に頼むなんて、すごい事するよな』

改めてモミジの決断に感服した。

「さあ。置いていって貰おうか」

男がさらに言う。

ハクウは、それを無視。歩き始めた。

男達がハクウの前に立ち道をふさいだ。

『仕方ない』

ハクウは一つ息を吐く。そして、杖を両手の持ち力を籠めた。

「ち。目倉のガキの分際で、やれぇ!」

一斉にハクウに襲いかかる。

まず最初に剣を振るう男達三人。上段。袈裟懸け。横凪ぎ。と剣を振るってくる。

ハクウは、一つ一つの剣を避けたり、ある時は杖に仕込んである刀身をちょっとだけ出して防ぐ。

三人はハクウの行動に驚愕した。

しかし、男達はそれで終わった。ハクウが男達の懐に入って腹や首辺りに杖で一撃くわえ気絶させられたり腹を抱え悶絶させられてしまったからだ。

「なんだよ。こいつ」

「本当にめくらか!?」

ハクウに残りの男達は警戒する。

そして、槍を持っていた男がハクウに突き出した。それをハクウは横にずれて避ける。そして抜刀して刃の無い部分を見事に切り裂いてバラバラにする。そしてそのまま懐に入り腹に拳を打ち込んで倒した。

その光景に男達は夢か幻かと思った。

そして、自分達が恐怖で動けない事に気づいた。

ハクウはその様子を見て充分だろうと思った。

そのため彼らをそのままにして何事もなかったかのように道を進んでいくのであった。

『あのお姫さまは、僕に何を渡したんだか』

ハクウは見えない懐にある物を考えながら進むのだった。


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