到着、そして別れ
久しぶりの投稿です。
変な所があれば、御指摘してくれたら嬉しいです。
『しかし。えらい頼まれ事を引き受けちゃったなあ』
あの話の後。ハクウ達は一旦、疲れた体を休ませるために眠りについていた。
しかし。ハクウは今までの事を思い返していた。
『まさか。お姫様から頼まれ事を引き受けるなんて…』
そう言ってハクウは、懐に手を入れて中の物を確かめる。
目が見えないハクウだがそれがなんなのかは分かっていた。
それは、袋に包まれた一つの石と一通の手紙だ。
そしてそれに触れながら先程の話を思い出す。
『どうかそれを東の国の一つ、平安まで送り届けてほしいのです』
そして、お姫様という肩書を持つ少女の願いを思い出していた。
そんなハクウを見ている者がいた。
モミジの護衛、リカイだ。
(あの者。一体…)
さっきからそのことばかりを考えていた。
今日の盗賊の襲撃の際に見た彼の闘い。そしてその後にあったアルイトとの試合。どの闘いも見事としか言いようがなかった。さらにそれを目、耳、すら不自由な状態での所業なのだから驚きだ。
一体どれ程の鍛練をすればああなるのか想像すらできない。
リカイはそんなハクウを羨望と畏怖の籠った視線で見ているのだった。
そして、リカイと同じようで少し違う考えで見ている者がいた。
『天木白羽さん…か』
モミジはゆっくりと心の中でその名を呟く。
その名を呟くと何故か内側が温かくなる感じをモミジは感じていた。
ハクウとの会話はほんの少しであったがモミジにとっては新鮮なものであった。
姫の一人として多くの人達と接してきたモミジ。しかし、そのどれもが腹の探りあい。謝辞。御世辞といったものばかりでモミジとしては心がない会話だと思っていた。
そんな彼女はハクウと特別な方法であったが彼との会話は内容とは関係なくどこか温かさを感じていた。
そして、それと同時に興味を抱いた。
不自由だというのに見事な闘い。そして、どこか触れて見なければわからない程の優しさ。
モミジはハクウの事がもっと知りたいなと思った。
その瞬間。
(な、何を考えているんですか!私わ!)
必死に考えを払う。
しかし、彼女の頬は少しではあったが紅くなっているのだった。
そして、暫くして馬車は目的の街へと到着した。
到着するとハクウは杖をつきながらおりた。
それに続いてモミジ達もおりた。
『でわ。よろしくお願いします』
『わかりました』
モミジの伝えてきた言葉にハクウは答える。
『本当にすいません。こんな事を頼むなんて』
『決めたの私です。それに、こんな得体の知れないめくらを信じてくれた姫様には感謝しています』
『そ、そんな。あの時、助けていただいた身としては信じるに値します』
『そうですか。では、また機会があれば』
そう言ってモミジの手を離した。
その瞬間。モミジはハクウとの繋がりが切れた。
「あ」
モミジはそこにちょっぴりの哀しみを感じた。
そんな彼女達に背中を向けてハクウはゆっくりと歩き出した。




